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GEEK通信「温故知新 バボラ編」
2024/03/08

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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは
テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
ウインザー
ラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 
テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレ
ーヤーです。
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「温故知新 バボラ編」
1875年創業の150年続く、テニスで最も古いメーカーです。
1875年を和暦にすると明治8年ですから、相当古いですね。
手術用の糸やチェロやバイオリンなど、楽器の弦を製造していた技術を元に、
羊の腸をラケットの糸にしたのが始まりです。
それがシープガット(羊の腸という意味)と呼ばれるようになった始まりです。

ガット張りとは、本来はナチュラルを張ることなんですね。
なので、ナイロンやポリエステルは本来、ストリング張りと言わないといけないのですね。
ナチュラルガットの名前になっている『VS』の意味を知っていますか。
ベリースペシャルではないんですね。
1920年代にフランスの四銃士(コシェ、ラコステ、ボロトラ、プルニョン)と
スザンヌランランと意見交換しながら、ナチュラルガットの開発を進めていく中で、
Aシリーズ、Bシリーズ、Cシリーズと品質の改良をしていった結果、
Vシリーズで完璧なナチュラルガットが完成し、スペリオール(優れた、上質な)の
Sを付けて『VS』とネーミングしたのが始まりです。
その後もVSオールシーズンでは、ガットの表面にオールシーズン加工を行い、
水分に強いアイテムを作りました。
しかしながら、表面加工のムラが原因で、薄いところから水分が浸透してしまったり、
厚いところが硬くなってしまうことがありました。
試行錯誤しながら完成したのがサーモガットテクノロジーです。
耐久性を高めるためのコーティング剤を、牛の腸のDNA配列を研究し、
ガットに浸透させました。
徐々に滲み出てくるため、従来の表面を覆うコーティングとは違い、ナチュラルガット本来の性能を阻害せずに、耐久性、耐湿性が飛躍的に向上しました。
『ナチュラルガット』は、ボール食い付きの良さに加えて復元力が強く、ボールを押し出す反発力が特徴です。
現在のラケットの進化は目覚ましく、数十年前とは比べ物にならないくらい反発力が向上しています。
そのため、単体でナチュラルガットを張ってしまうとパワーが過剰になり、
抑えが効かなくなってしまいました。
そこで、ストロークが得意な選手達はスピンがかかり、飛びを抑えてくれる『ポリエステル』を使用するようになりました。
ただポリエステル単体だと、柔らかいタッチを生かすことが難しく、
ナチュラルガットを縦や横に張る『ハイブリッド』が出てきたのです。
現在、トップ選手の4割くらいがナチュラルのハイブリッドを使用しています。


1994年、フランス本国でラケットの発売が開始され、
1998年、日本で遂に『ピュアドライブ』『ピュアコントロール』がデビューしました。
その後、『ピュアパワー』が加わり、パワー、スピン、コントロールの3本柱ができました。
現在、テニスラケットメーカーが3つのセグメントに分類していることを、
ラケット造りをスタートさせた当初からすでにできていたことはとても凄いことです。

ピュアドライブの大ヒットによって、黄金スペックというカテゴリーが生まれました。
バボララケットの大ヒットの秘密は、グロメットに「ある機能」を搭載したことです。
ウーファーグロメットと呼ぶ特殊なグロメットは、ストリングメーカーならではのこだわりが詰まっています。
半円状に膨らみを持たせたグロメットには2つの機能があります。
一つは、ボールがインパクトした瞬間に半円が押しつぶされ、
ボールがストリングに合っている縦糸4、5本と横糸4、5本の部分が大きく凹みます。
もう一つは、グロメットにテフロン加工のような摩擦を軽減する加工が施されており、
グロメットが滑車のような役目をしてストリングの動きをよくしてくれます。
本来、ラケットの真ん中に当たった場合は気持ちいい打球感でボールが飛び、
端に当たった場合は打球感も悪く、飛びも落ちてしまいます。
ウーファーグロメットはスイートスポットを外した場合でも、ボールがインパクトした部分のグロメットが凹みスイートスポットに近いフィーリングを実現します。

ピュアドライブを使用していたナダルは、彼のスピンをさらに進化させてくれる
アエロプロドライブに使用変更しました。
その後フレンチオープンを14回優勝する金字塔を打ち立てました。
グリップエンドにインパクト時のデータを記録するバボラプレイを搭載した機種を2015年に
発売、世界中のプレーヤーとデータを比較することができる画期的なモデルでした。
実際の試合でも、ナダルがラケットチェンジの際にグリップエンドを操作している映像が確認されています。
その後ピュアアエロにモデルチェンジしたものの、実際に使用していたのはアエロプロドライブの初期のモデルだったことを発表し、ピュアアエロRAFAオリジンを限定発売しました。

今後のバボラに期待することは、
150年もの間、革新的なストリング、ラケットを開発してきた実績を踏まえて、
今までにないアイテムを作り出してくれることです。
ナチュラル、ナイロン、ポリエステルの次にくる第4のストリングに期待しています。