■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
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初代ラジカルが発売されたのは1993年なのですが、今でもはっきりと覚えています。
逆に忘れてしまったら、私の家内に叱られます。(私的なことで申し訳ありませんが結婚した年です。)
当時人気絶頂だったアンドレ・アガシ氏がドネーのプロワンからヘッドに電撃移籍してアガシ氏のために開発したラケットが初代ラジカルだったのです。
あれから26年経ちラケットもかなり進化しています。
フェース面積、フレーム厚、フレーム形状、ストリングパターン、材質が変わり、今回遂に26年間変えなかったグリップ形状を変更したのです。
31年続いているプレステージとこれまでのラジカルは偏平グリップを採用していてヘッドの特徴でもあったのですが、ラケットの進化とともに打ち方も変わってきており、ストロークの握りはセミウエスタンかウエスタングリップ(厚い握り)になっています。
30年前はイースタン(薄い握り)が普通でしたので、偏平グリップ(長方形に近い)がボールを押すように打てて良かったのですが、現在ではボールを潰すように引っ叩きますので、正八角形に近い形状の方が力が伝わりやすいのです。
新しいグリップは、スピードシリーズと同じ形状で馴染みのある方も多いと思います。
もし、昔の形状が良いという方はパレット交換で形を変えることもできますので、店舗でご相談ください。
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■グリップの一辺の長さをノギスで測りました
今までのラジカルのグリップ2
→27.5mm、33.3mm
グラフィン360ラジカルのグリップ2
→29.0mm、31.5mm
※中居調べ
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実際に写真でNEWモデルと旧モデルのグリップを写真撮影しましたが、なかなか伝わりにくものとなりましたので、ぜひお店に来られた際は、グリップの違いを体感してみてください。


スピードシリーズやインスティンクトシリーズは縦糸の間隔を均一化していますが、ラジカルシリーズはセンターフォーカスのため、張り上がりの面圧 は「58」と高めになっています。
比較対象として用意した前作グラフィンタッチラジカルMPと新作グラフィン360ラジカルMPの違いから見ていきましょう。

前作のグラフィンタッチラジカルMPは高音で「パンパン」という打球音に対してグラフィン360ラジカルMPは「ボムッボムッ」と余韻が響かないような音になってます。
比べて打ってみると、グリップの違いが明らかでした。
やっぱり新しく採用した形状は正解だと思います。
フォアハンドのストロークの時に手のひらとの一体感があり、スピンをかけるときの力が伝わりやすく感じました。
打球音の通り前作は弾く感じで、新作は食いつく感じがしました。
食いつきの良さからストロークの安定感、安心感があります。
ボレーでものりの良さがローボレーの難しいショットもしっかり深くコントロールできました。
マイルドな打球感のせいで、簡単なラケットのイメージが先行しますが、ハードヒット時の破壊力はやはりプロモデルらしいボールの伸びを感じました。
次にグラフィン360ラジカルPROにチェンジしました。

流石に私には重た過ぎてサービスゲームが長くなると辛くなりました。
グラフィン360ラジカルMPライトにチェンジしました。

慣れてくるとスピンがかかり、リターンは沈み、トップスピンロブは決まり中々良かったのですが、この日は風速10メートルの風が吹いており向かい風の時は押し戻されるようなボールになってしまい、負けないように力むとコントロールを失ってしまい軽量ラケットの難しさも感じました。
最後にグラフィン360ラジカルSにスイッチしました。

フェース102平方インチ、フレーム厚25mmとパワーの出る設計ですので、ハードヒットしなくも十分に威力は出ました。
それでも、ラジカルシリーズ共通の打球感で25mmある中厚ラケットとは思えないしっとりした感触でした。
女性の中上級のプレーヤーにはパワーもあり、マイルドな打球感でもあり人気が出そうと感じました。

アンドレ・アガシ氏からアンディ・マレー氏に受け継がれたラジカル伝説を継承するのは誰なのか、ラケットの発売とともに楽しみになりました。
※発売4月下旬を予定しています



