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【GEEK通信】「R・フェデラー選手、錦織圭選手から探るハイブリッドストリング」
2018/05/19
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
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「R・フェデラー選手、錦織圭選手から探るハイブリッドストリング」
最近、プロの使用が増えているハイブリッドストリングですが、そもそもハイブリッドとはどんなメリットがあるのでしょうか。
R・フェデラー選手、錦織圭選手に焦点を当てつつ探っていきましょう。
R・フェデラー選手がプロデビューした頃は、「プロスタッフミッド85」にVSチーム125を張っていました。
錦織圭選手はジュニアの頃にハンマーシリーズを使っていて、17歳の頃は「n tour Ⅱ」にポリエステルのエンデューロを張っていました。
その後、R・フェデラー選手はメインにナチュラル、クロスにポリエステルを使い始めます。
錦織圭選手は、メインにポリエステル、クロスにナチュラルを使い始めます。
ハイブリッドのメインとクロスの役割に触れると、
一般的に【メインは、反発力とスピン、クロスはコントロールと打球感に影響を与える】と言われていますが、
個人的にはメインが反発力とコントロール、クロスはスピンの補助、打球感はメインクロスの総合的なものと考えています。
また、プロは1セットくらいでラケットをチェンジしてしまいますので、耐久性の話は置いておきますが、アマチュアは耐久性も重要な要素の一つです。
メインにポリエステルを持ってきた方が耐久性は良くなります。
縦糸はメインというくらいなので、プレーに与える影響の7割くらいを担います。
そこでメインにするストリングが重要になります。
フェデラー選手を例に取ると、85平方インチから90平方インチに変更した時に、ハイブリッドに変更しているのですが、ナチュラルガットの反発力が強過ぎて、ラケットのパワーと相まってオーバーパワーになってしまい、回り込んでのフォアハンドのアングルがサイドアウトになってしまうシーンをよく見ました。
ナチュラルガットの性能を7割残し、クロスにアルパワー(後にアルパワーラフに変更)を使用する事で、スピン量が増え、アングルショットのサイドアウトも減りコントロール性がアップしました。
その後は10年以上、ストリングの変更はせず、現在のプロスタッフRF97になった際に、テンションを49/45から58/54と約10ポンド上げて調整しています。(試合によってポンド数を変えています) ■商品情報
ルキシロン アルパワーラフ
ゲージ:1.25mm
ウインザー価格:2,192円
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錦織圭選手は、ストリングに対して繊細と言われていますが、若い頃は試合前に1本しか張り替えないこともあったこともあったそうです。実力が上がるとともに、ストリングに対するこだわりも段々と出てきて、試合中にストリングの張り替えを頼むオンコートストリングも多くなってきています。
ストリングに「W」のステンシルマークを赤で入れるのですが、錦織圭選手は極力薄く塗るようにリクエストしています。
ステンシルインクは油性のベトッとしたものが多く、ストリングの性能を下げてしまう可能性があるのです。
メーカーとの契約がある限り、入れるのはもちろんですが、個人的にはバボラのダブルラインのように、ボールを打たない下部に入れるのが本当は良いと思います。
ステンシルマークを薄くする発想は錦織のストリングに対する繊細な感覚を表している結果だと思います。 錦織圭選手のストリングの変遷は、エンデューロ→4G/ナチュラル→ナチュラル/4G→ナチュラル/4Gソフト→ナチュラル/エレメントとなっています。
テンションも約58ポンドから10ポンドくらい下がってきています。
メインにポリエステルでハイテンションのころは、腕の負担か大きく、5セットマッチの後半の疲労や怪我に悩まされていました。
徐々に体に優しいセッティングになってきているのがよくわかります。 ■商品情報
ルキシロン エレメント
ゲージ:1.25mm/1.30mm
ウインザー価格:2,192円
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突然ですが、私中居はバニラアイスにあずきをトッピングするのが好きです。
『この人、急に何言ってんの!』と思った方はよく聞いてください。
バニラアイスとあずきのハイブリッドは、お互いの美味さを知った上でトッピングしたものです。
ストリングもハイブリッドする場合に、注意したいのが、お互いの(メインとクロス)の特性を知った上でハイブリッドすることです。
もし、バニラアイスもあずきも食べたことがない人がバニラアイスにあずきをトッピングした場合、美味いかもしれませんが、不味いかもしれません。
その場合、なぜ美味いのかなぜ不味いのか理由がわかりません。
それぞれの味を知っていれば、どのようにトッピングを変えれば美味しくなるか想像できると思います。
せめて、メインにするストリングは張ったことがあるものにすることを推奨します。
もし、合わなかった場合でも、次にどうすればいいのか答えがわかりやすくなります。
ナチュラルガットは牛の腸から作られています。
最大の特徴が、ボールが当たった箇所だけ凹むホールド感にあります。
ナチュラルガットに似てるとされるナイロンマルチフィラメントは、ボールが当たった箇所を頂点にストリング面全体がピラミッド型に凹みます。
センターに当たると大きなピラミッドになり、センターを外れると小さいピラミッドになり、戻りのパワーが変わってしまいます。
ナチュラルガットは、当たったボールの箇所が凹み復元しますので、ある程度ならセンターを外しても戻りのパワーは変わらないのです。
ポリエステルの最大の特徴は、ストリング自体は凹まず、スライドすることで、ホールドしています。
しかも、ボールが当たった箇所だけスライドするので、ナチュラルガットのボールが当たった箇所だけホールドするのと似ています。
ナチュラルガットとポリエステルのハイブリッドは、こういったことから相性が良いのだと思います。
今後は、ナチュラルガット以外のハイブリッドを研究していこうと思っています。