【GEEK通信】「柔らかい→硬い→柔らかい→硬いを繰り返すラケットの歴史に沿うようにクラッシュV2.0登場」
2022/03/21
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
「柔らかい→硬い→柔らかい→硬いを繰り返すラケットの歴史に沿うようにクラッシュV2.0登場」
私がテニスを始めた頃は、ラケットはウッドでできていました。
その後、金属になり、グラスファイバーになり、カーボンになっていきました。
ウッドからスチールやアルミになったときは、しなりがなくなり、反発がものすごく、コントロールするのが難しく感じました。
グラスファイバーは柔らかい打球感が特徴で、ウッドぽさもありましたが、すぐにカーボンの時代が到来します。ウッドから見れば、カーボンはしなりが無く、高反発が魅力でしたが、フレーム厚は20mm以下が普通で、厚ラケ(36mm前後)が発売されたときは、2倍の厚さで2倍のスピードが出てる錯覚がするほど、びっくりしました。
このように、ウッド(柔らかい)、金属(硬い)、グラスファイバー(柔らかい)、カーボン(硬い)、厚ラケ(さらに硬い)というように、柔らかい→硬い→柔らかい→硬いを繰り返しています。
硬い方が、反発力があり、面のブレも無く、硬ければ硬い方が良いように感じますが、実はそうでもないのです。
テニスという競技は、23.77mの広さのコートに、0.94mのネットの上を通して入れなければいけません。
ただ反発力が良いラケットでは、アウトしてしまうのです。
ラケットに求める機能は、スピード、スピン、コントロールの3つです。
1000分の4秒と言われるインパクトですので、しなった瞬間にボールは飛び出しています。しなればしなるほどパワーロスがあり、スピードをロスします。極力しならない硬いフレームの方がスピードは出るのです。
スピンは衝撃を受け止め、回転に転化してくれる、しっかりとしたフレームと適度なしなりも必要になっていきます。
コントロールは本来自分でするものなので、一概に硬い方が良い、柔らかい方が良いとは言い切れませんが、硬い方が方向性は良く、柔らかい方が距離感がよくなると思います。
以上を踏まえた上で、ウイルソン「クラッシュ」を考察していきましょう。
3年前(2019年)に発売されたクラッシュは、ウッドよりしなるというキャッチコピーでしたが、硬いラケット全盛だったので、革新的でした。
バボラピュアドライブが発売されてからの約20年は、しなるラケットでヒットしたモデルは記憶にありません。
クラッシュは大ヒットしたのですが、その理由は、「ボールがアウトしない」だったのです。
しなることで、反発力は低下し、飛距離は短くなります。
球持ちの長さから回転がかけやすくなり、さらにさらに飛距離が短くなります。
よって、バックアウトが極端に減ったのです。
私の周りのテニス仲間もこぞってクラッシュユーザーになり、「クラッシュショット」をお見舞いしてきました。
「クラッシュショット」とは、自分が勝手に呼んでいたのですが、アウトかなと思ってウォッチしたボールが急激に失速して入るボールのことを現しています。
いつもプレーをしていた仲間のボール軌道は脳裏に焼き付いていますので、この人のこの角度、このスピードはバックアウトと咄嗟に判断するのですが、ことごとく入るものですから、悔しくて「クラッシュショットかよー」と叫んでいたのです。
クラッシュにはまって使い続けている人がいる反面、「サービスのスピードが落ちた」「ショットの切れ味がない」などの理由で元のラケットに戻してしまう人も結構いたのです。
実際にプロプレーヤーの使用例は女子に1人いるか or いないかのレベルで、スピードが落ちることで、ミスが減るのは、アマチュアでは有効でも、プロの世界では通用しないのです。
スピードのあるボールを確率良く、安定したボールを打つために、厳しい練習をしているのです。
ただ、アマチュアはミスをしない人程勝利を手にしていることも多いのも事実です。
クラッシュはそのようなわけで、大ヒットし、初代のブラック×オレンジはすべて完売し、セカンドカラーのシルバー×オレンジに変わったのです。
そして遂に、フルモデルチェンジのバージョン2が発売になったのです。
早速、クラッシュ100(295g、310mm)を打ってみました。
間違いなく、前作より硬くなっていますが、ラケット全体的に見れば柔らかい方に入ります。余分なしなりが無くなり、パワーは相当アップしています。食い付いている感触があり、インパクトからしっかりと押せる手応えがあり、ストロークは緩急を付けながら、自在に操れます。
サービスのスピードも前作と比べ物にならないくらい良くなっています。特にボレーの感触が一番良くなったように感じました。
インパクト時に、ボールがフェイスにへばりつき、その後弾き出す感覚で威力も出る、距離感、方向性をコントロールできました。
クラッシュバージョン2は、柔らか過ぎず、ちょうど良い硬さに仕上がっています。
唯一、気になったのが、シャフトの「CLASH」の文字のエンボス加工です。
私はシングルバックハンドなので、常に左手でシャフトを触ってクルクル回しています。片側だけ掘ってあるので、違和感を感じました。
ポンドシールが少し剥がれるだけで、気になってしまうタイプなので、このCLASHの刻印は慣れるのに時間がかかりそうです。
見た目はカッコよく、気にしない方にはまったく関係の無いことですが、一度気になり出すともう止まりません。。。
クラッシュV2は、クラッシュ98、クラッシュ100プロ、クラッシュ100→エンボスロゴ
クラッシュ100L、クラッシュ100UL、クラッシュ108→プリントロゴ
今度はプリントロゴタイプも試打してみて、インプレしたいと思います。
>>>ウイルソン クラッシュバージョン2.0特設サイトはこちらへ
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