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【GEEK通信】【ダイアデム】「本物か偽物か、ダイアデム誕生」
2020/03/30
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「本物か偽物か、ダイアデム誕生」
昨年、ダイアデムという新しいラケットブランドを初めて聞いたとき、怪しいブランドが出て来たなと思いました。
まったく新しいブランドが出てきたり10年以上前にあったブランドが復活して、SNSで取り上げられたり、SNSに広告を入れたりして、画期的な機能性を謳っていることをよく目にします。
実際に打ってみると、まったく嘘ではないですが、個人的には広告が少し大げさかなと感じることがゼロではありません。
スノワートも25年ぶりに復活したものの、はじめはあまり興味は湧きませんでした。
ところが、実際に試打してみたら驚きました。
厚ラケなのに食い付きがよくて、パワーがありながらスピンのかかりが非常によく、後日、トラックマンでデータを測ってみたら、過去最高の数字を叩き出しました。
それから現在までスノワート ビタス115は手放せないラケットになっています。
そのスノワートの新作ラケットの試打会があり参加させてもらったのですが、その試打会になんと今回取り上げますダイアデムのラケットもあったのです。 スノワートジャパン社長のK氏は、大手ラケットメーカーを渡り歩いてきた人で、ラケットメーカーの裏の裏まで知り尽くした人なのです。
そのK氏が惚れ込んで、ダイアデムの日本での正式な代理店になったのです。
K氏「ダイアデムはアメリカの数100位の選手が、トップ選手のヒッティングパートナーをしたときに、その選手のラケットが自分と同じメーカーのものなのに、まったく違っていることに愕然とし、トップ選手と同じレベルのラケットを作りたいと思ったところから生まれたブランドなんです。」
市販のラケットと世界のトップ選手のラケットは、同じでないこともあります。
ただし、特別仕様は本当のトップ選手だけで、ほとんどの選手は市販のラケットを使っていて、そこから強くなっていくのです。
K氏「ダイアデムのこだわりは、ラケットの内部にびっしりとポリウレタンフォームコアが詰まっていて、カーボン繊維もかなりいいものを使っています。」
ウレタンフォームを詰めるとかなり重たいラケットになってしまうので、通常のラケットは空洞になっています。 よほどいいカーボンを使わないと内部にフォームコアを入れて300gには仕上がらないのです。
半信半疑で実際にボールを打ってみました。 1球で違いがわかりました。
まず甲高い音がキーンと響きます。
ラケットの剛性はかなり硬い感じはしますが、ホールド感があり、スピードボールがバンバン飛ぶのですが、自分の手の内でコントロールできてしまうのです。
うーん気持ちいい!
セントビンセント製のプロスタッフを思い出しました。
98平方インチ315gでフレーム厚21.5mmのエレベートツアーと305gのエレベートをまず打ち比べました。 さすがに自分の体力では、305gがギリギリ振り切れる重さでした。
ただ体力のある方なら、315gがより威力が出て、今回登場したメーカーの目指すトップ選手と同じラケットに近づくことになるでしょう。
100平方インチ300gでフレーム厚23.5mmのノヴァと285gのノヴァライトも打ってみました。
大和スペックはアメリカにも広がってきているようです。 軽くパワーが出て、スピンも楽にかかるのでノヴァの方が万人に向いた設計になっています。
トラックマンでデータを取ってみると、スピンのかかりが跳ね上がっています。
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エレベートツアー:スピード108km.  
         スピン2,903rpm
エレベート   :スピード109.6km
         スピン2,944rpm
ノヴァ     :スピード107.3km   
         スピン3,130rpm
ノヴァライト  :スピード111.0km
         スピン3,508rpm ---------------------------
このデータからわかるようにスピンの回転数は3,000回転前後出ており、過去にデータを取ってきたラケットの中でもずば抜けています。
一番良かったのが、ノバライトでスピードとスピンが共にナンバーワンでした。
ただ気になるのが、レングス(飛距離)が24.3mでバックアウトしている点です。(ベースラインまでの距離は23.77m)
解決する方法がひとつあります。
スピンの回転量を増やすことです。
実はダイアデムはストリングメーカーで、ソルティスパワーという星型断面形状のポリエステルを発売していますが、トラックマンでデータを取ったときは、 ナイロンストリングのエボリューションが張ってあり、試打会で初めて打ったときは、ソルティスパワーが張ってありました。 ソルティスパワーで打ったときは、打球音が高く、食い付きがよく、スピンがかかっていながらボールの伸びを感じました。
通常ポリエステルはナイロンより20%程スピン量がアップすると言われています。
スピン量とボールの伸びは比例しなさそうですが、星型断面形状のおかげでそれが可能になっているようです。
スピン量の向上のためには、ストリングとボールの接触面積を上げ摩擦抵抗を上げなくてはなりません。
1.25mmより1.30mmのゲージの方が接触面積を増やせるので、パワーがあってボールを潰せる方は太ゲージの方が良いのですが、太くなると反発力が落ちます。
アメリカでは1.30mmが標準で日本では1.25mmが標準なのは、基礎体力の差からきていると思います。
ソルティスパワーは、形状を星型にすることで、表面面積が大きくなり、1.25mmでも1.30mmかそれ以上の効果があります。
また、インパクトの瞬間尖った先端が折れ曲がりボールとの接触面積を広げ、ボールが離れる寸前に元の星型に戻りスナップバックを助長します。
ノヴァライトにソルティスパワーを張れば、スピードとスピンを向上させながら、ベースラインに収まるボールを打てる可能性が高まります。
新しいものには慎重になることも必要ですが、食わず嫌いにならないようにしようと自分自身に言い聞かせるきっかけとなる、面白いブランドが誕生しました。
【GEEK通信】【ソリンコ】[考察]「5角形ポリエステル、ソリンコのコンフィデンシャルとハイパーGを比べてみました。」
2020/03/20
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「5角形ポリエステル、ソリンコのコンフィデンシャルとハイパーGを比べてみました。」
グランドスラムタイトル、シングルス23、ダブルス20。
年間最終ランキング1位を8度を誇る選手は誰でしょうか?
今でも現役の日本人選手です。
もうお分かりですね、車いすテニスの国枝慎吾選手です。
一時、肘の怪我もあり、スランプになったこともありましたが、完全復活をしています。
海外の若手選手がどんどん出てきていますが、国枝慎吾選手の打ち方にそっくりな選手が結構現れています。
そんなレジェンド的な国枝慎吾選手が張っているストリングは縦バボラVSタッチ130、横ソリンコハイパーGです。
恐らく【こだわっていること】は、肘に優しく、試合に勝てる力強いボールが打てることだと思います。
間近で練習を見たことがあるのですが、ボールがとてつもなく速いと感じました。
2019年のマクラクラン勉選手は「ハイパーG」を使用していましたが、最近では黒っぽいストリングに変えています。
デルレイビーチのダブルス決勝では、惜しくもブライアン兄弟に負けて準優勝でしたが、ペアのバンブリッジ選手、対戦相手のブライアン兄弟の3人が、ソリンコのステンシルを入れており、3人とも「ハイパーG」を張っていました。
もしかしたら、当時マクラクラン選手もソリンコの最新モデルの「コンフィデンシャル」を張っていたかもしれません。
最近、学生さんの間で「ハイパーG」が流行っており個人的に気になったおりました。

その流行の秘密を探るべく、最新モデルの「コンフィデンシャル」と「ハイパーG」を試してみました。
お恥ずかしいことに、「ハイパーG」をまだ打ったことが無かったのです。
ソリンコの「ツアーバイト」は、2011年にソリンコがデビューしてすぐに試しました。
ソリンコ「ツアーバイト」
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当時、縦ナチュラル、横ティモ110のハイブリッドを張っていて、横糸は極細が良いと勝手に結論付けていました。
その理由は、縦糸がスナップバックするときに、横糸との摩擦抵抗を受けるわけですが、出来るだけ少なくする方法として、表面をツルツルさせて極力細くすることでした。
行き着いたのが最も細い1.10mmのルキシロンの「ティモ」だったのですが、「ツアーバイト」はさらに細い1.05mmという超極細ゲージがあり、早速、縦ナチュラル、横ツアーバイト1.05mmを張ってみました。
ところが、このハイブリッドは失敗に終わりました。
なぜならツアーバイトは5角形の断面を持つストリングで、スナップバックの時に、ナチュラルガットの表面を削り取り、張ってから数回のテニスで切れてしまったのです。
それ以来、5角形のストリングに苦手意識があり、各メーカーの5角形(ポリツアースピン、ブラックコード)を恐れていました。
食わず嫌いだったのですが、先日ブラックコードを打ってみて分かったので、
今回のストリング試打で「ハイパーG」
「コンフィデンシャル」の5角形対決は楽しみになりました。
レヴォCS10.0に縦50ポンド横47ポンドで張り、シングルスの試合を1セットずつプレーしました。
1セット目は「コンフィデンシャル」を使用し、6-1で取りました。
最近フォアハンドのスライスを多用するになり、7割くらいスライスを使いました。
「コンフィデンシャル」のホールド感が素晴らしく、スライスショットの空中でのひと伸びが効いていて、対戦相手のショットが浅くなることが多く見られました。
「スライスが伸びてきて、非常に返しづらかった」と相手選手は言っていました。
ソリンコ「コンフィデンシャル」
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2セット目は「ハイパーG」を使用しましたが、スライスの伸びが悪くなり、途中からフォア、バックともにスピンに変更し、かろうじて6-4で取ることができました。
「コンフィデンシャル」に比べ、「ハイパーG」は硬く、スライスのノリが悪く感じたので、スピンを強くかける打ち方に変えたのですが、今までとはまったく打球感が変わり、食い付きが良くなり、柔らかく感じるまでに豹変しました。
ソリンコ「ハイパーG」
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「ハイパーG」は、低速スイングではホールドしませんが、高速スイングになると途端にボールが噛みついてきます。
コンフィデンシャルは、どんなスイングでも食いついてくるホールド感の良さが特徴で、コントロール性に優れるポリエステルストリングです。
ちなみに「ハイパーG」は、攻撃的にスピンで攻めるストローカー向きのストリングですが、反発も強いのでスピンをかけないでハードヒットすると暴発することがあるので注意が必要です。
ソリンコ(SOLINCO)とは、SOL(太陽)in COSMO(宇宙)で「我々がいるコミュニティと世界全体に魅力ある輝かしい光を照らす」という意味をこめた造語です。
スピンにこだわった多角形ポリエステルがメインで、アメリカのカレッジチームをサポートしており、そこから育った選手がプロになり、ソリンコを広めています。
世界的なストリング評価のウェブサイトで、6年連続でスピン部門1位をソリンコで独占しています。
※ツアーバイトとスピンGで獲得
ナイロンストリングでは難しい多角形形状のポリエステルは今後益々進化していくでしょう。
【GEEK通信】【テクニファイバー】「テクニファイバーのストリングをサービス中心に試打してみました。」
2020/03/16
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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【テクニファイバー】「テクニファイバーのストリングをサービス中心に試打してみました。」
ストリングの試打は、ラケットの試打より難しいと思います。
その理由は、ラケットの性能の違いは一本一本大きく異なり、ストリングの性能の違いはわずかだからです。
例えば、食べ物で例えると、りんご、バナナ、みかんなどの果物の種類がラケットの種類で、りんごの品種で、ふじ、あかね、ほのかなどがストリングの種類みたいなものです。
当然、りんご、バナナ、みかんは誰でも違いは一目瞭然です。
りんごの品種は、同時に、食べれば違いがわかると思いますが、ほかのものといっしょに食べてしまっては違いがわからないこともあります。
ストリングの試打もそれと同じで比べる条件を一定にしないと、違いがわからないのです。
違うラケットに張ってあったり、テンションが違っていたりしてはわからなくなります。
また、飛んでくるボールが一定でないとわからなくなります。
しかし、問題は自分の試打のルーティンはダブルスのゲームの中で行うことなので一定のボールは飛んでいきません。
そこで考えたのが自分のサービスゲームを一定のルーティンで行うことです。
サービスは唯一相手のボールは関係しません。
最低でも4球は打てるので、
1球目=デュースコートからセンターにフラット。
2球目=アドコートからセンターにスライス。
3球目=デュースコートからワイドにスライス。
4球目=アドコートからワイドにスピン。
を全試合で打つことに決めました。
今回のストリング試打はテクニファイバー特集ということで、ブリヂストン協力の元、XブレードBX300にナイロンは50ポンド、ポリエステルは48ポンドで張り上げました。
30年くらい前はほとんどのプロ選手はナチュラルガットを張っていましたが、テクニファイバーはマルチフィラメントのナイロンストリングにポリウレタンの樹脂を浸透させたまったく新しいストリングを開発したメーカーで、その後トッププロの使用が増え、低価格でナチュラルのフィーリングが味わえることでアマチュアにもブレイクしたフランスのストリングメーカーです。
4ゲーム先取の試合なので最低でもサービスゲームが一回やってくるので、サービスゲームの結果を中心に、ゲーム終了ごとにインプレッションをメモしていくスタイルで行いました。
サービスを打つコースを決めて打つというのは、初めての体験でしたが、相手のリターンの立ち位置に惑わされることなく、ルーティン通りに打つことで、ファーストサービスの入る確率が大幅にアップしました。
普段ですと、相手の立ち位置、フォアバックの得意不得意、スコアの流れなど気にすることがいっぱいあり、前衛の動きに気を取られたりして集中力が欠如することが多かったようです。
初めから、打つサービスのコース、球種が決まっていると雑念が湧かずシンプルになり、確率も良くなると言うことですね。
普通の時も決め打ちは良いのかもしれませんね。
X ONEバイフェイズ1.24(マルチフィラメント)
TGV1.30(マルチフィラメント)
XR3 130(モノマルチフィラメント)
HDMX1.30(ポリ、ナイロンマルチフィラメント)
BLACK CODE1.24(ポリエステル)
ICE CODE1.25(ポリエステル)
RAZOR CODE1.25(ポリエステル)
の順番で打つことにしました。
ナイロンストリングで今最もナチュラルガットに近いと言われているX ONEバイフェイズ1.24からテスト開始です。
ナチュラルガットに近いと言われる理由がわかりました。
食い付きが良いのは当然なのですが、食い付きすぎずに反発するところがナチュラルガットに似ています。一般的なマルチフィラメントは、食い付きは良いのですが、反発力が吸収されてしまい、まったりとした鈍い感触になりがちですが、X ONEバイフェイズは製造工程で一度ストレッチをかけており、食い付き過ぎずに反発力を生かす工夫がされているのです。
1991年の全米オープンでストリンギングをした時のことですが、この当時オフィシャルストリングはテクニファイバー社で、テクニファイバーのストリングを張る前には、必ず2人のストリンガーでストリングの両端をペリカン(ガット張り用ペンチ)で持ち、12mの距離で引っ張りあうのです。
このストレッチをすることでストリングがピンッとして余計な緩みが取れしっかり張れるのと、テンション維持が良くなると言われておこなっていました。
片言の英語で、「ストレッチOK」と言って引っ張るのですが、引っ張ってる時に相手が離さないか不安でした。
恐らくこの引っ張りあう作業工程からバイフェイズは生まれたのではないでしょうか。
次に試打したのが、TGV130です。
この食い付き感はナチュラルガット以上ではないでしょうか。スピード感は無いものの、ストリングに当たっている時間は相当長く感じます。 サービスの切れ味はまずまずと感じますが、ストロークやボレーのコントロールがし易く、安定感のあるストリングでした。
全メーカーの中でも、これ程柔らかい打球感のストリングは無いのではないでしょうか。
XR3 130は、ど真ん中にモノフィラメントが入っているモノマルチストリングです。
サービスの威力が出ていました。
食い付きは程々ですが、7対3でマルチフィラメントのフィーリングで、しっかりとした打球感が好きな方に合うと思います。
切れる間際に、透明のモノ芯が出てくるので、張り替えるタイミングが分かり易くて良いのではないでしょうか。
そしてHDMXは画期的なインナーハイブリッドです。
普通ハイブリッドは縦糸と横糸をポリとナイロン(又はナチュラル)で変えますが、テクニファイバーは縦と横の異素材ハイブリッドはテンション維持の違いから否定的で、1本のストリングでポリとナイロンをハイブリッドしてしまいました。
フィーリングは6対4くらいで、ポリエステルがやや強めです。
スピンサービス、スライスサービスの変化が大きく、フリーポイントを取れるケースがありました。
ローボレーやドロップボレーなど柔らかいタッチショットが打ちやすく、ナイロンからの乗り換えはしやすそうです。
またBLACK CODE124は、ガラッとイメージが変わりました。
今まではストローカー向きのスピン系ストリングの印象がありましたが、反発力があって、今回打ったストリングの中で一番サーブスピードが出てましたし、スピンサービスの跳ね方も一番でした。
ボレーもしやすくオールラウンドなポリエステルで、定番アイテムとして人気があるのも頷けます。
ICE CODE125は、発売以来ずっと使っていますが、打球感がマイルドで、バウンド後のボールの伸びがよく大好きなポリエステルです。
テンション維持もよく、欠点の少ないポリエステルです。艶のある白色も特徴的です。
RAZOR CODE125は、硬めの打球感で飛びを抑えている印象です。
(自分のスイングスピードでは、性能を引き出すことができませんでした。)
本来ポリエステルとは、ハードヒッターでスピン系ストローカー向けに開発されたストリングですので、打ち応えのあるポリが好きな方におすすめです。
今回ブリヂストンスポーツの協力もあり、同じラケットを7本用意していただき、ストリングの試打を行うことができました。 本当にありがとうございました。
なかなかまとめて比較することが出来ないので、大変有意義なテストができました。
機会があれば、また開催したいと思う企画でし た。
【GEEK通信】【プリンス】「ファントムグラファイト107の試打結果が大変良かったです。」
2020/03/06
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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【プリンス】「ファントムグラファイト107の試打結果が大変良かったです。」
1989年全仏オープン決勝、マイケル・チャン VS ステファン・エドバーグの試合を30年ぶりに観てみました。
マイケルチャンは17歳3ヶ月でグランドスラムを優勝し、その最年少記録は今でも破られていません。
この大会の第一シードのレンドルとの対戦では、途中ケイレンしながらプレーし、意表をつくアンダーサーブなどでなんとか勝ち上がり、決勝のエドバーグ戦を迎えたのですが、17歳とは思えない戦い方をしていました。
エドバーグと言えば、華麗なサーブアンドボレーが有名ですが、チャンはそれを封じるためにある作戦を実行しました。
エドバーグのサービスで始まったのですが、なんとチャンはベースラインより2mくらい前でリターンを構え、エドバーグのボレーを封じる作戦です。
まんまとはまり、エドバーグはダブルフォルトでこのゲームを落とします。
その後もチャンの作戦は大当たり、エドバーグより先にネットに出て相手の得意な形に持っていかないようにしました。
出鼻を挫かれた展開となり、気がつけば6-1です。
落ち着きを取り戻したエドバーグは第2セット、第3セットを取りましたが、いつも以上にエドバーグは体力を削られ、第4セット、第5セットはチャンが取り優勝しました。
びっくりしたことが3つありました。まずチャンの寝癖がすごかったことです。
17歳だとあまり気にしないのかもしれません。
二つ目は、第5セットの時、エドバーグがコーラ(?)を飲んでいたことです。
やっぱり疲れた時は炭酸なんですね。あの形のビンで真っ黒の飲み物はコーラだと思います。ゲップしていたので間違いないでしょう。
三つ目は、チャンがチェンジコートの時に食べていたものです。
ヒントは全仏オープンならではのものです。
「フランスパン」です。 アナウンサーが驚いていました。
当時のチャンは、プリンスグラファイトOSでエドバーグはウイルソンプロスタッフミッド85を使用していました。
山なりのボールのラリーで、現在のテニスに比べかなり遅いスピードでしたが、アマチュアには非常に参考になる基本に忠実な打ち方+試合の組み立てをされていました。
浅いボールはスライスでアプローチを打ち、ボレーでオープンコートに深く打つことをしていました。
現在では、浅いボールは一発でエースを取られてしまいます。ボレーもただ深いだけだと、パッシングショットで逆襲を受けてしまいます。
ですが、それはプロや上級者の話です。
ほとんどのウィークエンドプレーヤーは、山なりのボールを打っています。
プロの真似をしてハードヒットしているプレーヤーは、ミスが多く試合では中々勝つことができないシーンを目にします。
1989年の全仏オープン決勝の映像を見る機会があれば、大変参考になるのでお時間があれば観てみてください。 ということで本題の「ファントムグラファイト」の試打速報に移りたいと思います。
新型コロナウイルスの影響で、中国の生産工場の遅れがあり、3月末に発売予定が大幅に遅れそうな気配ですが、試打結果が大変良かったので、インプレをご報告致します。
ファントムグラファイトは107と100が発売予定ですが、100の発売は5月なので、今回は107のみ試打しました。
私中居は、30年前にノングロのグラファイト110から始まり、ピングロ、1本ライン、4本ラインと歴代のグラファイトを使い倒していました。
ノングロ:グロメットが無い直接フレームホールにストリングを通す仕様
ピングロ:グロメットが採用されていますが、1本1本独立している仕様
その後、サンダースティックOS、ボルテックス、O3ブルーなど扱い易いラケットに乗り換えてしまいました。
数年前に、自宅の屋根裏部屋からグラファイトOSを発見し、意気揚々とコートに持っていきました。
ところが、全然良いボールが打てないのです。
打てないどころか、ネットより低いボールを手首のスナップを使ったトップスピンで打ち返そうとしたら、ネットの真ん中あたりにドスンと突き刺さったのです。最近のラケットなら、大体はこの打ち方でネットを越えているはずなのですが、全然持ち上がらないのです。
ラケットの進化をイヤと言うほど、この時は感じてしまいました。 そして今回ファントムグラファイトはこの打ち方でネットを越えるのか、試してみました。
1球目はドスンでした。
2球目は簡単に持ち上がりました。
1球目はど真ん中で打ち、2球目はやや先端の方で打ちました。
スイートスポットは上に広がっており、先の方で捉えると、回転がかかり、パワーも出ていました。
中身の詰まった打球感の107平方インチは本当に久しぶりです。
RA値は61(ギーク調べ)で、昔のグラファイトよりシャフトは柔らかくなっています。
恐らくフェース面は上に行くほど硬くなっていると思います。
想像よりもパワーもあり、バックハンドのスライスの伸びやボレーの扱いやすさはダブルスで生きていきそうです。
今回の試打では、エンブレムコントロール(マルチフィラメント)を45ポンド(面圧57でした)で張ったのですが、ナチュラルで張ってみたらどうなるか試してみたくなりました。
もう少しテンションを下げた方が食いつき感が増し、面白いラケットになるのかなと感じました。
40代50代の方は、昔懐かしい打球感に目頭を熱くし、最新のテクノロジーの凄さも感じることでしょう。
60代以上の方はご自身の体力と相談してプレーしてくださればと思います。