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【GEEK通信】【プリンス】「プリンス ファントム3年ぶりの新作が良い味を出しています」
2019/10/10
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
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「プリンス ファントム3年ぶりの新作が良い味を出しています。」
前作から3年経ち、ファントムシリーズの新作が11月に発売されます。 前作のファントム100XR-Jは「ファントムO3 100」、ファントムプロ100XRは「ファントム100」となり、わかりやすいネーミングに変わります。
ただし、モールドやスペックの変更をすることなく、最新のテクノロジーを取り込んだモデルに進化しています。
ファントムO3 100のフレーム厚16.5mmは、薄ラケの名品プロスタッフ85の17mmより薄く、現在発売されているラケットの中で恐らく一番薄いラケットです。
フレーム厚イコール、ラケットのパワーと言ってもいいでしょう。
インパクトの瞬間ボールとストリングの接触時間は1000分の4秒と言われており、ラケットが最もしなっているあたりでボールは飛んでいってしまうので、しなりが大きいラケット(薄いフレーム)はパワーロスが大きくなります。フレーム厚の厚い(30mm前後)ラケットは、しなりが小さくなり、パワーロスも少なくなり、飛びがよくなります。
1980年代後半、20mm以下がスタンダードとされている時代に、厚ラケを最初に広めたウイルソンのプロファイルは36mmの厚さを持ち、その爆発的な反発力に度肝を抜かれました。
すぐに大ヒットし、各メーカーから同様の厚さのラケットが発売され、厚ラケブームが起こったのですが、それほど長くは続きませんでした。
その理由は、限られた距離にボールを収める競技の特性からハードヒッターほどバックアウトしてしまいエースも取れるがミスも出るというジレンマに陥ったからでした。
現在は中間の厚さの26mmがフォーカスされ、パワーとコントロールが両立したモデルが各メーカーの主力商品となっています。
では、薄いラケットを使用するメリットはなんなのか考えていきましょう。
飛ばないことで得られるメリットは、バックアウトを気にしなくて良いので、加減なくフルスイングできることです。
スイングを速くすることで、回転量が増え、鋭角に入ったり、バウンド後の跳ね上がりが大きくなり、相手に取りづらいボールを打つことが可能になります。
【ファントムO3 100】は16.5mmという薄いフレームのためしなりが大きく(RA値60 ギーク調べ)飛びを抑えた設計で、自身のフルスイングを基準にボールコントロールができるラケットです。
ただ、実際に打ってみると、確かに飛び過ぎはないのですが、ボールのスピードは思ったより速いのが不思議でした。
その理由はO3(穴の大きく空いたストリングホール)によるものと、テキストリーム×トワロン(最新の素材)によるものです。
O3はストリングの可動域を大きくし、ボールとストリングの接触時間を長くしたり、スポットを外れたボールのスピードダウンを軽減する機能があります。
1000分の4秒を長くできれば、フレームはしなり戻りを使え、ボールを押し出す効果があります。 テキストリーム×トワロンについてですが、まずラケットの材質はどのラケットもカーボンを使用しており、繊維状のカーボンを樹脂で固めて製品にします。その樹脂(接着剤みたいなもの)には、反発力もなければ、振動吸収を高める効果もありません。
テキストリームはその樹脂を少なくすることに成功した最先端カーボンなのです。 **イメージ**
カーボン150g +樹脂150g=300g(ノーマル)
カーボン200g +樹脂100g=300g(テキストリーム)
※数値は例えとして表現しています。
カーボンの量が多ければ、反発力、衝撃吸収が高まるのです。
さらに、今作には防弾チョッキにも使用されているトワロンを追加し、衝撃吸収をこれでもかと言わんばかりに高めているのです。
しなるラケットの欠点と言われていた、捻れ問題もフェースの2時10時にテキストリーム×トワロンを採用しトップ方向で打つことが多い上級者もぶれを気にせずハードヒットできる仕様になっているのです。
薄くてしなるのに、スピードが出るのはこういった工夫があるからなのです。
スピンサービス、スライスサービスを打つとビックリするくらい回転がかかってキレのあるボールが打てるので試してみてください。 【ファントム100】は、20mm-22mmのフレーム厚、クラシックグロメットでRA値62(ギーク調べ)のアベレージモデルです。
ファントムO3 100に比べ、打球音が静かで、しっとりとした柔らかいフィーリングでありながらパワーもあり、許容範囲の広いラケットです。
スピン、スライス、フラット系どれも良い感じに飛んでいき、ハードヒットしなくても相手コートへ深く入ってくれます。
ボレーに関してはファントムO3 100より行いやすいのは間違いないでしょう。 また、試打をする直前にグリップのビニールをはがしたのですが、天然レザーに近いフィーリングの元グリップを採用していて、8角形の角がはっきりしていてトワロンを使ったことによる衝撃吸収効果が高すぎて打球感がぼやけるマイナス要因は相殺されています。
今回の改良は、上級者がフェース上部で打った場合に起きていた捻れや打ち負けが軽減されていることで、最も望まれていた改良点ではないでしょうか。
デザインも一段とプリンスらしく洗練されており、店頭に並ぶのが待ち遠しいラケットです。