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GEEK通信「温故知新 ウイルソン編」
2023/05/04

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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは
テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 
テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「温故知新 ウイルソン編」
ウイルソンと言えばプロスタッフが有名ですが、初代プロスタッフは85平方インチしかないと思っている人がほとんどですが、実は110平方インチと125平方インチがあったのです。

プロスタッフ85を使用した選手は、クリスエバート、ジミーコナーズ(発売前の黒塗り)、ステファンエドバーグ、ピートサンプラス、ジムクーリエ、ロジャーフェデラー。
以上の選手は世界ランキング1位になっています。

プロスタッフは発売時6万円もしたのですが、その上をいったのが、ウルトラ2で、価格は7万円でした。
プロスタッフの兄貴的存在で、プロスタッフがダブルブレイドグラファイトにケブラーだったのに対しウルトラ2は、ダブルブレイドグラファイトにボロンを搭載していました。


(引用:アメアスポーツジャパン)
エドバーグ、サンプラス、クーリエは同時期に活躍した選手なので、メーカーとしたら同一機種を使用するより、色々なモデルを使っている方が、ラケットの売上は上がるはず、そこで選手専用モデルをそれぞれ発売したのですが、思惑通りには行きませんでした。
エドバーグモデルは、赤と黄色を散りばめた紅葉カラーで、すでに発売されていたプロスタッフクラッシック95と同じデザインで、95にラケットを変えたのかと思いましたが、実際は85でプロスタッフクラシック85として発売されましたが、ヒットしたのは、95の方で10年くらい続くロングセラーとなりました。
サンプラスモデルは、ブラックとグリーンの縦にツートンカラーを採用した斬新なデザインでしたが、左右非対称なため、左手で持つシャフトの滑り具合が左右で違うことを嫌い、実際の試合で使うことはありませんでした。
商品は発売されたのですが、サンプラスのシグネチャーが入ったサンプラスが使用しないモデルとなってしまいました。
クーリエモデルは、アメリカの星条旗をモチーフにした赤、青基調に星がデザインされたアメリカ人でも恥ずかしいくらいの派手なラケットでした。
当然日本ではヒットしませんでした。
結局売れたのは、プロスタッフミッド85で、フェデラーのデビュー当時はこれを使用していました。2001年のウインブルドンで、4連覇中のサンプラスと対戦しました。
最初で最後の1度だけの対戦で、フルセットでフェデラーが勝ったのですが、使用していたラケットがまったく同じだったので、プロスタッフの伝統を受け継ぐ選手が生まれた時だったのかも知れません。


(引用:アメアスポーツジャパン)
世界初の厚ラケは、プロファイル95と110で17mmのフレーム厚から2倍以上の39mmもあり、度肝を抜かれました。
感覚的にはパワーも2倍になった気がしました。
当時の張り機のトゥルーテンションは、フレームを上から挟んで固定していたのですが、厚過ぎて固定できないなんてこともありました。
次の世界初は、軽量トップヘビーを生み出したハンマーシステムです。
330gが当たり前の時に、250gのラケットを発売したのです。
ボールの重さは約60gで、それを打ち返すには、330gくらいないと、弾かれてしまいます。
ではどうやって250gのラケットが弾かれないようにできたかというと、釘を金槌で打ち込むときを想像してみてください。
金槌の先がもし軽い素材だったら、釘は打ち込めません。
もし、金槌全体が全て重たい金属だったら、すぐに疲れてしまいます。
先が鉄でシャフトは木が簡単に釘を打ち込めます。
要するに、全体が軽量で先だけ重ければパワーが生まれるのです。
これがウイルソンが発明した、ハンマーシステムです。
この頃はまだ、スイングウエイトと言う概念はありませんでしたが、軽量でもスイングウエイトが大きければボールは飛ぶと言う概念が生まれ、各メーカーが同じ理論でラケットを作り、現在でも続いているのです。
画期的なラケットとして、ローラー、トライアド、Sラケは忘れることはできません。
縦糸より横糸が少ないことに、パテントを持っており、スピンがかかる原理はスナップバックであることを世に知らしめた功績があります。


ウイルソンが始めたことが、テニスラケットのスタンダードになっていることがたくさんあります。
今後のウイルソンに期待することは、フェデラーとともにもう一度ラケット作りをして欲しい。今までは、フェデラーが試合に勝つために、カラーは黒とシルバーのみで、似顔絵もなくなりました。
今度は、ファンが喜ぶことを前提にプロスタッフRFを作って欲しいです。
そしてそのプロスタッフを使用したジュニア選手が将来ナンバー1になることを期待しています。フェデラーのように、伝統を受け継ぐ選手が生まれることを期待しています。