-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------
テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
-------------------------------
【月一企画】ショット別にラケットを考える第六回『フラットストローク&スライス』
久しぶりの【月一企画】です。
※「全然月一じゃない」と思われている皆様のお顔が浮かびます。。
ということで不定期開催のショット別にラケットを考える「フラットストローク&スライス」をお送りします。
近年のラケットはパワーがあり、トップスピンをかけないとバックアウトしてしまうものがほとんどで、ラケットのキャッチコピーも「スピンが凄い」は必ず入るワードです。
ただアマチュアのベテランはトップスピンを苦手にしている方も多いのです。
私もそうなのですが、テニスを始めたときのラケットがウッドラケットでした。
現在のカーボン製のラケットとは違い、ボールが飛ばないので、ベースライン深く威力のあるボールを打つには、フェース面をフラットに当て、インパクトから打ち出し方向へ真っ直ぐ30cmくらい押し出すように打ったものです。
グリップは、コンチネンタルからイースタンで握り、クローズドスタンスからスクエアスタンス(ベースラインに対して90°)です。
この打ち方でテニスを覚えてしまうとトップスピンを打つのが大変です。
ということで、50代以上の方はまだまだフラットで打つことが多いのです。
グリップ、フットワーク、スイングフォームを直すことが一番良いのはわかっています。
ただ体力も段々と衰えていく中で、スイングスピードも落ちていきます。フラットからスライスが身体に負担が少なくて、楽で良いのです。
今回は、現代テニスに逆行するフラット、スライステニスに合うラケットを探していきましょう。
ベテランプレーヤーが初めて手にしたウッドラケットとは、どんな特徴があったのでしょうか。
素材が木や竹などの木材ですので、柔らかく非常にしなりがありました。
フェース面積は80平方インチより小さく、重量が350g前後はありました。
しなりがあって、フェース面積も大きすぎず、ウエイトも軽すぎず重すぎないラケットが候補になります。
私の独断で選んだフラット、スライスが打ちやすいモデルは以下の5機種です。
ブリヂストンXブレードBX 290
ウイルソンブレード98 S
ウイルソンクラッシュ100
ヨネックスEゾーン98 LG
ダンロップCX400 ブリヂストンXブレードBXは、305と290がしなりがあり、300と280が少し硬めで弾くタイプです。
流石に、305はベテランには難しいので290がベストチョイスになります。
ボールのノリがよく、インパクトから少し押す感覚があります。
フラットは当然良い感じで打てるのですが、さらに良いのがスライスです。スライスが浮かずに伸びるボールが打てるので、バックは片手でスライスを多用する方におすすめの一本です。
高音の打球音が心地よく、気持ちよくプレーできます。 ウイルソンブレードSは、ストリングパターンに18×16を採用した本来ならスピンに特化したモデルなのですが、実際に打ってみると、フラットのコントロールがよく、深く打ったり、左右の打ち分けが楽でした。
本来なら98平方インチ、21mmのスペックはベテランには難しいのですが、18×16のストリングパターンのおかげで、食いついてからの復元力で飛ばしてくれるので、スナップバックはスピンだけでなくフラットショットにもメリットがあります。スライスはバックスピンですから当然打ちやすく、ネットの下から浮き上がる弾道を楽しむことができます。 ウイルソンクラッシュ100は、フレームのしなりでは右に出るラケットは無いくらいで、ウッドのようなしなりと謳っているのはウソではありません。
ウッドラケット育ちの方には、押すように打つ感覚が蘇ることでしょう。 ウッドラケットとクラッシュ100の違いは捻れれるか捻れないかで、一般的にしなりと捻れは同時に起き、パワーロスや打ち出し方向のズレが起こってしまいますが、クラッシュ100は捻れないために方向のズレが無くコントロール性能を失わないのです。 ヨネックスEゾーン98(LG)は、大坂なおみ選手やキリオス選手のイメージからハードヒッター向きの硬いラケットのように思われがちですが、実は非常にノリのあるしなりを感じるモデルなのです。
ただ、Eゾーン100に比べて飛びを抑えているので、スピンをかけると浅くなることがあるのです。
フラットストロークの一番難しいところは、打ち出し角度が上過ぎるとバックアウトしてしまうことです。
少し飛ばないくらいの方が安心して打ち込めるので、Eゾーン98はバックアウトが少なく安定感があるのです。 ダンロップCX400は、しなるというよりフェース面にめり込んでいるような感覚のホールド感があるラケットです。
パワーもあるので、ベテランや女性にも反響があり、振動吸収性の高さから腕の負担を気にする方にも支持されています。
ボレーのしやすいラケットなので、フラット、スライスのアプローチからネットで勝負する方にオススメの一本です。 以上独断と偏見で選びましたので合わない方もいらっしゃると思いますが、
ストリングに関してはマルチフィラメントのウレタンコーティングで間違いはないでしょう。
推奨ストリングは、バボラエクセル、テクニファイバーTGV、ウイルソンNXTなどです。 スピン系の方には若干切れてしまいやすいストリングですが、フラット・スライス主体の方には切れる心配もなく、食いつきの良さを堪能できるはずです。 力に自信が無い方や、ネットプレー中心の方は細めの1.25mm、ストロークで粘るプレーの方は1.30mmがオススメです。