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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは
テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。
テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「一刀両断 ソリンコ MACH-10」
「雲のように柔らかい快適な打球感」というキャッチフレーズに一刀両断
今まで「雲」を触ったことがないので、イメージになりますが…
イメージだったとしても、ポリエステルで雲の様に柔らかかったら、
ナイロンマルチフィラメントはどの様な比喩をしたらいいのでしょうか。
ここまでは、MACH-10のキャッチフレーズについて意見を述べましたが、
実際に試打をしてどのようなストリングが見ていきましょう。
なるほど、「雲のような」という意味がわかりました。
つかみどころがない不思議な柔らかさという感じです。
マイラケのアクシス100にMACH-10の1.25mmを40/38で張り上げて、
プレーしてみました。
ポリエステルの中でハイパーGは好きなストリングで、何度も使用したことがあり、
その感覚でのまま、MACH-10を打つと全く違う印象となりました。
ハイパーGは、打球感は少し硬めで、ストロークのスピンと安定感が抜群で、
ボレーの柔らかいタッチが慣れないと出しづらいところがあります。
MACH-10は、ハイパーGと形状は同じですが、使用感は全くの別物でした。
打球感は今までのポリエステルでは、感じたことのない不思議な柔らかさがあります。
5年の歳月をかけ分子構造を変化させるクラウドフォームテクノロジーを完成させ、
柔らかさと爆発的なパワーを融合させたのです。
MACH-10のネーミングの由来は、マッハ1(音速のスピード1224km)の
10倍のスピードという意味です。
通常、柔らかいポリエステルというのは、強く打った時には
ボールを包み込むような感触がありますが、
低速なスイングのときは硬さが出てしまい、
ナイロンとポリエステルの違いを感じてしまいます。
しかし、MACH-10は強く打った時でも、ソフトに打った時でもいつでも柔らかく、
ナイロンと錯覚する打球感です。
さらに反発力もかなりあり、ストロークのスピードは目を見張るものがあります。
市民大会のベテランシングルスがあったので、MACH-10を使用してみました。
スピードのあるストロークで、相手を追い込み、2-0とリードしました。
調子に乗って周りこみのフォア逆クロスで、攻めたのですが、
バックアウトを連発し、気がつけば5ゲーム連取され、2-5の大ピンチ。
ラケットをCR1296を張り上げたAXIS100チームにチェンジしたところ凡ミスが減り、
5-5と持ち直したのですが、最後はバックハンドスライスを自信を持ってストレートに打ったのですが、ボール1個アウトし、ゲームオーバーでした。
MACH-10は、打球感が柔らかく、ボールスピードが出てくれるのですが、スピンのかかりがいまいちで、ハイパーGの感覚で、撃ち抜くとアウトボールが増えてしまいます。
トラックマンのイベントがあり、若いハードヒッターの男性が一番気に入っていたのが、
ダイアデムのアクシス100でした。
この方にお願いして、MACH-10が張ってあるマイラケのアクシス100を打ってもらいました。
するとどうでしょう。試打ラケットに比べてスピードが5km以上上がったのです。
ただ、残念なことにスピンが1000回転近く下がってしまい、
ほとんどアウトボールになってしまったのです。
自分の打った結果とほぼ同じだったので、間違いないと思うのですが、
MACH-10は柔らかい打球感でありながら反発力がずば抜けています。
ただスピン性能はあまり高くないので、フラット系のストロークが得意な方、
また、スイングスピードがあまり高くない方、
ナイロンからポリエステルに移行したい方におすすめのストリングです。
ハイパーGからの移行はバックアウトを気をつけながら行ってください。、
スピンのかかりが少な目でスピードがアップしますので、弾道を低めに狙ってください。