オンラインショップでは3,980円以上ご購入で「送料無料」です。

新着記事
アーカイブ

店舗情報

GEEK通信「温故知新 ラケットの素材はどんどん進化しています」
2023/04/07

-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは
テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 
テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
-----------------------

「温故知新 ラケットの素材はどんどん進化しています」
ラケットの歴史を振り返ると、100年以上ウッドの時代が続き、金属になり、現在のカーボンになるのですが、細かく見てみるとさまざまな素材が使われた歴史が見えて来ます。
竹、グラスファイバー、セラミック、アルミ、スチール、チタン、玄武岩、トワロン、ケブラー、グラフィン、マグネシウム、ボロン、熱可塑性樹脂、ナイロン
リキッドメタル(液体金属)、インテリファイバー(ピエゾ)、テキストリーム、、、まだまだあったと思います。

40年前は、グラファイトは高級素材でグラファイト100%はプリンスグラファイト9万円、ウイルソンはプロスタッフ6万円の時代でした。
さらにグラファイト100%は、硬すぎてしまいウッドの時代の名残からしなりを求める方も多くて、グラスファイバーを素材に使うことで、しなりを出していました。

80/20、70/30、50/50などの表記をしてグラファイトとグラスファイバーの配合比率でラケットの特徴をあらわしていました。
ケブラー、トワロンは振動吸収を高め、しなり戻りを早める効果、チタンは軽量化するために使われました。
玄武岩は高温で焼くことで、衝撃吸収が良くなる材質(バサルトファイバー)になります。
カーボン素材になって40年、色々な進化がありました。
プロスタッフに使用した二重に編み込んだダブルブレイドカーボン、ハイモジュラスカーボン、ハイパーカーボン、グラフィン、テキストリームなど色々な製法で作られて進化しています。
今でもヘッドのラケットに使われているグラフィンは2010年に研究している学者がノーベル賞を取ったことで、発売時はかなり話題になりました。


ダイアモンド以上に炭素同士の結合が強く、世界で最も引っ張り強度に強いと言われています。
プリンスのラケットに2016年から使用されているテキストリームはスウェーデンの会社が作る優れもので、F1のボディやレース用ヨット、ボブスレーのボディなど0.1秒を争う競技に使用されています。


通常のカーボンは、繊維状のカーボンを接着剤(レジン)で固めて製品化します。例えば50gのカーボンと50gの接着剤で100gの製品になるとします。
テキストリームは特殊な製法で、接着剤の量を少なくできます。70gのカーボンと30gの接着剤で100gの製品ができたとしたら、当然70gのカーボンの方が、反発力、振動吸収、耐久性など優れる点が多くなります。

しかし、今後のラケットの素材として期待しているのは、ウッドです。そう木です。
今さらそれはないと思っている方も多いでしょう。

社会問題となっているカーボンニュートラル、脱炭素問題は、スポーツ業界にもやってきています。
パッケージに使うビニールがなくなったり、ボールの蓋のプラスチックを減らしたりしています。
カーボンは炭を高温で焼くことで成形しますので、
当然、二酸化炭素を排出します。
そこで木材の最近の進化を見てみましょう。
新国立競技場はふんだんに木材を使用して話題になりました。
丸の内に高さ100mの木造建築高層ビルが2028年完成予定になっています。
また、特殊なコーティング剤を染み込ませ劣化を防ぐことや、木を化学処理、凍結乾燥させることで、スーパーボールの用に反発する実験をメリーランド大学で行なっています。
数年前に大ヒットしたウイルソンの初代クラッシュはウッドよりしなるを売りにして、コントロール性の高さを証明してみせました。


ただしなるけど捻れないことが、特徴でした。
20年くらい前に、プロケネックスからCORE1というラケットが発売されました。
ウッドとカーボンがコンポジットされていて、編み込んだカーボンの内部に木材を入れて作り上げたラケットで、カーボンの反発力とウッドのしなやかさ、衝撃吸収を取り入れたハイブリッドラケットです。
現在は販売は終了しています。
ウッドのしなりを生かしながら、ねじれを防ぐために、グラフィンやテキストリームのような、少量でも強靭な強さを発揮する高機能カーボンをシャフトに補強すれば打球感、コントロール性能を生かしながら、パワーロスを防ぐことができるのではないでしょうか。
ウッドラケットの時代がまた来るかもしれませんね。