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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
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【月一企画】ショット別にラケットを考える第六回『フラットストローク&スライス』
久しぶりの【月一企画】です。
※「全然月一じゃない」と思われている皆様のお顔が浮かびます。。
ということで不定期開催のショット別にラケットを考える「フラットストローク&スライス」をお送りします。
近年のラケットはパワーがあり、トップスピンをかけないとバックアウトしてしまうものがほとんどで、ラケットのキャッチコピーも「スピンが凄い」は必ず入るワードです。
ただアマチュアのベテランはトップスピンを苦手にしている方も多いのです。
私もそうなのですが、テニスを始めたときのラケットがウッドラケットでした。
現在のカーボン製のラケットとは違い、ボールが飛ばないので、ベースライン深く威力のあるボールを打つには、フェース面をフラットに当て、インパクトから打ち出し方向へ真っ直ぐ30cmくらい押し出すように打ったものです。
グリップは、コンチネンタルからイースタンで握り、クローズドスタンスからスクエアスタンス(ベースラインに対して90°)です。
この打ち方でテニスを覚えてしまうとトップスピンを打つのが大変です。
ということで、50代以上の方はまだまだフラットで打つことが多いのです。
グリップ、フットワーク、スイングフォームを直すことが一番良いのはわかっています。
ただ体力も段々と衰えていく中で、スイングスピードも落ちていきます。フラットからスライスが身体に負担が少なくて、楽で良いのです。
今回は、現代テニスに逆行するフラット、スライステニスに合うラケットを探していきましょう。
ベテランプレーヤーが初めて手にしたウッドラケットとは、どんな特徴があったのでしょうか。
素材が木や竹などの木材ですので、柔らかく非常にしなりがありました。
フェース面積は80平方インチより小さく、重量が350g前後はありました。
しなりがあって、フェース面積も大きすぎず、ウエイトも軽すぎず重すぎないラケットが候補になります。
私の独断で選んだフラット、スライスが打ちやすいモデルは以下の5機種です。
ブリヂストンXブレードBX 290
ウイルソンブレード98 S
ウイルソンクラッシュ100
ヨネックスEゾーン98 LG
ダンロップCX400 ブリヂストンXブレードBXは、305と290がしなりがあり、300と280が少し硬めで弾くタイプです。
流石に、305はベテランには難しいので290がベストチョイスになります。
ボールのノリがよく、インパクトから少し押す感覚があります。
フラットは当然良い感じで打てるのですが、さらに良いのがスライスです。スライスが浮かずに伸びるボールが打てるので、バックは片手でスライスを多用する方におすすめの一本です。
高音の打球音が心地よく、気持ちよくプレーできます。 ウイルソンブレードSは、ストリングパターンに18×16を採用した本来ならスピンに特化したモデルなのですが、実際に打ってみると、フラットのコントロールがよく、深く打ったり、左右の打ち分けが楽でした。
本来なら98平方インチ、21mmのスペックはベテランには難しいのですが、18×16のストリングパターンのおかげで、食いついてからの復元力で飛ばしてくれるので、スナップバックはスピンだけでなくフラットショットにもメリットがあります。スライスはバックスピンですから当然打ちやすく、ネットの下から浮き上がる弾道を楽しむことができます。 ウイルソンクラッシュ100は、フレームのしなりでは右に出るラケットは無いくらいで、ウッドのようなしなりと謳っているのはウソではありません。
ウッドラケット育ちの方には、押すように打つ感覚が蘇ることでしょう。 ウッドラケットとクラッシュ100の違いは捻れれるか捻れないかで、一般的にしなりと捻れは同時に起き、パワーロスや打ち出し方向のズレが起こってしまいますが、クラッシュ100は捻れないために方向のズレが無くコントロール性能を失わないのです。 ヨネックスEゾーン98(LG)は、大坂なおみ選手やキリオス選手のイメージからハードヒッター向きの硬いラケットのように思われがちですが、実は非常にノリのあるしなりを感じるモデルなのです。
ただ、Eゾーン100に比べて飛びを抑えているので、スピンをかけると浅くなることがあるのです。
フラットストロークの一番難しいところは、打ち出し角度が上過ぎるとバックアウトしてしまうことです。
少し飛ばないくらいの方が安心して打ち込めるので、Eゾーン98はバックアウトが少なく安定感があるのです。 ダンロップCX400は、しなるというよりフェース面にめり込んでいるような感覚のホールド感があるラケットです。
パワーもあるので、ベテランや女性にも反響があり、振動吸収性の高さから腕の負担を気にする方にも支持されています。
ボレーのしやすいラケットなので、フラット、スライスのアプローチからネットで勝負する方にオススメの一本です。 以上独断と偏見で選びましたので合わない方もいらっしゃると思いますが、
ストリングに関してはマルチフィラメントのウレタンコーティングで間違いはないでしょう。
推奨ストリングは、バボラエクセル、テクニファイバーTGV、ウイルソンNXTなどです。 スピン系の方には若干切れてしまいやすいストリングですが、フラット・スライス主体の方には切れる心配もなく、食いつきの良さを堪能できるはずです。 力に自信が無い方や、ネットプレー中心の方は細めの1.25mm、ストロークで粘るプレーの方は1.30mmがオススメです。
【GEEK通信】【プリンス】「プリンス ファントム3年ぶりの新作が良い味を出しています」
2019/10/10
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
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「プリンス ファントム3年ぶりの新作が良い味を出しています。」
前作から3年経ち、ファントムシリーズの新作が11月に発売されます。 前作のファントム100XR-Jは「ファントムO3 100」、ファントムプロ100XRは「ファントム100」となり、わかりやすいネーミングに変わります。
ただし、モールドやスペックの変更をすることなく、最新のテクノロジーを取り込んだモデルに進化しています。
ファントムO3 100のフレーム厚16.5mmは、薄ラケの名品プロスタッフ85の17mmより薄く、現在発売されているラケットの中で恐らく一番薄いラケットです。
フレーム厚イコール、ラケットのパワーと言ってもいいでしょう。
インパクトの瞬間ボールとストリングの接触時間は1000分の4秒と言われており、ラケットが最もしなっているあたりでボールは飛んでいってしまうので、しなりが大きいラケット(薄いフレーム)はパワーロスが大きくなります。フレーム厚の厚い(30mm前後)ラケットは、しなりが小さくなり、パワーロスも少なくなり、飛びがよくなります。
1980年代後半、20mm以下がスタンダードとされている時代に、厚ラケを最初に広めたウイルソンのプロファイルは36mmの厚さを持ち、その爆発的な反発力に度肝を抜かれました。
すぐに大ヒットし、各メーカーから同様の厚さのラケットが発売され、厚ラケブームが起こったのですが、それほど長くは続きませんでした。
その理由は、限られた距離にボールを収める競技の特性からハードヒッターほどバックアウトしてしまいエースも取れるがミスも出るというジレンマに陥ったからでした。
現在は中間の厚さの26mmがフォーカスされ、パワーとコントロールが両立したモデルが各メーカーの主力商品となっています。
では、薄いラケットを使用するメリットはなんなのか考えていきましょう。
飛ばないことで得られるメリットは、バックアウトを気にしなくて良いので、加減なくフルスイングできることです。
スイングを速くすることで、回転量が増え、鋭角に入ったり、バウンド後の跳ね上がりが大きくなり、相手に取りづらいボールを打つことが可能になります。
【ファントムO3 100】は16.5mmという薄いフレームのためしなりが大きく(RA値60 ギーク調べ)飛びを抑えた設計で、自身のフルスイングを基準にボールコントロールができるラケットです。
ただ、実際に打ってみると、確かに飛び過ぎはないのですが、ボールのスピードは思ったより速いのが不思議でした。
その理由はO3(穴の大きく空いたストリングホール)によるものと、テキストリーム×トワロン(最新の素材)によるものです。
O3はストリングの可動域を大きくし、ボールとストリングの接触時間を長くしたり、スポットを外れたボールのスピードダウンを軽減する機能があります。
1000分の4秒を長くできれば、フレームはしなり戻りを使え、ボールを押し出す効果があります。 テキストリーム×トワロンについてですが、まずラケットの材質はどのラケットもカーボンを使用しており、繊維状のカーボンを樹脂で固めて製品にします。その樹脂(接着剤みたいなもの)には、反発力もなければ、振動吸収を高める効果もありません。
テキストリームはその樹脂を少なくすることに成功した最先端カーボンなのです。 **イメージ**
カーボン150g +樹脂150g=300g(ノーマル)
カーボン200g +樹脂100g=300g(テキストリーム)
※数値は例えとして表現しています。
カーボンの量が多ければ、反発力、衝撃吸収が高まるのです。
さらに、今作には防弾チョッキにも使用されているトワロンを追加し、衝撃吸収をこれでもかと言わんばかりに高めているのです。
しなるラケットの欠点と言われていた、捻れ問題もフェースの2時10時にテキストリーム×トワロンを採用しトップ方向で打つことが多い上級者もぶれを気にせずハードヒットできる仕様になっているのです。
薄くてしなるのに、スピードが出るのはこういった工夫があるからなのです。
スピンサービス、スライスサービスを打つとビックリするくらい回転がかかってキレのあるボールが打てるので試してみてください。 【ファントム100】は、20mm-22mmのフレーム厚、クラシックグロメットでRA値62(ギーク調べ)のアベレージモデルです。
ファントムO3 100に比べ、打球音が静かで、しっとりとした柔らかいフィーリングでありながらパワーもあり、許容範囲の広いラケットです。
スピン、スライス、フラット系どれも良い感じに飛んでいき、ハードヒットしなくても相手コートへ深く入ってくれます。
ボレーに関してはファントムO3 100より行いやすいのは間違いないでしょう。 また、試打をする直前にグリップのビニールをはがしたのですが、天然レザーに近いフィーリングの元グリップを採用していて、8角形の角がはっきりしていてトワロンを使ったことによる衝撃吸収効果が高すぎて打球感がぼやけるマイナス要因は相殺されています。
今回の改良は、上級者がフェース上部で打った場合に起きていた捻れや打ち負けが軽減されていることで、最も望まれていた改良点ではないでしょうか。
デザインも一段とプリンスらしく洗練されており、店頭に並ぶのが待ち遠しいラケットです。
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
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「プリンス ファントム3年ぶりの新作が良い味を出しています。」
前作から3年経ち、ファントムシリーズの新作が11月に発売されます。 前作のファントム100XR-Jは「ファントムO3 100」、ファントムプロ100XRは「ファントム100」となり、わかりやすいネーミングに変わります。
ただし、モールドやスペックの変更をすることなく、最新のテクノロジーを取り込んだモデルに進化しています。
ファントムO3 100のフレーム厚16.5mmは、薄ラケの名品プロスタッフ85の17mmより薄く、現在発売されているラケットの中で恐らく一番薄いラケットです。
フレーム厚イコール、ラケットのパワーと言ってもいいでしょう。
インパクトの瞬間ボールとストリングの接触時間は1000分の4秒と言われており、ラケットが最もしなっているあたりでボールは飛んでいってしまうので、しなりが大きいラケット(薄いフレーム)はパワーロスが大きくなります。フレーム厚の厚い(30mm前後)ラケットは、しなりが小さくなり、パワーロスも少なくなり、飛びがよくなります。
1980年代後半、20mm以下がスタンダードとされている時代に、厚ラケを最初に広めたウイルソンのプロファイルは36mmの厚さを持ち、その爆発的な反発力に度肝を抜かれました。
すぐに大ヒットし、各メーカーから同様の厚さのラケットが発売され、厚ラケブームが起こったのですが、それほど長くは続きませんでした。
その理由は、限られた距離にボールを収める競技の特性からハードヒッターほどバックアウトしてしまいエースも取れるがミスも出るというジレンマに陥ったからでした。
現在は中間の厚さの26mmがフォーカスされ、パワーとコントロールが両立したモデルが各メーカーの主力商品となっています。
では、薄いラケットを使用するメリットはなんなのか考えていきましょう。
飛ばないことで得られるメリットは、バックアウトを気にしなくて良いので、加減なくフルスイングできることです。
スイングを速くすることで、回転量が増え、鋭角に入ったり、バウンド後の跳ね上がりが大きくなり、相手に取りづらいボールを打つことが可能になります。
【ファントムO3 100】は16.5mmという薄いフレームのためしなりが大きく(RA値60 ギーク調べ)飛びを抑えた設計で、自身のフルスイングを基準にボールコントロールができるラケットです。
ただ、実際に打ってみると、確かに飛び過ぎはないのですが、ボールのスピードは思ったより速いのが不思議でした。
その理由はO3(穴の大きく空いたストリングホール)によるものと、テキストリーム×トワロン(最新の素材)によるものです。
O3はストリングの可動域を大きくし、ボールとストリングの接触時間を長くしたり、スポットを外れたボールのスピードダウンを軽減する機能があります。
1000分の4秒を長くできれば、フレームはしなり戻りを使え、ボールを押し出す効果があります。 テキストリーム×トワロンについてですが、まずラケットの材質はどのラケットもカーボンを使用しており、繊維状のカーボンを樹脂で固めて製品にします。その樹脂(接着剤みたいなもの)には、反発力もなければ、振動吸収を高める効果もありません。
テキストリームはその樹脂を少なくすることに成功した最先端カーボンなのです。 **イメージ**
カーボン150g +樹脂150g=300g(ノーマル)
カーボン200g +樹脂100g=300g(テキストリーム)
※数値は例えとして表現しています。
カーボンの量が多ければ、反発力、衝撃吸収が高まるのです。
さらに、今作には防弾チョッキにも使用されているトワロンを追加し、衝撃吸収をこれでもかと言わんばかりに高めているのです。
しなるラケットの欠点と言われていた、捻れ問題もフェースの2時10時にテキストリーム×トワロンを採用しトップ方向で打つことが多い上級者もぶれを気にせずハードヒットできる仕様になっているのです。
薄くてしなるのに、スピードが出るのはこういった工夫があるからなのです。
スピンサービス、スライスサービスを打つとビックリするくらい回転がかかってキレのあるボールが打てるので試してみてください。 【ファントム100】は、20mm-22mmのフレーム厚、クラシックグロメットでRA値62(ギーク調べ)のアベレージモデルです。
ファントムO3 100に比べ、打球音が静かで、しっとりとした柔らかいフィーリングでありながらパワーもあり、許容範囲の広いラケットです。
スピン、スライス、フラット系どれも良い感じに飛んでいき、ハードヒットしなくても相手コートへ深く入ってくれます。
ボレーに関してはファントムO3 100より行いやすいのは間違いないでしょう。 また、試打をする直前にグリップのビニールをはがしたのですが、天然レザーに近いフィーリングの元グリップを採用していて、8角形の角がはっきりしていてトワロンを使ったことによる衝撃吸収効果が高すぎて打球感がぼやけるマイナス要因は相殺されています。
今回の改良は、上級者がフェース上部で打った場合に起きていた捻れや打ち負けが軽減されていることで、最も望まれていた改良点ではないでしょうか。
デザインも一段とプリンスらしく洗練されており、店頭に並ぶのが待ち遠しいラケットです。
【GEEK通信】【プリンス】「ストリングはツルツルしている方がスピンがかかることをご存知でしょうか」
2019/10/04
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
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「ストリングはツルツルしている方がスピンがかかることをご存知でしょうか」
かなり昔から、シリコンスプレーをストリングに噴射してプレーしている友人Tさんがいます。
やっと最近になってストリングは滑る方が良いという考えが言われ始めています。
テニスマガジン10月号でもストリング研究の第一人者の川副氏が色々な研究結果を発表していて、シリコンスプレーをした場合のボールの回転量の増加があることを実証しています。
現在でもストリングに凹凸や多角形にしたスピンを謳うものはありますが、
川副氏は
「ストリングは交互に交差しており、すでに1.3mm程度の高低差があり、ストリングに少しの突起があったとしてもさほどの効果はないでしょう」 「2005年の論文で、ストリングに潤滑剤を塗布した実験を行い、表面がツルツルしている方がよりスピンがかかることを実証しています」 と語っています。
友人Tさんは実体験でシリコンスプレーがスピンに効果があることを体感していたのですね。 私も「ミラフィット」というストリング潤滑剤のヘビーユーザーで、数年前に発売中止になったときは、開発者のサンアイの沖本氏に直接電話したほどでした。
その後、テニックが後継商品としてストリンググライドを発売し、現在は必ずプレー前に塗布するのが私にとっては当たり前のルーティーンになっています。
ストリンググライドが発売されるまでの間は、世の中のツルツル滑るものは大体試しました。
ロウソク、車の窓ガラスに塗るもの、556、シリコンスプレーなどどれも効果はあるのですが、効果の持続時間が短いものが多いのと、ストリングに悪影響を及ぼす可能性もあり、不安との戦いでした。
張りたてのポリエステルにストリンググライドをたっぷり塗布して打ったときの、「シャッキーン」というスナップバックする音はたまらなく気持ちのいいものです。
※ちなみに「シャッ」は縦糸が横にずれた音で、「キーン」はスライドした縦糸が元に戻る時の音です。
私個人の見解ですが、ナイロンストリングだと表面のツルツル感が少なく、使ううちにノッチング(摩擦によってできる表面の溝)が起こりスナップバックしなくなります。
ナチュラルガットもナイロンストリングと同様な現象が起きると思っていたのですが、実際にはストリンググライドを塗布すると効果の持続が長く、毛羽立ちが起きてからでもスナップバックは起こりました。
考えられるのは、ナチュラルは摩擦によってノッチングが起きることはなく、糸がほつれてくるのでそれがスナップバックを妨げることになっていないのではないでしょうか。
やはりポリエステルが最もスナップバックが起こるのですが、ラフ加工や表面に凹凸があるもの、多角形(3角形、5角形、6角形)ものはスナップバックが少し減少します。円形か、四角形が最もスナップバックが大きくなります。
縦横円形同士の方が接点の面積が小さくなり、摩擦も少なくスナップバックも大きくなるのですが、ノッチングができるスピードも早くなってしまい持続性は短くなります。
四角形の場合は捻らないことが条件になりますが、縦横のストリングが円形同士で擦れ合うより、四角形同士で擦れ合う方が凹みができにくいのは明らかです。
よって持続力が長くなり、スナップバック効果も寿命がくる後半まで続くのです。
ちなみに四角形のポリエステルは、テクニファイバーのブラックコード4Sです。 30年以上テニスをしていますが、試打をすることはあっても、最近までポリエステルを自分のラケットに張ることはほとんどありませんでした。
それは、ポリエステルが「テンション維持が悪い」「衝撃が大きく腕によくない」「柔らかいタッチが出しづらくボレーがし難い」などと言われていたからです。
しかしながら、実際に自分のラケットに張ってみると、気になるほど衝撃は大きくなく、ボレーも何の問題もなくできるのです。
テンション維持に関しては、今のところすぐ張り替えてしまっているので、検証はできていませんがナイロンの緩みとさほど変わらないようです。
ナイロンストリングはほぼ全て張ってしまったのですが、ポリエステルについてはまだ手をつけ始めたばかりなので楽しくて楽しくて毎回のテニスで張り替えているような状態です。
テクニファイバーの内部ハイブリッド「HDMX」を打った時に感じたのは、この柔らかさで表面が全てポリエステルなら最高じゃないだろうかと思いました。 そこで、プリンスのハリアーレスポンスに着目しました。 こちらのストリングはポリエステルの内部にエラストマーを挿入している構造です。ストローの中にジェルが入っているみたいなイメージです。
若手プロの田島尚輝選手が使用しているストリングです。 ポリエステルの中では、かなりソフトなフィーリングで、スライスやボレーなどの柔らかいタッチもあり、第一印象は良い感じです。
ストリング表面のツルツル感も最高で、思った通りのスナップバックが実現しており、スピン系のストローク、サービスともに良い感じです。
個人的には隠れた名品だと感じます。 ちなみに何故このカラーなのかプリンスに伺ってみたところ、実はポリエステルは無色透明で、中のエラストマーがブルーで透けるとこちらのカラーになるそうです。
「ポリエステルは硬そうで、、」と、まだ張ったことがない方は、ぜひハリアーレスポンスを試してみてください。その際にストリンググライドを塗布することもオススメします。
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
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「ストリングはツルツルしている方がスピンがかかることをご存知でしょうか」
かなり昔から、シリコンスプレーをストリングに噴射してプレーしている友人Tさんがいます。
やっと最近になってストリングは滑る方が良いという考えが言われ始めています。
テニスマガジン10月号でもストリング研究の第一人者の川副氏が色々な研究結果を発表していて、シリコンスプレーをした場合のボールの回転量の増加があることを実証しています。
現在でもストリングに凹凸や多角形にしたスピンを謳うものはありますが、
川副氏は
「ストリングは交互に交差しており、すでに1.3mm程度の高低差があり、ストリングに少しの突起があったとしてもさほどの効果はないでしょう」 「2005年の論文で、ストリングに潤滑剤を塗布した実験を行い、表面がツルツルしている方がよりスピンがかかることを実証しています」 と語っています。
友人Tさんは実体験でシリコンスプレーがスピンに効果があることを体感していたのですね。 私も「ミラフィット」というストリング潤滑剤のヘビーユーザーで、数年前に発売中止になったときは、開発者のサンアイの沖本氏に直接電話したほどでした。
その後、テニックが後継商品としてストリンググライドを発売し、現在は必ずプレー前に塗布するのが私にとっては当たり前のルーティーンになっています。
ストリンググライドが発売されるまでの間は、世の中のツルツル滑るものは大体試しました。
ロウソク、車の窓ガラスに塗るもの、556、シリコンスプレーなどどれも効果はあるのですが、効果の持続時間が短いものが多いのと、ストリングに悪影響を及ぼす可能性もあり、不安との戦いでした。
張りたてのポリエステルにストリンググライドをたっぷり塗布して打ったときの、「シャッキーン」というスナップバックする音はたまらなく気持ちのいいものです。
※ちなみに「シャッ」は縦糸が横にずれた音で、「キーン」はスライドした縦糸が元に戻る時の音です。
私個人の見解ですが、ナイロンストリングだと表面のツルツル感が少なく、使ううちにノッチング(摩擦によってできる表面の溝)が起こりスナップバックしなくなります。
ナチュラルガットもナイロンストリングと同様な現象が起きると思っていたのですが、実際にはストリンググライドを塗布すると効果の持続が長く、毛羽立ちが起きてからでもスナップバックは起こりました。
考えられるのは、ナチュラルは摩擦によってノッチングが起きることはなく、糸がほつれてくるのでそれがスナップバックを妨げることになっていないのではないでしょうか。
やはりポリエステルが最もスナップバックが起こるのですが、ラフ加工や表面に凹凸があるもの、多角形(3角形、5角形、6角形)ものはスナップバックが少し減少します。円形か、四角形が最もスナップバックが大きくなります。
縦横円形同士の方が接点の面積が小さくなり、摩擦も少なくスナップバックも大きくなるのですが、ノッチングができるスピードも早くなってしまい持続性は短くなります。
四角形の場合は捻らないことが条件になりますが、縦横のストリングが円形同士で擦れ合うより、四角形同士で擦れ合う方が凹みができにくいのは明らかです。
よって持続力が長くなり、スナップバック効果も寿命がくる後半まで続くのです。
ちなみに四角形のポリエステルは、テクニファイバーのブラックコード4Sです。 30年以上テニスをしていますが、試打をすることはあっても、最近までポリエステルを自分のラケットに張ることはほとんどありませんでした。
それは、ポリエステルが「テンション維持が悪い」「衝撃が大きく腕によくない」「柔らかいタッチが出しづらくボレーがし難い」などと言われていたからです。
しかしながら、実際に自分のラケットに張ってみると、気になるほど衝撃は大きくなく、ボレーも何の問題もなくできるのです。
テンション維持に関しては、今のところすぐ張り替えてしまっているので、検証はできていませんがナイロンの緩みとさほど変わらないようです。
ナイロンストリングはほぼ全て張ってしまったのですが、ポリエステルについてはまだ手をつけ始めたばかりなので楽しくて楽しくて毎回のテニスで張り替えているような状態です。
テクニファイバーの内部ハイブリッド「HDMX」を打った時に感じたのは、この柔らかさで表面が全てポリエステルなら最高じゃないだろうかと思いました。 そこで、プリンスのハリアーレスポンスに着目しました。 こちらのストリングはポリエステルの内部にエラストマーを挿入している構造です。ストローの中にジェルが入っているみたいなイメージです。
若手プロの田島尚輝選手が使用しているストリングです。 ポリエステルの中では、かなりソフトなフィーリングで、スライスやボレーなどの柔らかいタッチもあり、第一印象は良い感じです。
ストリング表面のツルツル感も最高で、思った通りのスナップバックが実現しており、スピン系のストローク、サービスともに良い感じです。
個人的には隠れた名品だと感じます。 ちなみに何故このカラーなのかプリンスに伺ってみたところ、実はポリエステルは無色透明で、中のエラストマーがブルーで透けるとこちらのカラーになるそうです。
「ポリエステルは硬そうで、、」と、まだ張ったことがない方は、ぜひハリアーレスポンスを試してみてください。その際にストリンググライドを塗布することもオススメします。