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【GEEK通信】「ポリエステルストリングのスピン検証」
2021/08/29

■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
「ポリエステルストリングのスピン検証」
ポリエステルストリングのスピン性能について考察していきましょう。
2005年の研究結果(縦ストリングが大きく動くほどスピンがかかる)が出る以前は、摩擦抵抗が大きい方がスピンがかかると言われていて、実際に凸凹や多角形のストリングがスピンガットとしてナイロンもポリエステルも各メーカーから発売されていました。
現在は、ナイロンストリングの凸凹は減ってきましたが、ポリエステルは逆に星型やキャタピラ型など多様化してきています。
実際のスピンがかかる現象はインパクトで起こるスナップバックだったので、ナイロンよりポリエステルの方がツルツルしているのでスピンがかかりやすいことになります。
では実際にどれくらいポリエステルはスピンがかかるのでしょうか。
トラックマンなどでも度々データは取っていますが、同じ条件やデータ件数などまだまだ正確な数字は出ていません。
ところが既に国際テニス連盟(ITF)で、研究結果として発表されていたのです。
「ポリ系ストリングは、ナイロンよりも20パーセント、天然ガットよりも11パーセント
スピンが大きいことを発表した(2013年)
ITFは今後市場に出されるストリングを一つひとつテストするつもりである。」
ITFって凄いですね。ルールブックを作っているだけじゃないんですね。
40年以上前のことですが、縦横のストリングを交差させていない「スパゲティラケット」を使っているランキング下位の選手がトップの選手に勝ちまくるという出来事がありました。
交差してないので、ストリングはやたら動き、もの凄いスピンのかかったボールが生まれ、トップ選手でも対応できなかったのです。
ITFはストリングは交互に編んでいなければいけないとルールを作り、スパゲティラケットは使用できなくなりました。
滅多にないですが、ガット張り中に目が飛んでしまったときに、気づいたのですが、やたらストリングが動きます。
万が一目飛ばししたラケットを使ってしまったら違反ですのでご注意ください。

ポリエステルがスピンがかかるのはわかったのですが、どのアイテムがよりスピンがかかるのかヨネックスとダンロップのポリエステルを使ってトラックマンで計測しました。
ヨネックスのポリエステルでスピンに特化したポリツアーREVとポリツアースピンがあります。
ヨネックス社員の野原さんに協力してもらい、二人のデータを取りました。
YouTubeもあるので参考にしてみてください。
『YouTube動画はこちらから♪』
結果は私も野原さんもポリツアーREVの方がスピンがかかる結果になりました。
中居:ポリツアーREV 1195/rpm
ポリツアースピン 1172/rpm
野原さん:ポリツアーREV 3025/rpm
ポリツアースピン 2599/rpm
ポリツアーREVは8角形断面で、ポリエステルでは唯一SIF製法を用いています。
SIF製法とはシリコンを浸透させスナップバック機能を高めスピン性能を向上させる製法です。
ポリツアースピンは、5角形のストリングで、どのメーカーの多角形ストリングより角が鋭角で、ガット張りをしているときに指が痛くなるほどです。
この結果からも表面を滑らせる加工をした方がスピンがかかりやすいことがわかります。

次にダンロップのエクスプロッシブ3機種の比較をしてみました。
一緒にトラックマンをやってくれるのは、ダンロップマーケティングの藤枝さんです。
藤枝さんの得意なショットがバックハンドということで、自分もシングルバックハンドでチャレンジしました。
(動画あり)
データ取りの前の予想では、二人ともエクスプロッシブツアーがスピンが一番かかるとしていましたが、
結果は藤枝さんがエクスプロッシブバイトで自分はエクスプロッシブスピンが一番でした。
藤枝さん:エクスプロッシブバイト 1407/rpm
エクスプロッシブツアー 1320/rpm
エクスプロッシブスピン 1192/rpm
中居:エクスプロッシブスピン 1229/rpm
エクスプロッシブバイト 1119/rpm
エクスプロッシブツアー 982/rpm
エクスプロッシブツアーの柔らかさ、食いつきのよさからスピンが一番だと思ってしまいました。
藤枝さんは普段からエクスプロッシブツアーを使用しているので、いい印象を持っていたようでした。
データを取ってみると意外な結果でした。
丸ポリと多角形ポリでは、丸ポリの方が縦横の摩擦抵抗が少なく、スナップバックが大きくなると思っていたのですが、多角形ポリはスナップバックに加え、インパクトの瞬間に「ガリッ」とボールに回転をかけるプラスアルファがあるのかもしれません。
まだまだテストを続けていかないと答えは出ないと思います。奥が深いですね。

最後に、プリンスから発売予定の2種類のポリエステルを打ってみましたので、インプレしていきます。
ファントムプロとファントムタッチで二つとも丸ポリです。
プリンスのポリエステルは、5つのコアをくっつけたツアーXXスピンとか、内部にエラストマーが入ったストロー状のハリアーレスポンスとか、個性的なものが多い印象ですが、今回の2種類はポリエステルの王道を行っています。
ファントムプロは、最近流行りの柔らかいポリではなく、硬くて張りのあるパワー系のポリエステルです。
ライバルとしては、ルキシロン のアルパワーです。
昔からポリエステルが大好きと言う方ははまってしまうかもしれません。
ファントムタッチは、真逆の柔らかさが売りで、パワー、スピンを自在にコントロールできるストリングです。
ライバルはヨネックスのポリツアープロ、ゴーセンのGツアー3です。
9月発売予定ですのでお楽しみに。