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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「5角形ポリエステル、ソリンコのコンフィデンシャルとハイパーGを比べてみました。」
グランドスラムタイトル、シングルス23、ダブルス20。
年間最終ランキング1位を8度を誇る選手は誰でしょうか?
今でも現役の日本人選手です。
もうお分かりですね、車いすテニスの国枝慎吾選手です。
一時、肘の怪我もあり、スランプになったこともありましたが、完全復活をしています。
海外の若手選手がどんどん出てきていますが、国枝慎吾選手の打ち方にそっくりな選手が結構現れています。
そんなレジェンド的な国枝慎吾選手が張っているストリングは縦バボラVSタッチ130、横ソリンコハイパーGです。
恐らく【こだわっていること】は、肘に優しく、試合に勝てる力強いボールが打てることだと思います。
間近で練習を見たことがあるのですが、ボールがとてつもなく速いと感じました。
2019年のマクラクラン勉選手は「ハイパーG」を使用していましたが、最近では黒っぽいストリングに変えています。
デルレイビーチのダブルス決勝では、惜しくもブライアン兄弟に負けて準優勝でしたが、ペアのバンブリッジ選手、対戦相手のブライアン兄弟の3人が、ソリンコのステンシルを入れており、3人とも「ハイパーG」を張っていました。
もしかしたら、当時マクラクラン選手もソリンコの最新モデルの「コンフィデンシャル」を張っていたかもしれません。
最近、学生さんの間で「ハイパーG」が流行っており個人的に気になったおりました。
その流行の秘密を探るべく、最新モデルの「コンフィデンシャル」と「ハイパーG」を試してみました。
お恥ずかしいことに、「ハイパーG」をまだ打ったことが無かったのです。
ソリンコの「ツアーバイト」は、2011年にソリンコがデビューしてすぐに試しました。
ソリンコ「ツアーバイト」
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当時、縦ナチュラル、横ティモ110のハイブリッドを張っていて、横糸は極細が良いと勝手に結論付けていました。
その理由は、縦糸がスナップバックするときに、横糸との摩擦抵抗を受けるわけですが、出来るだけ少なくする方法として、表面をツルツルさせて極力細くすることでした。
行き着いたのが最も細い1.10mmのルキシロンの「ティモ」だったのですが、「ツアーバイト」はさらに細い1.05mmという超極細ゲージがあり、早速、縦ナチュラル、横ツアーバイト1.05mmを張ってみました。
ところが、このハイブリッドは失敗に終わりました。
なぜならツアーバイトは5角形の断面を持つストリングで、スナップバックの時に、ナチュラルガットの表面を削り取り、張ってから数回のテニスで切れてしまったのです。
それ以来、5角形のストリングに苦手意識があり、各メーカーの5角形(ポリツアースピン、ブラックコード)を恐れていました。
食わず嫌いだったのですが、先日ブラックコードを打ってみて分かったので、
今回のストリング試打で「ハイパーG」と「コンフィデンシャル」の5角形対決は楽しみになりました。
レヴォCS10.0に縦50ポンド横47ポンドで張り、シングルスの試合を1セットずつプレーしました。
1セット目は「コンフィデンシャル」を使用し、6-1で取りました。
最近フォアハンドのスライスを多用するになり、7割くらいスライスを使いました。
「コンフィデンシャル」のホールド感が素晴らしく、スライスショットの空中でのひと伸びが効いていて、対戦相手のショットが浅くなることが多く見られました。
「スライスが伸びてきて、非常に返しづらかった」と相手選手は言っていました。
ソリンコ「コンフィデンシャル」
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2セット目は「ハイパーG」を使用しましたが、スライスの伸びが悪くなり、途中からフォア、バックともにスピンに変更し、かろうじて6-4で取ることができました。
「コンフィデンシャル」に比べ、「ハイパーG」は硬く、スライスのノリが悪く感じたので、スピンを強くかける打ち方に変えたのですが、今までとはまったく打球感が変わり、食い付きが良くなり、柔らかく感じるまでに豹変しました。
ソリンコ「ハイパーG」
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「ハイパーG」は、低速スイングではホールドしませんが、高速スイングになると途端にボールが噛みついてきます。
コンフィデンシャルは、どんなスイングでも食いついてくるホールド感の良さが特徴で、コントロール性に優れるポリエステルストリングです。
ちなみに「ハイパーG」は、攻撃的にスピンで攻めるストローカー向きのストリングですが、反発も強いのでスピンをかけないでハードヒットすると暴発することがあるので注意が必要です。
ソリンコ(SOLINCO)とは、SOL(太陽)in COSMO(宇宙)で「我々がいるコミュニティと世界全体に魅力ある輝かしい光を照らす」という意味をこめた造語です。
スピンにこだわった多角形ポリエステルがメインで、アメリカのカレッジチームをサポートしており、そこから育った選手がプロになり、ソリンコを広めています。
世界的なストリング評価のウェブサイトで、6年連続でスピン部門1位をソリンコで独占しています。
※ツアーバイトとスピンGで獲得
ナイロンストリングでは難しい多角形形状のポリエステルは今後益々進化していくでしょう。