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GEEK通信「真ん中、先端どっちがスピンがかかるのか検証してみました」
2022/07/28

「真ん中、先端どっちがスピンがかかるのか検証してみました」
以前、ATPツアーでベスト8に入った綿貫陽介プロのストリングを海外遠征の前に張りました。
綿貫陽介プロは、裸で9本のラケットを抱えて来店されました。
RPMパワーからRPMブラストに変えたそうで、4本はRPMパワーが張ってあり、5本はRPMブラストでした。
さすがトッププロはストリングが切れている位置がすべて一緒でした。
RPMパワーはラケットのど真ん中ですべて切れており、RPMブラストはボール1個分上のストリング2本分横が見事に同じ位置で切れていました。
アマチュアは、ストリングの切れる位置がまちまちの人もいれば、常に同じという人もいます。
でも、ストリングによって切れる位置が変わる人はあまり見たことはありません。
では、なぜプロは切れる位置がストリングによって変わったのか検証していこうと思います。

RPMパワーは、柔らかい打球感でボールを吸収する感じがあり、コントロールはつけやすいのですが、距離は出しづらく、スピードを出すにはスイングスピードを上げる必要のあるストリングです。

RPMブラストは、軽快な打球感で、スピンのかかりも十分でありながら反発力もあり、オールラウンドなストリングです。

綿貫陽介プロはRPMパワーを張っているときは、深く威力のあるボールを打つために、スイートスポットのど真ん中で捉えていたと仮定できます。
RPMブラストに変えてからは、ボール1個分先端のボール半個分横にずれたのですが、
意識的に打点をずらすことはありませんので、無意識にボールのスピード、打ち出し角度、スピン量、飛距離の変化を察知して、打点がずれたのかと思います。
RPMパワーと同じ位置(ど真ん中)で打つとバックアウトが多くなったと考えられます。
そこで、スピンは先端で打つとかかるのか、果たしてどうなのかトラックマンで検証してみたいと思います。


その前に予想をしてみます。
先の方で打つ方が多いのは間違いないでしょう。ストリングが切れる位置がやや上の人が多いです。
スピンがかかる原理はストリングのスナップバックですので、縦糸の一番動きやすい位置はフェースの真ん中です。
真ん中で打った場合、ストリングの凹み、スナップバックの可動域が最大になります。その結果、スピンのかかりも最大になるのではないでしょうか。
飛びも良くなるで、スピンがかかってないように感じますが先端で打つよりかかっていると予想します。
では、先端で打つ人が多いのは、何故でしょうか。
手元より先端の方がスイングスピードが速くなるので、ボールに威力を伝えられ、さらにスポットを外すことで、飛びを抑えられるので、角度をつけたショットもアウトせず力の加減をせずに振り抜けるからだと予想します。
次に、スイートスポットの左右のズレはどうなるのでしょうか。
お店で、選手の張り替えや上級者の張り替えを受ける時に気になるのが、切れている位置がセンターのストリングより、2、3本横にずれていることが多いのです。
これも、仮説を立ててみたいと思います。
フォア、バックで打つ面を決めている方や無意識で握りが決まっている方は意外と多いのです。
スピンをかける打ち方は、斜め下から斜め上にラケット軌道は動きます。
ストリングが一番長いセンターの2本に当たるとストリングの撓みが大きく、威力も最大で撓みも大きく、スナップバックも大きくなりスピンもかかります。
左右にボール1個分ずれた時は、フェースの動きが変わります。
ラケットを横にして、上にボール1個分ずれた時は、フェースが上を向くようになり、弾道は上方に飛び、順回転はかかりづらくなります。
結果アウトボールになりやすくなります。
ラケットを横にして、下にボール1個分ずれた時は、フェースが下を向くようになり、弾道は下に出やすくなりますが、フェースはボールの上を被せるように動き、順回転が自然にかかるようにアシストします。
下にボール1個ずれは、大きなミスにはなりにくく、スピン量は増えると仮定することができます。
以上の仮説を踏まえて、トラックマンで実打検証してみました。
■仮説
①真ん中で打つとスピン、スピード、飛距離が1番(?)
②先端で打つと、スピンはかかるが飛距離が落ちる(?)
③横(下)で打つと、スピンはかかるが、弾道が低くなる(?)
④横(上)で打つと、スピンがかからず、弾道が高くなる(?)
トラックマンで、マイラケのエンブレム110、ハイブリッドとポリエステルでデータを取ってみました。
まずは、真ん中と先端ではどうなったでしょうか。

〈縦バイオロジックxx128横ファントムタッチ125〉
真ん中:スピード109.1km、スピン1977/rpm、飛距離23.4m
先端:スピード103.3km、スピン1905/rpm、飛距離22.2m

〈ハイパーGソフト120〉
真ん中:104.3km、スピン1865/rpm、飛距離23.7m
先端:102.7km、スピン1993/rpm、飛距離23.3m
大方の予想通り、真ん中で打つとスピード、飛距離が出ました。スピンに関しては、真ん中と先端ではさほど違いがありませんでした。

次に、左右のズレの違いを見ていきます。

〈縦バイオロジックxx128横ファントムタッチ125〉
下側:スピード100.1km、スピン1418/rpm、飛距離19.6m
上側:スピード97.3km、スピン計測出来ず、飛距離19.1m

〈ハイパーGソフト120〉
下側:スピード97.9km、スピン1675/rpm、飛距離21.6m
上側:スピード96.7km、スピン計測出来ず、飛距離20.7m

真ん中より下側に当たるとかすれた当たりになり、回転はある程度かかりますが、フレームショットも何球かあり、推進力は生まれず、威力は半減します。
真ん中より上に当てるのは、至難の業で、かなり高い打点で打つことになり、もはやミスショットしている感覚しかありませんでした。
打点が前になることで、スピンが計測されませんでした。(実際は1球だけ1100/rpmを計測できましたが10球の平均にならず削除しました)
■結論
トラックマンの検証結果から、
仮説①は完全に推測通りでした。
真ん中に当たると、スピードは当然ながら、スピンも飛距離も最大になりました。
仮説②も推測通りでした。
ハイブリッドは、真ん中の方が先端よりスピンがかかったが、ポリエステルは逆の結果でした。ただ、ハイブリッドもポリエステルもスピードが遅くなり、飛距離が落ちました。
仮説③は半分正解で、弾道が低くなるは正解でスピンがかかるは不正解でした。
仮説④も推測通りというか、推測以上の結果でした。
■まとめ
ど真ん中で打つとスピードもスピンも最大になるので、一般のアマチュアはど真ん中で打つことを個人的にオススメしたいと思います。
スイングスピードが速い方は、真ん中で打つと飛距離が出てしまうので、先端で打つことで、スピン量を落とさずに飛距離を短くできるのでオススメです。
上級者がストリングを切った時に、先端で横に2.3本ずれているのは、意識してそこで打っているのではなく、センターで捉えたボールがスイングスピードが速いので、横に2.3本ズレて飛び出しているものと思われます。
今度、ストリングが切れたときはどの辺で切れたのか見てみるのも面白いかもしれませんね。

「後日談」
海外遠征から帰国した綿貫陽介プロがご来店されました。

中居「綿貫プロおめでとうございます。リオンでベスト8は凄かったですね。デミノー戦での棄権は残念でした。」
綿貫プロ「お陰様で、頑張れました。デミノー戦の前に腰を痛めてしまい、デフォしようと思ったのですが、ジュニアの頃からのライバルだったので、できるところまでやろうと思ったのですがやっぱりダメでした。」
中居「ところで、ストリングのことで聞きたいのですが、RPMパワーはど真ん中で切れていて、RPMブラストは先端で切れていたのはなぜでしょうか。」
綿貫プロ「パワーからブラストに変えたので、パワーは、切れるまで使いませんでした。切れてないのに張り替えるのは申し訳ないので、張り替えに来る前に、自分でハサミを入れました。」
中居「えーっそうだったんですね。自分でハサミをね。だから、ど真ん中が切れてたんですね。」
プロからすると、ストリングを切った状態で張り替え依頼をされたいのかもしれいないですね。
私中居のとんだ勘違いでした。

ちなみに、RPMパワーを使っていた時も同じところで切れていたそうです。
勘違いからスタートした企画でしたが、先端で打った時とど真ん中で打った時の違いがわかったことは収穫だったと思います。
これからも、疑問に思ったことは、研究、勉強していきます。