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<2022/12/6追記>【GEEK通信】【トアルソン 】「バイオロジックXX 128のサラサラ表面はXX(チョメチョメ)のためです。」
2022/12/06

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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは
テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 
テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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*2020/7/17記事
【トアルソン 】「バイオロジックXX 128のサラサラ表面はXX(チョメチョメ)のためです。」 
トアルソンのナイロンマルチフィラメント「バイオロジックXX128」が6月の売り上げベスト5に名を連ねていました。 
まだ試していなかったので、レヴォCS10.0に53ポンドで張り上げ打つことにしました。

■バイオロジックXX128
中央に細いフィラメントを組む構造で、反発力と耐久性、ウレタンにより柔らかさを兼ね備える。さらに糸の滑りを良くするコーティングを施しスピン性能を引き出した。ひと呼んで「上達マルチ」。
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実は、ナイロンマルチフィラメントを打つことはあまりないのです。
私の中でのストリングのこだわりはスナップバックです。
ナイロン系は、縦糸と横糸の摩擦でノッチングができると途端にスナップバックが起こらなくなります。
厳密にはスナップはすれどもバックがなくなるのです。
ボールに回転をかけた時に、縦糸は横にスライドし、瞬時に元に復元する動作がスナップバックで、スピンのかかり、ボールスピードに大きく影響を与えます。
ポリエステルは表面がツルツルで素材が硬質のため、スナップバックが起こり易いのです。
ストリングには長所と短所があり、ナイロンマルチフィラメントとポリエステルにはそれぞれ違った良さがあります。
ナイロンマルチフィラメントは、なんと言っても柔らかい打球感でボールを潰さず丸いまま包み込むようなフィーリングがあります。
狙ったところに、ボールを運ぶようなコントロール性があり、深いボール浅いボールの出し入れがしやすく、ボレーのタッチも良いのでレベルを問わず使われているオールラウンドなストリングです。
ポリエステルは、インパクトの衝撃の大きさで反応の仕方が変わります。
強く当たると、ボールとストリングの接触した部分が凹むような感覚があり、食い付いた後にボールを押し返す動作が素早く起こります。
実際には、縦糸が横にスライドし、元に戻る動きで弾いているのですが、1000分の4秒で起こっている現象なので、凹んでいるように感じます。
ただし、インパクトの衝撃が弱いとストリングのスライドする動きは起こらず、硬いものにぶつかったようなフィーリングになり、コントロールもしづらく、手に残る衝撃も大きく感じます。

トアルソンのバイオロジックXX128は、2000年に発売したバイオロジック128の改良モデルです。
真ん中にモノフィラメントの束があり、その周りをマルチフィラメントで囲った構造で、しっかりとした打球感で、食いついてから弾き出すモノフィラメントとマルチフィラメントの良いとこ取りなストリングで、人気アイテムのゴーセンAKプロと張り合うアイテムです。 

今回の改良されたところは、スナップバックを起きやすくしていることです。フォーカスするポイントとして表面が「さらさら」しています。
ポリエステルは「ツルツル」、ストリング塗布剤は「ヌルヌル」でスナップバックを実現しています。
本当に「サラサラ」でスナップバックが実現するのでしょうか。
営業マンが熱く語ってくれましたが、ストリングの表面の摩擦を少なくする方法として、ツルツルより、サラサラしている方がスナップバックが起こりやすくなることを研究者が発見したそうです。
要はストリングの表面にサラサラになるパウダーをかけたみたいなイメージです。

ストリングの表面がツルツルしていると、密着してしまい動きが悪くなるそうです。
想像してみてください、2枚のピカピカのガラスを重ねると、くっついて動かなくなります。
2枚のすりガラスを同じように重ねて動かすと、動きます。
営業マンはきっとこのようなことを言いたかったのでしょう。
スナップバックへのこだわりが強く、マルチフィラメントを日頃あまり使用しない中居が試打をさせていただいて「サラサラ」の効果を判定したいと思います。 
バイオロジック128XXを張ったラケットで、目直しを一切やらずに4時間のダブルスをプレーした場合、ストリングの乱れはどうなるかチェックしたいと思います。

実際にプレーに使用したラケットは下記画像です。

画像の通り、ストリングの乱れはほとんどなく、「サラサラ」の効果が実証されました。
プレーの途中では、結構乱れがあり、「あれっサラサラ効果ないのかな」と思ったのですが、不思議なことに打っているうちに、元に戻ったのです。
過去の経験上、一度乱れたストリングが打っているうちに、元に戻る現象を見たことはありません。
「サラサラ」効果は本当でした。
通常のナイロンマルチフィラメントは、柔らかい打球感のため、歯切れの良さが失われますが、今回取り上げた【バイオロジックXX128】は、適度な柔らかさと歯切れの良さを併せ持っています。
 特に感じたのが、ボレーの時に食い付いた後の弾き出す感じがあり、綺麗なスライス回転がかかり、バウンド後に滑ってくれて相手は取りづらそうでした。
膝の怪我のため、久しぶりのテニスで強打ができない中、フォアスライスやロブを多用したのですが、ポリエステルではきっとミスをしているであろうボールがネットを越したり、前衛の上を抜くボールになったりしたのは、ストリングとボールの接触時間の長さがあったからです。
また、当てるだけでも弾いてくれるので、下半身の踏ん張りが効かない状態でもそこそこのボールが打つことができました。
バックハンドスライスの切れをよくしたい方やネットプレーで優位に立ちたい方にオススメです。また、体力があって、スイングの速い方ばかりではないと思うので、女性やベテランプレーヤーで少ない力でも切れを出したい方にはアシストしてくるでしょう。
 
タイトルのXXの答えは「スナップバック」でした。
スナップバックにこだわるプレーヤーも納得のストリングでした。 

*2022年12月追記
発売から2年経ち、大変好評で、1.28mmナチュラルカラーのみでの発売でしたが、1.23mmが追加され、それぞれにブラックカラーも発売され、4アイテムになりました。


ストリングにはそれぞれの役割があり、ポリエステルはスピン性能と耐久性、ナイロンモノフィラメントは反発力、ナイロンマルチフィラメントは打球感の柔らかさとコントロール性能が優位になります。
全てを兼ね備えたストリングはありませんでした。
バイオロジックXXは、普通のマルチフィラメントより、反発力が強く歯切れのいい打球感でありながら、マルチフィラメント本来の柔らかさも持ち合わせており、また、表面のコーティングをサラサラにすることで、ポリエステルのようなスピン性能を実現した次世代ストリングです。
耐久性だけは、普通のマルチフィラメントと変わらず、ポリエステルのような持ちはありませんが、ストリングがあまり切れないと言う方にはオススメの逸品です。