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【GEEK通信】【テクニファイバー】「テクニファイバーのストリングをサービス中心に試打してみました。」
2020/03/16
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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【テクニファイバー】「テクニファイバーのストリングをサービス中心に試打してみました。」
ストリングの試打は、ラケットの試打より難しいと思います。
その理由は、ラケットの性能の違いは一本一本大きく異なり、ストリングの性能の違いはわずかだからです。
例えば、食べ物で例えると、りんご、バナナ、みかんなどの果物の種類がラケットの種類で、りんごの品種で、ふじ、あかね、ほのかなどがストリングの種類みたいなものです。
当然、りんご、バナナ、みかんは誰でも違いは一目瞭然です。
りんごの品種は、同時に、食べれば違いがわかると思いますが、ほかのものといっしょに食べてしまっては違いがわからないこともあります。
ストリングの試打もそれと同じで比べる条件を一定にしないと、違いがわからないのです。
違うラケットに張ってあったり、テンションが違っていたりしてはわからなくなります。
また、飛んでくるボールが一定でないとわからなくなります。
しかし、問題は自分の試打のルーティンはダブルスのゲームの中で行うことなので一定のボールは飛んでいきません。
そこで考えたのが自分のサービスゲームを一定のルーティンで行うことです。
サービスは唯一相手のボールは関係しません。
最低でも4球は打てるので、
1球目=デュースコートからセンターにフラット。
2球目=アドコートからセンターにスライス。
3球目=デュースコートからワイドにスライス。
4球目=アドコートからワイドにスピン。
を全試合で打つことに決めました。
今回のストリング試打はテクニファイバー特集ということで、ブリヂストン協力の元、XブレードBX300にナイロンは50ポンド、ポリエステルは48ポンドで張り上げました。
30年くらい前はほとんどのプロ選手はナチュラルガットを張っていましたが、テクニファイバーはマルチフィラメントのナイロンストリングにポリウレタンの樹脂を浸透させたまったく新しいストリングを開発したメーカーで、その後トッププロの使用が増え、低価格でナチュラルのフィーリングが味わえることでアマチュアにもブレイクしたフランスのストリングメーカーです。
4ゲーム先取の試合なので最低でもサービスゲームが一回やってくるので、サービスゲームの結果を中心に、ゲーム終了ごとにインプレッションをメモしていくスタイルで行いました。
サービスを打つコースを決めて打つというのは、初めての体験でしたが、相手のリターンの立ち位置に惑わされることなく、ルーティン通りに打つことで、ファーストサービスの入る確率が大幅にアップしました。
普段ですと、相手の立ち位置、フォアバックの得意不得意、スコアの流れなど気にすることがいっぱいあり、前衛の動きに気を取られたりして集中力が欠如することが多かったようです。
初めから、打つサービスのコース、球種が決まっていると雑念が湧かずシンプルになり、確率も良くなると言うことですね。
普通の時も決め打ちは良いのかもしれませんね。
X ONEバイフェイズ1.24(マルチフィラメント)
TGV1.30(マルチフィラメント)
XR3 130(モノマルチフィラメント)
HDMX1.30(ポリ、ナイロンマルチフィラメント)
BLACK CODE1.24(ポリエステル)
ICE CODE1.25(ポリエステル)
RAZOR CODE1.25(ポリエステル)
の順番で打つことにしました。
ナイロンストリングで今最もナチュラルガットに近いと言われているX ONEバイフェイズ1.24からテスト開始です。
ナチュラルガットに近いと言われる理由がわかりました。
食い付きが良いのは当然なのですが、食い付きすぎずに反発するところがナチュラルガットに似ています。一般的なマルチフィラメントは、食い付きは良いのですが、反発力が吸収されてしまい、まったりとした鈍い感触になりがちですが、X ONEバイフェイズは製造工程で一度ストレッチをかけており、食い付き過ぎずに反発力を生かす工夫がされているのです。
1991年の全米オープンでストリンギングをした時のことですが、この当時オフィシャルストリングはテクニファイバー社で、テクニファイバーのストリングを張る前には、必ず2人のストリンガーでストリングの両端をペリカン(ガット張り用ペンチ)で持ち、12mの距離で引っ張りあうのです。
このストレッチをすることでストリングがピンッとして余計な緩みが取れしっかり張れるのと、テンション維持が良くなると言われておこなっていました。
片言の英語で、「ストレッチOK」と言って引っ張るのですが、引っ張ってる時に相手が離さないか不安でした。
恐らくこの引っ張りあう作業工程からバイフェイズは生まれたのではないでしょうか。
次に試打したのが、TGV130です。
この食い付き感はナチュラルガット以上ではないでしょうか。スピード感は無いものの、ストリングに当たっている時間は相当長く感じます。 サービスの切れ味はまずまずと感じますが、ストロークやボレーのコントロールがし易く、安定感のあるストリングでした。
全メーカーの中でも、これ程柔らかい打球感のストリングは無いのではないでしょうか。
XR3 130は、ど真ん中にモノフィラメントが入っているモノマルチストリングです。
サービスの威力が出ていました。
食い付きは程々ですが、7対3でマルチフィラメントのフィーリングで、しっかりとした打球感が好きな方に合うと思います。
切れる間際に、透明のモノ芯が出てくるので、張り替えるタイミングが分かり易くて良いのではないでしょうか。
そしてHDMXは画期的なインナーハイブリッドです。
普通ハイブリッドは縦糸と横糸をポリとナイロン(又はナチュラル)で変えますが、テクニファイバーは縦と横の異素材ハイブリッドはテンション維持の違いから否定的で、1本のストリングでポリとナイロンをハイブリッドしてしまいました。
フィーリングは6対4くらいで、ポリエステルがやや強めです。
スピンサービス、スライスサービスの変化が大きく、フリーポイントを取れるケースがありました。
ローボレーやドロップボレーなど柔らかいタッチショットが打ちやすく、ナイロンからの乗り換えはしやすそうです。
またBLACK CODE124は、ガラッとイメージが変わりました。
今まではストローカー向きのスピン系ストリングの印象がありましたが、反発力があって、今回打ったストリングの中で一番サーブスピードが出てましたし、スピンサービスの跳ね方も一番でした。
ボレーもしやすくオールラウンドなポリエステルで、定番アイテムとして人気があるのも頷けます。
ICE CODE125は、発売以来ずっと使っていますが、打球感がマイルドで、バウンド後のボールの伸びがよく大好きなポリエステルです。
テンション維持もよく、欠点の少ないポリエステルです。艶のある白色も特徴的です。
RAZOR CODE125は、硬めの打球感で飛びを抑えている印象です。
(自分のスイングスピードでは、性能を引き出すことができませんでした。)
本来ポリエステルとは、ハードヒッターでスピン系ストローカー向けに開発されたストリングですので、打ち応えのあるポリが好きな方におすすめです。
今回ブリヂストンスポーツの協力もあり、同じラケットを7本用意していただき、ストリングの試打を行うことができました。 本当にありがとうございました。
なかなかまとめて比較することが出来ないので、大変有意義なテストができました。
機会があれば、また開催したいと思う企画でし た。