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【GEEK通信】「ニュービーストは前作を超えたのか、トラックマンでチェックしました」
2021/08/23

■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
「ニュービーストは前作を超えたのか、トラックマンでチェックしました」
プリンスから新しいビーストが発売されます。
前作が発売されたときは、性能の評価に加え真っ赤なデザインが衝撃的で、10年に一度の傑作と讃えました。
ヒットアイテムの次回作は大変難しく、どうやって前作を超えるか開発者は頭を悩ませます。
ニュービーストを見た時に、デザインはさらにカッコよくなっていると思いました。
前作はマットな赤でしたが、今作はグロスの赤とエンジと黒を絶妙に配しているのです。
高級感が漂います。
これで性能が良かったら、絶対買い換えます。

ということで、プリンス協力のもと、新旧ビーストをトラックマンを使って比較してみることにしました。
公平を記すために、同じストリング(ハリアーレスポンス)を張り上げました。
比較するモデルは、300gのO3と300gのトラディショナルです。
スピードとスピンで比較すると、
2019 ビーストO3 100スピード94.9kmスピン1535rpm
2021 ビーストO3 100スピード95.2kmスピン1703rpm
2019ビーストトラディショナル100スピード104.5kmスピン1369rpm
2021ビーストトラディショナル100スピード98.1kmスピン1372rpm
という結果でした。
O3はわずかに2021モデルが2019モデルを上回りましたが、トラディショナルでは、2019モデルの方が2021モデルを上回りました。
2019モデルは10年に一度の傑作と言ってきたので、こうゆう結果もあり得ると思います。
自分だけの試打では偏ってしまうこともあるので、女性スタッフ古賀にも、一切忖度なしで打ってもらいました。
その結果は、2021ビーストO3は2019モデルより、スピードで5キロ、スピンで150回転上回り、
2021ビーストトラディショナルは、2019モデルより、スピード6キロ、スピン300回転上回りました。

2021モデルには、DBという機種がラインナップに加わり、ベテランプレーヤーには懐かしく、若い世代には、新鮮に映ったと思われるダブルブリッジという機能か搭載されています。
自分の記憶では、シナジーDB26とかラフターが使っていたプレシジョンレスポンスに搭載されていたと思います。
縦ストリング6本がエラストマーにダイレクトで接触し、可動域が7mmほど縦糸の長さが長くなるので、パワーが上がりながら、打球感がマイルドになります。
トラックマンの結果は
2021ビーストDB 100 スピード105.1kmスピン1243rpm
とスピードが上がりました。
同じように、280gの3機種もデータを取ったところ
3機種ともに、300gの数字を上回り、2021ビーストDB100の280gが一番いい数字でした。
結果はスピード110.2kmスピン1232rpmでした。
もし、今使用しているプリンスエンブレム110より、
トラックマンの結果がよかったならば、潔くラケットを変えることになります。
過去、スリクソンREVO4.0→スリクソンCS10.0→スノワートビタス115→プリンスエンブレム110とラケットを変えてきたのは、すべてトラックマンの数字が上回ったからです。
できれば、エンブレム110はお気に入りなので、まだ
変えたくはないのですが、自分の中で決めたルール
「トラックマンは嘘をつかない」があるので、どんな結果であれ受け入れることになります。
エンブレム110の結果は、
スピード110.0kmスピン1448rpmでした。
スピードはビーストDB100(280g)が、わずかに上回りましたが、スピンは200回転以上エンブレム110が上回りました。
なんかホットしました。
でも待てよ、ビーストDB100(280g)は、ナイロンストリングのエンブレムタッチSFが張ってあって、エンブレム110はポリエステルのRPMブラストが張ってあったな。
国際テニス連盟(ITF)が、公表したストリングの違いによるスピンのかかりは、ポリエステルはナイロンより20%、ナチュラルより11%向上すると結論づけていました。

ということは、ビーストDB100(280g)にポリエステルを張ると、20%スピンがアップすることになります。
1232rpmが20%アップすると、1478rpmになり、
エンブレム110の1448rpmを上回ることになります。
というわけで、スピードもスピンもビーストDB100(280g)が上回りましたので、このラケットを購入することが決定しました。(泣)

翌日、ダブルスを4時間やったので、全てのラケットを実践で使ってみました。
ビーストDB100(280g)は、サービスもボレーもしやすく、ストロークのコントロールもよく、欠点はありませんでした。
特に、エンブレム110との違いはつき球が浮かずにネットスレスレを狙うことができ、リターンゲームでの展開がいつもより攻撃的でした。
O3タイプ、トラディショナルタイプ、DBタイプ3つの違いがわかってきました。
O3タイプは、スピンのかかりが一番よく、ストローク中心で安定感のあるテニスができ、サービスもスピン、スライスにキレが出ます。
風切り音が出るので、、好き嫌いが分かれることも。
トラディショナルタイプは、歯切れのいい打球感が気持ちよく、スピード勝負のテニスに向いています。
どこでボールを捉えているかがわかるので、コントロールがしやすく、たとえミスが出たとしても、原因がわかりやすく、修正がしやくなります。
DBタイプは、ちょうどO3とトラディショナルの中間で、パワーがありながらもマイルドな打球感で、ハードヒット時の荒れ球は出にくい感じがします。
300gと280gの違いは、振れるなら300gの方が威力も出て、打ち負けないのですが、300gだと疲れてしまったり、体力がなく280gの方が速くスイングできる場合は、280gがいいでしょう。
自分は完全に280gの方が、スピードもスピンも向上しました。

今回は、新旧ビーストを比較しましたが、その必要はなかったかもしれません。10年、20年後には、つや消しビースト、つやありビーストと呼ばれて、名品ビーストとして語り継がれている可能性が高いからです。
グラファイトも1本ライン、4本ライン、ノングロ、ピングロなどと呼ばれていますが、どれが優れているではなく、名品の中でどれが好きだったかと語るだけで、優劣はつけません。
ビーストもきっとそうなるラケットではないでしょうか。