オンラインショップでは3,980円以上ご購入で「送料無料」です。

新着記事
アーカイブ

店舗情報

【GEEK通信】【ウイルソン】「Sラケの魅力再発見!クラッシュ、ブレード、ウルトラ三つ巴試打」
2020/06/11
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは
テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 
テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
-----------------------
「Sラケの魅力再発見!クラッシュ、ブレード、ウルトラ三つ巴試打」
ここ最近気に入って使っているラケットの共通点は、ストリングパターンが16×18なんです。
スリクソンレヴォCS10.0しかり、スノワートビタス115しかり。 16×19が平均的なパターンですので、横糸が1本少ないのが好みなんです。
ジョコビッチ選手も市販モデルから横糸1本少なくしています。
ディミトロフ選手は18×17のオリジナルストリングパターンにしています。
横糸が少ないメリットは、スナップバックが大きくなることです。 スナップバックとは、縦糸が横方向にズレて元の位置に戻ってくる現象で、スピンのかかりと、飛びに影響を与えます。
縦糸が横方向にズレる時に、横糸との摩擦が発生し、摩擦が大きいとスナップバックが小さくなり、戻りも遅くなります。
スナップバックを活性化する方法は、
---------------------------
①ポリエステルを張る
②ストリングに潤滑剤を塗布する
③ハイブリッドで横糸を、細くする
(縦糸を細くすることでも、スナップバック効果は同じですが、縦糸の役割の飛びのコントロールに影響が出てしまうので、横糸を細くする方が賢明)
④横糸の本数を少なくする
---------------------------
ざっとこんなところです。
①から③は現在使用しているラケットに、手を加えるだけですので、すぐにでもできるのですが、④は今使用中のラケットの横糸を抜いて張るのではなく、元々18×16や16×15のストリングパターンのラケットを使うことです。
スナップバック効果がスピンに影響を与えるという内容の論文が発表されたのが2005年頃で、ウイルソンはいち早く縦糸より横糸が少ないストリングパターンのラケットにパテントを取得したのです。そしてSラケットと呼ばれるようになりました。
こうして発売されたラケットがスティーム99Sとスティーム105Sです。
初めて打った時は、大変驚きました。
いつもより上方向に飛び出し、「あっ、バックアウトか」と思った瞬間に急激にドロップし、ベースラインギリギリに着弾したのです。
スライスを打てば、ネットの下からホップするように伸びていきます。
スライスサービスを打てば、曲がり過ぎてフォルトの連続でした。
早速スティーム105Sを買ったのですが、良いこともいっぱいあったのですが、自身にとって使いこなせなかった部分もあり、半年使用して諦めてしまいました。
使いこなせなかったのは、飛び出し角度が思ったより上方向に出てしまい、相手前衛にポーチされてしまうのです。
また、当時はナイロンマルチフィラメントを張っていたので、数回使うと切れてしまったことです。
この原因は、ストリングパターンが16×15とかなり粗かったことです。
Sラケの第一弾だったので、「スピンエフェクト」の効果を広く周知させるために、あえてスカスカの16×15にしたのではないでしょうか。
その後はSラケと言えば18×16が当たり前のストリングパターンになりました。
縦糸を18本にしたことで、問題だった、飛び出し角度も打ち手の思った角度になり、ストリングの耐久性もかなり向上しました。
横糸16本も縦糸に対して2本少なく、十分スナップバック効果がありました。
このストリングパターン「18×16」で現在発売されているSラケ3機種を改めて比較してみました。
クラッシュ100S、ブレード98S、ウルトラ100Sにシンセティックガットパワー16(ナイロンモノフィラメント)を縦48ポンド横52ポンドで張り上げました。
Sラケは横糸を3ポンドから5ポンド上げることで、変形を防いでいます。
通常、縦糸を張った時にラケットフェースは少し横に広がります。横糸を張って元の形状に戻していきます。
しかしながら、Sラケの場合横糸が少ないので、元の形状に完全に戻らないので、横糸を強く張ることで横糸の少なさを補っているのです。
通常、縦糸18本のラケットは横糸が20本ですので、Sラケの18×16だと4本少ないので1本1ポンドとみなし4ポンド上げています。
クラッシュ100Sは、最もラケットのしなりが大きく、ストリングに食いついている時間も長くなります。ストロークでは、振り遅れてもクロスに持って行けそうです。ボレーでは、ミスはしませんが、なんとなく決まらないジレンマを感じます。体力があって足の速いシングルスプレーヤーで、相手より1球でも多く打ち返すタイプのシコラーには使って欲しくないラケットです。自分の苦手にするタイプなので、想像するだけでイヤになります。 ブレード98Sは、スピンも良いのですが、スライスがさらに良いのです。伸びるスライス、曲がるスライス、止まるスライスなどフレームの縦しなりが幅を広げてくれます。打球感が素直で、良いショットも悪いショットも包み隠さず伝わってきます。Sラケの中では、最もコントロールしやすいラケットです。スピン一辺倒ではなく、フラット、スライスを織り混ぜて試合を作るテクニシャン向けモデルです。
ウルトラ100Sは、反発力がありスピードボールで勝負できるラケットですが、スピンをかけないとバックアウトも気になります。ただし、スピンをかけた時の落ち方はものすごく、スティーム105Sを初めて打ったときの驚きを思い出しました。爆発的な反発力をスピンに転化すると、バウンド後の跳ね上がりが大きくなり、相手をベースライン後方に下げることができます。自分のフォームに合うのか、ボレーのしやすさは秀逸です。スライス回転を多めにかける打ち方なんですが、ボレーでもスナップバックが起こるみたいで、吸い付いてから弾き出す感覚です。
今回は、ナイロンモノフィラメントを張りましたが、スナップバック効果と切断耐久性を考えるとポリエステルを張るのがベストではないでしょうか。
当然プレースタイルや好みに合わせて、ナイロンマルチフィラメントもナチュラルガットもラケットの性能を妨げることはありませんのであくまでも中居個人の感想です。
【GEEK通信】【ウイルソン】「#ULTRAできるチャレンジがメインの試打会に参加しました。」
2020/02/21
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
-----------------------

【ウイルソン】「#ULTRAできるチャレンジがメインの試打会に参加しました。」
ウルトラと言えば、私の世代はウルトラⅡを思い出す方が多いと思います。
30数年前に7万円で発売されました。
有名なプロスタッフミッド85が6万円でしたので、その上位機種だったのですが、ダブルブレードカーボンにボロンを使ったモデルです。
当時ボロンは超高級素材で、プリンスボロンは15万円でした。
よってウルトラには、近寄りがたいとか、一目置くと言ったイメージがあり、「ウルトラはいる」とか「ウルトラいいね」などの軽いイメージは湧かなかったのです。
数年前のことですが、ウルトラ100(2代前)を打ってみると非常に使いやすく、ストレスなくプレーできました。
プレーしたこの日は各メーカーのラケットを一通り試打するイベントで、ヒッティングパートナーから「中居さんのテニスには、ウルトラ100が一番合ってましたよ」
と言われ、生まれて初めて他人の意見を元にラケットを買いました。
確かにボレーがしやすく自分のプレースタイルに合っていました。
その後、色々とラケット を変えましたが(5機種程)、ウルトラ100はいつ戻しても、すぐに試合で使えるので、今でも手元にあります。
そしてまたウルトラの新作が打つことができる機会がやってきました。
ウルトラ100、ウルトラ100L、ウルトラ100S、ウルトラ108の4機種です。(ウルトラ100ULは今回試打の機会はございませんでした)
なんと見慣れたPWSの膨らみはなくなり、逆にその部分がえぐれているのです。
お馴染みのクラッュゾーンもボリュームアップし、とにかくストリングの撓みを縦も横もアップしたのです。
ウイルソンスタッフの道場さんと横山さんは、YouTubeでもお馴染みで、読者の皆さんも知っている方も多いのではないでしょうか。
『#ウルトラできる』をテーマに難しいショットに挑戦する動画は見ていて楽しいですね。
今回の試打会は、ウイルソンスタッフとウインザースタッフが色々な動画にチャレンジする企画でスタートしました。
ウイルソンスタッフ横山さんにご挨拶しました。
「今日はテニスバッグ背負ったまま試打するのですか。」
横山さんはキョトンとしてます。
道場さん「中居さんが気を利かせて、ウルトラできるチャレンジのことを言っているのに、何でわかんないの。」
【#ULTRAできるチャレンジ】とは、内山プロがバックスピンをかけて相手のコートに落ちたボールがネットを越えて自陣のコートに戻し、ボールカゴに入る映像などを配信しているもので、横山さんのバージョンはバッグを背負ってコートを後にする時に、ポケットにボールが残っていたことに気づき、ベースライン辺りからネット越しにボールカートに、フワリとドロップショットのように打って入れる動画でした。
横山さん「あーあれですか!(笑)大変だったんですよ。中々入らなくて、入っても跳ねて出ちゃったり。今日も撮影しますからね、中居さんが持っているペットボトルも使いますからね。」
そんなゆるりとしたトークでスタートしました。
ウルトラ100をまずは打ったのですが、ウルトラはどんどん簡単な方向に向かっているようでした。
打感が非常に柔らかくて、打った気がしないくらい手に響かないラケットに仕上がっていました。
ただし、先っぽに当たったミスショットは、ビリビリと響き、本当のラケットの硬さを痛感することができました。
本当は硬いフレーム構造で、パワーを出しながら、ストリングの撓みでマイルドな打球感にして、オブラートに包んだようなフィーリングを実現していたのです。
ウルトラ100Lは、280gでバランス320mmと前作より、3g重くし、5mmトップライトに変更しました。
本来は、280gだとトップヘビーにしないと打ち負けてしまうのですが、面ブレが少なく打ち負けないパワーがあるのでイーブンバランスの320mmを実現できたと言っていました。
実際に打ってみても打ち負けることなど全く無く、逆にスイングスピードが上がり、回転数が増しているようでバウンド後の跳ね方が大きくなっていました。
ウルトラ100Sは、ストリングパターンが18×16のスピンエフェクトモデルなので、スピンがかかりやすいのは当然なのですが、ローボレーとバックボレーがしやすいことを発見しました。
私だけかもしれませんが、フォアボレーはフラット気味で余裕があるとドライブボレーで打つことがあります。それに比べてバックボレーは、アンダースピンを多めにして安全に打っています。ローボレーもネットしないように、スライス回転を入れ相手コートに深く行くように打っています。18×16の粗いストリングパターンだと、ボールのフェルトがストリングの編み目にめり込む感じで、スライス回転がかかりやすくなる気がしました。元々、ボレーがしやすいウルトラ100 ですから、18×16のSラケもボレーがしやすいのは当然の結果でした。
ウルトラ108は、スライスが打ちやすくバックハンドは当然ながらフォアハンドのスライスがよく伸びて、相手は取り辛そうにしてました。
最大の特徴はボレーがしやすいことで食いついてから反発するので、逆回転、横回転が自在でネットプレーが楽しくなります。
試打の後は、#ULTRAできるチャレンジを行いました。
この模様はいずれ配信されますのでお楽しみに。
【GEEK通信】【ウイルソン】「黄金スペックの次に来る大和(やまと)スペック、ブレード100の実力とは。」
2020/02/07
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
-----------------------

【ウイルソン】「黄金スペックの次に来る大和スペック、ブレード100の実力とは。」
ブレードとはBLADEBRAIDがあり、BLADEは「刃」という意味で、BRAIDは「編み込む」という意味になります。
ウイルソンは、プロスタッフミッド85にダブルブレード(DOUBLE BRAID)という2重に編み込んだカーボンを使用して、硬いのにノリがある打球感を実現し、ラケット史に残る大ヒットを記録しました。
あれから30数年経ち、ラケットも進化を続けています。
今回発売されたブレード100は、FEELFLEX パワードバイカーボンマッピングと呼ばれる編み込んだカーボンを使用しています。
まさにBRAID構造なのです。
こちらのギーク通信は、メーカーからの協賛、依頼は一切ありません。
ということで、試打は完全に自身のプライベートなテニスでやっています。
今回もダブルスのオフに参加し、そこで試合しながらラケットのインプレッションをしていこうと思います。
流石にプライベートですから、テニスが楽しくなければ面白くありません。
試打ラケットはほとんどの場合一試合使用して、マイラケットに取り替えてしまいますが、今回使用した【ブレード100 】は、非常に使いやすく、スーパーショット(生まれて初めてのポール回し等)の連続で、最後まで使い続けてしまいました。【ブレード100】が扱い易かったので起こった奇跡です。
ブレード100は300g、100平方インチ、22mm厚の黄金スペックの薄フレームです。
そもそも黄金スペックとは、ピュアドライブが大ヒットし、300g、100平方インチ、26mm厚が黄金比のような美しい形をしていることを黄金スペックとテニスグッズライターのM氏が名付けたことからスタートしています。
黄金比とは1:1.618の長方形の形のことで、ミロのヴィーナス、モナリザ、アップルのロゴなどに採用されています。
身近なところだと名刺のサイズが黄金比です。
黄金比以外でも、白銀比(大和比)、青銅比、第二黄金比などがあり、白銀比は法隆寺や五重の塔やドラえもんなどに用いられ日本人の好みに合うことで大和比とも言われています。
1:1.414でコピー用紙のサイズが大和比です。
日本限定発売のブレード100のスペックは、300g、100 平方インチ、22mm厚で日本人が好むスペックで、26mm厚だとパワーが出過ぎてしまい荒っぽくなってしまうという日本人プレーヤーの声に応えるモデルになっています。
また、黄金スペックのラケットはラウンド型のフレーム断面に対してブレード100は、ボックス型に近い断面を採用しています。(Xループ構造)
ラケットにしなりを持たせ、中身の詰まった打球感を実現し、パワーをセーブしコントロール性能を高めた300g、100 平方インチ、22mm厚のスペックは日本人好みのスペックということで、大和比スペック(大和[やまと]スペック)と言って良いのではないでしょうか。
個人的に大和スペックのラケットと呼べるのは、ヘッドグラフィン360+スピードMP(300g、100平方インチ、23mm)、バボラピュアストライク100(300g、100 平方インチ、23mm厚)、ヨネックスVコアプロ100 (300g、100 平方インチ、21mm)などです。
今後、大和スペックのラケットは増えてくる予感がします。
ブレード98 16×19と比較してみると、ブレード100の方が打球感がより柔らかく、スピン性能に優れているように感じました。
---------------------------------
RA値は
ブレード98 16×19  63    
ブレード100     61
※ギーク調べ
---------------------------------
ブレード100も16×19のストリングパターンなのですが、横糸の間隔を上下に広げてスナップバッグをしやすくしています。
通常フレーム厚のより薄いブレード98(21.5mm厚)の方がしなるはずですが、日本限定ということで日本人好みの食いつく感覚を重要視し、よりしなりを大きくしたのではないでしょうか。
ATP、WTAの選手のウイルソン使用率は35%(ナンバー1シェア)で、その内ブレードの占める割合が45%です。 チチパス選手、ラオニッチ選手、デミノー選手、ハチャノフ選手、ゴファン選手、ウイリアムズ姉妹、ハレプ選手、オスタペンコ選手、サバレンカ選手ら多数の選手から信頼されているブレードですが、ウイリアムズ姉妹以外は、98平方インチを使用しており、アマチュアが使用するにはハードルの高いモデルであるのは間違いありません。
その点【ブレード100】は決してハードルの高いプロモデルでは無いと考えます。
スイートエリアは十分に広く、球持ちが長く、ミスショットの許容範囲が大き目です。
それでいてブレードシリーズの最も良い特徴である、自分の力加減で飛距離、コースをコントロールできる手のひら感覚が備わっています。
黄金スペックをお使いの方で、バックアウトが気になる方は一度試してみるとハマるラケットだと思います。
【GEEK通信】【ウイルソン】「ラケットとストリングがシンクロしたクラッシュ100Sでスピンを操る。」
2019/12/21
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
-----------------------

「ラケットとストリングがシンクロしたクラッシュ100Sでスピンを操る。」
クラッシュが発売された際は、本当に驚きました。
とにかくこれほどしなるラケットは未だかつてありませんでした。
しなり具合はウッド並みで、手であおってもしなりがわかるレベルです。
ただラケットにはしなるメリット、しなるデメリットがあります。
しなるメリットは、ボールがラケットに当たっている(厳密にはストリングに当たっていますが)時間が長くなるので、コントロールがつけやすく、スピン、スライスがかけやすくなることが挙げられます。
しなるデメリットは、しなりと同時に捻れが起こり、面ぶれや方向性の狂いが生じることが挙げられます。
ウイルソンは捻れの起きないシャフトを開発し、この問題を解決しました。
さらに、クラッシュレベルのしなって捻れないラケットを他社に追随されないようパテント(特許)を取っているところは先を見据えていて流石と感じました。
私がテニスを始めて最初に買ったラケットはヤマハのウッドラケットで、グリップサイズがあることも知らずに5番を買ってしまいました。
ウッドラケットを知らない世代へ向けて補足させていただきますが、ウッドラケットはどのような感じかと言うと、しなって捻れるのをわかってボールをコントロールするのがウッドラケットの醍醐味でした。
ラケットフェースをフラットに当て、飛ばしたい方向にフォロースルーするのですが、飛んで行った後も永遠にボールを追いかけるように、真っ直ぐ振り抜くのです。そうしないと勢いのあるボールが飛ばなかったのです。
特にバックハンドはスライスが多かったので、捻れを利用して外に切れていくサイドスピンを普通に打っていました。
その後、グラファイトやグラスファイバーを使ったラケットが続々発売されたのですが、ウッドとはまったく性能が異なり、しなり、捻れが抑えらており、格段にパワーがアップしました。
フレーム形状もボックス型からラウンド型に変化していきます。ボックス型より、ラウンド型の方がしなりや捻れが少なくなるからです。
同じ体積のボール型の消しゴムと長方形の消しゴムがあったとします、手で曲げたり捻ったりしてみると変形が大きいのは長方形の方になります。
カーボン繊維も進化し、さらに強度の強い材質や編み込み方が生まれ、頑丈で壊れない、しなり捻れのないパワーロスのないラケットが増えていきました。
でもそこで困ったことが起きました。
テニスコートの大きさは一定なので、パワーが大きくなると、バックアウトが増えてしまうのです。
体力があってスイングの速い方は、ポリエステルストリングを張りトップスピンでバックアウトを防ぐ方法を取り、 体力があまり無くスイングがゆっくりな方はナイロンマルチフィラメントにウレタンコーティングしたストリングを張り、 ボールの接触時間を長くして距離をコントロールする方法にたどり着いたのです。
そこでクラッシュの登場です。 体力があまり無くスイングがゆっくりな方は、ボールとラケットの接触時間が長い方がミスが出にくくなります。
パワーがあってスピードの出るラケットも魅力的ですが、中居個人の考えとしてはアマチュアの試合で勝てるラケットは、ミスが少なく、沈めたり、ロブを深く打ったりできるしなるラケットの方なのです。
今まで発売されたクラッシュ5機種を繰り返し試打しましたが、たまに「あれっ」と思うことがありました。
何故なら自分が思っている弾道の高さと合わないことがあったからです。
はっきりとした原因はわからないのですが、しなっているのですが、球離れが早いときがあるのです。
今回発売されたクラッシュ100Sを打って、はっきりと原因がわかりました。
「ラケットのしなりとストリングの食いつきが自分の感覚と合っていなかった」 クラッシュ100Sは18×16のストリングパターンを採用したスピンエフェクト機能を搭載した「Sラケ」です。
横糸が少ないため、縦糸の動きがよくなり、スピンがかかるときのストリングの横にずれて戻るスナップバックが活発になります。
ラケットがしなったときに同調するようにストリングがスナップバックし、シンクロすることにより、自分の打ちたい角度、方向に正確に飛んでくれるのです。
私個人的にはクラッシュの完成形となりました。 トップスピンロブが前衛の頭上を越えて、急激に落下し、バウンド後バックネット方向に跳ねるので相手の後衛もカバーできません。
また、アングルに打ったパッシングがサイドアウトしづらくなりました。
ナイロンとポリエステルを打ち比べましたが、ポリエステルの方がSラケの特性がわかりやすく、スピン重視の方はポリエステルがおすすめです。
ボレーが好きな方や、タッチを重視する方は、縦にナチュラル横にポリエステルのハイブリッドが良さそうです。
ナチュラルの替わりにNXTソフトを持ってきても良いと思います。
スティーム105Sを使用していた自分としては、久々に使いたくなる「Sラケ」でした。
【GEEK通信】【ウイルソン】「7代目ブレード全機種インプレ」
2019/09/18
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
-------------------------------
「7代目ブレード全機種インプレ」
ブレード V7が発売されました。
初めて店頭にサンプルが届いたときに、
スタッフA「ブイセブンってどういう意味でしょうか」
スタッフB「ブレードのイニシャルのVじゃないの」
スタッフC「ブレードはBだろ、バージョン7だよ」
そうです、今回の登場で7代目になります。
2006年に初代「n BLADE」が発売されジョコビッチ選手が使用しました。
初代から7代目まで共通するのが「XLOOPテクノロジー」です。 D型をしたシャフトが特徴で、ラケットのしなり、ねじれをパワーに転化するテクノロジーが詰まっています。
ただパワーを向上させるには、フレームを厚くすればいいのですが、球離れが早くなってしまい、コントロールやスピン性能が落ちてしまいます。
ブレードが目指したパワーは、プレーヤーが出した出力をそのまま減速なしでボールに伝えることです。
普通は、しなりやねじれにより100%で打ったボールが80%や70%に減速してしまうのですが、XLOOPテクノロジーによってしなり戻り、ねじれ戻りを利用しパワーロスを防いでいます。
さらにしなりによるメリットを享受できます。しなりによりボールを長くインパクトすることができ、フラットに当たれば重たいボールが相手コートに行き、スピンをかければより回転数が上がってくれるし、スライスをかければ押しの効いた伸びるボールを打つことが可能です。 そこで今回のブレードV7の改良点を見てみましょう。
前モデルのV6(6代目)に採用された「カウンターヴェール(CV)」を見送り、「バサルトファイバー」を大量に投入しました。
元々、振動吸収、打球感に定評のあるカーボンですので、FEEL FLEXという新しいカーボンの編み方と相性が良いのでしょう。
前作のRATEST値が68で今作が63というところからも、かなりしなりが大きくなっています。(GEEK調べ)
縦しなり(天地に対してしなる)は計測できませんが、V7(7代目)は縦しなりも大きいのが特徴です。 では、実際に試打したので、一本一本チェックしていきましょう。 **以下は中居の個人の見解です**
「ブレード98 18×20 v7.0」
ボレーボレーの練習から使い始めたのですが、軽く打っているのにしなりが凄い!
相手のボールもゆっくりなのにしなっているのがよく分かります。
ここまでしなるとボレーは少し難しかったですが、ストロークで一変しました。
私の持ち球はフラット系なので、インパクトから打球方向に向けて少し押すのですが、手のひらに押してる感覚がビシビシ伝わってきます。
直線的に飛んでいき空中でひと伸びしているように深く入ります。 「ブレード98 16×19 v7.0」
18×20と同じように、フラットドライブで押すように打ったのですが、弾道が少し上に上がります。
バランスが320mmと前作よりも5mmトップライトになったおかげで気持ちよく振り抜けました。 「ブレード98 S v7.0」
こちらは前出の2機種とは別物です。
18×16のスピンエフェクトストリングパターンに10g軽い295gの設計のため、否が応でもスイングが速くなり、スピンのかかりには打った本人がびっくりするほどです。回り込んでの逆クロスはかなり鋭角に入ります。 「ブレード100L v7.0」
ブレード史上初の100平方インチ誕生です。ブレードのイメージの難しさはまったくありません。
100平方インチでフレーム厚が薄くて軽いのは全メーカーでもあまり無いスペックで、パワーは抑えめですので、ミスの少ないテニスが可能です。 「ブレード104 v7.0」
104平方インチの大きなフェース面積でここまでしなると、ハードヒット時の面ブレが気になることも。
バックハンドのスライスやボレーは打ちやすかったので、足元に沈めたり、ロブを上げたりするテクニック系のダブルスを目指す方にオススメ。 「ブレード104 SW CV v7.0」※発売は2019年9月末を予定
セリーナ・ウィリアムズ選手のこだわりが詰まった本物のプロモデルです。
こだわり1:こちらのモデルだけカウンターヴェイルが採用されている
こだわり2:ラケットの長さが1インチロング
こだわり3:パワーホールがある
こだわり4:18×19のストリングパターン
こだわり5:306gなのにバランスが330mmとトップヘビー
こちらのラケットをフルスイングできるプレーヤーはあまりいないと思いますが、もし使いこなすことができたなら、破壊力はとてつも無いことになります。
ぜひセリーナ選手になりきってチャレンジしてみませんか。 今回のブレードは、クラッシュと共通する部分は多いですが、クラッシュはしなることで予想以上にボールが飛ぶイメージですが、ブレードはしなることでご自身のイメージ通りの飛びを実現しているようです。
7代目ブレードは完成度が高く、ウイルソン契約選手の使用率がナンバー1のラケットです。
デザインついては非常にカッコよく、こちらのラケットを持っていたら相手に「この人デキるな。」と思われるラケットと感じます。
ラケットに負けないプレーをしましょう。
【GEEK通信】「発見!クラッシュ108は打っても打ってもアウトしない不思議なラケット」
2019/08/09
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
-------------------------------
「発見!クラッシュ108は打っても打ってもアウトしない不思議なラケット」
先日、Y田さんとシングルス7セットやった話しの後日談です。
月曜日に4時間シングルスをやり、その週の木曜日にまたY田さんと4時間シングルスをプレーをしました。
Y田さん「実はまだ疲れが取れてないんです。」
私「そうなんですか、自分は昨日も4時間テニスしましたよ。でも全然大丈夫です。」
Y田さん「自分より3つも年上なのに、凄い体力ですね。」
私「体力じゃないんです。疲労をためないようにしているんです。」
Y田さん「どうしているんですか。」
私「重炭酸イオンのお風呂に入っています。これが効果あるんです。」
Y田さん「それ欲しいです。」
重炭酸イオンを発生する入浴剤「アスリートリラックス」こちらがオススメです。
※使用感には個人差がございます
きっかけは、炭酸ガスの温泉に入ったときに気持ちよく、温泉を出た後も血流が良くなっているのか冬なのにずっと暖かさが続きました。
翌日にはテニスの疲れがなくなっていました。
炭酸ガスを調べてみると、重炭酸イオンがもっと効果があることがわかり、それ以来、自宅のお風呂で使用しています。
38度前後のお湯に15分浸かると、重炭酸イオンの効果があらわれます。
・重炭酸イオンが血管に取り込まれると「体内NO」という健康物質が分泌され、血管が拡張し、血流がよくなります。
・血液中の酸素量が増え、ミトコンドリアの働きが活性化。酸素を使うエネルギー生成が行われ、体温が上がる。
・血流が上がると副交感神経のスイッチが入り、リラクゼーション状態となって快眠、疲労回復が促進
・血管拡張によって血液中のリンパ球の動員が容易になって、リンパ球が増加し免疫機能が向上する。
よってシングルス4時間やっても、翌日に疲労が残り辛くなるのです。
その日の疲れはその日のうちに。
蓄積されるといつも疲れている状態が続いてしまいます。
痛い肘、膝をマッサージしていると15分はあっと言う間に経ってしまいます。
一回300円で、家族からも感謝されること間違いなし。
***********
■「アスリートリラックス」はウインザー各店店頭にて取扱っております。
10粒入り
ウインザー価格:¥1,080(税込)
30粒入り
ウインザー価格:¥2,700(税込)
*********** テニスコートでクラッシュを使用しているプレーヤーをよく目にします。
今回のダブルスの対戦相手が2人ともクラッシュだったのですが、ネットに出てウォッチしたボールがストンと落ちて入ること多数。
スピードはあまり出ていないのですが、確実に入っていきます。
アマチュアにはスピードより、コントロールが大事ですよね。
プロはスピードが出るラケットでコントロールする技術がありますが、アマチュアはスピードが出るとミスが出やすい傾向にあります。
クラッシュのしなりはミスショットの許容範囲を広げてくれているようです。
ということで、クラッシュをいちから打ち直してみました。 ある発見がありました。
クラッシュ108が程々にパワーがありながら、打っても打ってもバックアウトしないのです。
※個人差によります
私にとっては、100ツアー、100、100L、98の4機種はパワー不足で必要以上に強打しないと深く飛ばないことが多いです。
ところが、108は軽く打つと深いボールが行き、ハードヒットすると浅いボールになるのです。
不思議な現象はなぜおこるのでしょうか。
まずはスペックを確認してみましょう。 ***********
クラッシュ108:ウエイト280g、バランス335mm
クラッシュ100:ウエイト295g、バランス310mm
クラッシュ100L:ウエイト280g、バランス315mm
***********
まず気がつくのはバランスの違いです。
280gで335mmというのは、かなりトップヘビーです。
バーン100LS:ウエイト280g、バランス325mm
ウルトラ100L:ウエイト277g、バランス325mm
ですのでウイルソンのラインナップの中でもトップヘビーで、ましてやクラッシュはトップライト設計のモデルです。
さらに、さらにクラッシュ108は0.25インチロングなのです。
これは間違いなく、パワーアップが狙いです。
力があまり無い女性でも楽々飛ぶように設計したのかもしれませんが、ハードヒットする男性でも使えることは想定外だったかもしれません。 なぜ、ハードヒットすると浅くなるのかというと、クラッシュ特有のウッド並みのしなりが原因と考えます。
軽く打つとあまりしならないので、フェース108平方インチ、バランス335mm、0.25インチロングのおかげでパワーが生まれ深くて威力のあるボールが飛んでくれます。
ところが、ハードヒットした途端にボールの軌道が変わるのです。
ネットを越してすぐに「グググ」とスピンで沈み込むのです。
打てば打つほど沈み込む感覚があり、アウトボールはほとんどありません。 ダブルスのゲームで使ってみたのですが、普通に打つだけでリターンがよく沈みます。
センターへの突き球も良いボールが打てるのですが、アレーを狙ったアングルショットがサイドアウトせずに入るので安心して角度をつけることができます。
球乗りが良いのでボレーもミスが少なく、元々、軽く打つと飛ぶラケットですので、ボレーの威力もあり、ネットプレーは軽快です。
私の中で最近チャレンジしていることがあるのですが、相手の前衛がネット際まで詰めている場合にトップスピンロブでストレートに抜くリターンを練習しています。
抜ければそのままエースになることが多いのですが、浅くなればスマッシュを決められ、スピンのかかりが悪いとバックアウトしてしまいます。
クラッシュ108でトライしてみたところ、面白いように見事に決まりました。
インパクトの時間がながいので、成功に結びついてくれたようです。 ダブルスでスピンを操りたい男性におススメの一本です。
対戦相手がクラッシュを使っていたら、要注意です。
際どいボールはウォッチせずに打ち返しましょう。
【GEEK通信】「ウイルソンクラッシュ98は、こんなラケット欲しかった!と思える逸品」
2019/06/07
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
-------------------------------
「ウイルソンクラッシュ98は、こんなラケット欲しかった!と思える逸品」
膝の怪我(打撲)もだいぶ癒えてきましたので、6月からシングルスを再開しました。 ダブルスばかりプレーしていると、リターンやベースラインからのストロークを強く打つことが癖になります。
「何言ってんの!?逆でしょ?」と仰る方もいると思いますが、私の場合は、ダブルスは強打でシングルスはゆっくりスローボールなのです。
ダブルスの場合前衛がいますので、ポーチされないようにクロスに強打とストレートアタックの強打なのです。 かたやシングルスはミスをしないようにゆっくりと深いボールを打つことを心がけています。
ベテランシングルスは、エースはほとんど無くどちらかのミスを引き出した方がポイントを奪うのです。
そのようなベテランシングルスの戦い方を参考にさせていただいたのが、テニスライズ代表の河合氏です。
河合氏とは、彼がテニスコーチになる前からの知り合いで過去100戦以上対戦していますが、一度も勝ったことがありません。
今回8年ぶりにシングルスの試合を行いました。河合氏は実は8年前に足を複雑骨折しており、以前のように試合に出るのは無理なのではと思われていました。
それから奇跡的に回復し、今年からベテラン大会に復帰したとのことです。
当時の怪我があったこともあり、サービスはスピードを落としてファーストを確実に入れてくる、ストロークはフォアハンドはスピンで確実に入れてくる、バックハンドはすべてスライス。
一進一退で5-5になり、河合氏のサービスゲームです。
ここでギアを入れたのかワイドにサービスエースがきました。
5-6になり私のサービスで、積極的ににアプーチを打ちネットに出ました。すると河合氏からバックハンドでキレッキレのパッシングをされました。
5-7でファーストセットを落としましたが、河合氏は50%くらいの体力消耗に対し、私は100%全開でしたのでセカンドセットでは2-6とあっけなく取られてしまいました。
試合後、河合氏に聞いてみました。
私「昔みたいにガンガン打ってこないけど、足の具合はいかがですか。」
河合氏「足はもう大丈夫です。ベテランの試合は打っても返ってくるから、深いボールでミスなく粘ることだね。」
私「確かに、スライスは深く入ってきてやりづらかったですね。」
ここぞの場面のために体力を温存しているようでした。私も次からは、この戦略をやってみたいと思います。 大好評のウイルソンクラッシュに、クラッシュ98、クラッシュ100L、クラッシュ108の3モデルが追加になるので、早速打ってみました。 クラッシュの卓越したしなりは、フェース面が小さめでフレーム厚が薄めのラケットと相性が良さそうだということを常々思っていましたが、、、ついに出ました。
クラッシュ100ツアーとクラッシュ98はウエイト、バランスがまったく同じ、310g、306mmですが、打球感がまるで違いました。
クラッシュ100ツアーはしなるのに、あまり柔らかさを感じませんでした。
それはなぜなのか、クラッシュ98を打ってやっとわかりました。
言葉として表現するのは難しいですが、表現でするならば、[しっとりしている]か[カラッとしているか]の違いと感じました。 ■クラッシュ98は、中身が詰まった感覚があり、しなりと相まって、ひと昔前のラケットの打球感に感じました。
古いと言うわけではなく、安心感があり、自分の思っている範囲内でボールが飛んでいってくれます。
手に伝わる柔らかさがイメージ通りで心地良い打球感です。 ■クラッシュ100ツアーは、中空系の打球感でありながらしなりの大きいラケットで、慣れないと力の入れ具合が難しいところがあります。
錦織圭選手も動画で「ポーンと飛んでいく、タイミングが合わないくらい柔らかい」というような内容を語っていました。
今まで数多くのラケットを打ってきた中で、見た目である程度どんなラケットかイメージすることがあります。
クラッシュ100ツアーはいい意味で裏切られます。クラッシュ98は、イメージした通りの弾道で飛んでくれます。
ボールを押すように打つベテランプレーヤーには是非打ってもらいたいラケットです。 ■クラッシュ100は、フェース100平方インチ、フレーム厚24mm、ウエイト295g、バランス310mmのクラッシュシリーズ5アイテムのど真ん中のモデル。
男女、プレーレベル、プレースタイルを問わないユーティリティモデル。迷ったらこちらのモデルです。 ■クラッシュ100Lは、是非女性に使っていただきたいラケットです。
280gですのでまさに女性の平均的ウエイトで、しなることでスイングスピードが速くない方でも、コントロールがつけやすくスピンをかけるのが苦手な方でも自然とかかってしまいます。 ■クラッシュ108の特徴はバランスが335mmということで、クラッシュ100Lは、同じ280gで315mmですから、20mmも違います。
その20mmの違いはストロークやサービスのパワーとなって現れます。
クラッシュシリーズ最大の特徴はしなりですが、しなりによりパワーを奪われるのも事実です。
そこでクラッシュ108は、トップヘビーバランスと0.25インチロングでパワーアップしているのでしょう。 一見ダブルス向きかと思いますが、ストロークの安定感からベテランのシングルスにも良い結果が出そうな気がします。
【GEEK通信】「しなるラケット、しならないラケットのメリットを考える」
2019/02/13
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
-------------------------------
「しなるラケット、しならないラケットのメリットを考える」
ラケットの硬い、柔らかい論争は昔からあります。
ある人の見解は、「ブレードは硬く」「プロスタッフ」は柔らかい。
私はまるで正反対です。
ヘッドのプレステージもお客様から「硬いですよね」の声をよく聞きます。
実際はよくしなるラケットです。
実際に「しなる」「しならない」と、打球感で感じる硬さはイコールにはならないようです。
様々な要因はあると思うのですが、どうやら飛ばないラケットは硬く感じることが多いようです。
スイートスポットに当たると、振動も無く気持ちよく飛んでいきます。その時に感じるのが[食いつく]や[柔らかい]という感触です。
スイートスポットを外した場合、振動も大きく飛んでいきません。その時に感じるのが[食いつかない]とか[硬い]という感触です。
芯を外すと途端に飛ばないラケットになってしまうので硬いと錯覚してしまうのです。
飛ばないのは、ラケットのねじれが原因なのです。
フレーム厚の薄いラケットはよくしなりますが、同時にねじれも起きているのです。
実際はしなっているのに、硬いと感じるのはねじれが原因で[飛ばない][振動がくる][面がぶれる]などの影響だと思われます。
芯で捉えることができる上級者や、ブレード・プレステージをマイラケットとして使用している方に聞くと、「柔らかい」という返答がほぼくることから、使いこなせる方には柔らかいと感じ、短時間の試打で芯にしっかり当たらないと硬く感じてしまうという結果になるのだと思います。
フレームが硬くてしならないラケットのメリットとフレームが柔らかくてしなるラケットのメリットを考察していきましょう。
硬さを表す基準としてRA値というものがあります。
RA TESTという計測機器を使いフレームに荷重してRA値を測ります。
RA値70以上は硬くてしならないラケットで、RA値65以下は柔らかくてしなるラケットです。
【プロスタッフRF97:RA値73】
【ブレード98CV:RA値68】
【グラフィンタッチプレステージMP:RA値64】
※GEEK中居調べ
硬くてしならない(RA値70以上)ラケットのメリットは、なんといってもパワーが出ることです。
ボールはインパクトから1000分の4秒で飛び出しますので、ラケットのしなりが頂点になった辺りですでにボールは面から離れてしまいます。
しなり幅が大きければ大きい程、パワーを吸収するようになってしまうのです。
よってフレームが硬くてしならないラケットは、入射角と反射角の差が小さくパワーロスが少なくなります。
柔らかくてしなる(RA値65以下)ラケットのメリットは、コントロールがしやすいことです。
スイングは体の回転、腕の振り、後ろから前への体重移動など様々なファクターがあります。
止まっているラケットにボールを当てる場合は、硬いラケットで良いのですが、スピン・スライスなどの回転やロブ・ドロップショットなどといったスピードを必要としないショットの場合は、しなることで打ちやすくなります。そして浅いボール、深いボールの飛距離のコントロールがしやすくなります。
では、パワーとコントロールは両立しないのでしょうか。
パワーとコントロールの融合をテーマに開発された【ウイルソンのクラッシュ】を試打しながらそのテーマを考えていきましょう。 ウイルソンのラケット「クラッシュ」の開発背景として、
【しなるラケットはねじれが起こり、それによってパワーを失う】という切り口からスタートし、
ねじれないシャフトの開発と、カーボン繊維の編み方で柔らかくなる独自の方法を編み出しました。
結果、RA値53(GEEK中居調べ)というかなり柔らかいラケットが完成しました。 店頭にあるラケットを隅々計測しましたところ、、、最もしなるラケットはプリンスファントム100XRJのRA値61でした。こちらのラケットはフレーム厚が16mmと薄いのでしなって当然なのです。
24mm厚のクラッシュが16mmのファントムよりも柔らかい数値が出たのは驚きました。
さらに店頭ディスプレイで飾っていたウッドラケット ウイルソン クリスエバートを計測するとRA値38でした。
もちろん新品ではないのでへたってしまっていることを差し引いたとしてもかなり低い数字です。
番外編としてウイルソントライアドXP125はRA値47と数字上は柔らかく出ますが、これはトライアド構造のためであり硬いシャフトと硬いフェース面をアイソゾーブというゴムでジョイントしているため、そのゴムの部分が伸縮しているのです。
ラケット全体がしなっているわけではないと思われます。 話を戻しますが、クラッシュを実際に打ってみると打球感はそんなに柔らかくは感じませんでした。
ねじれがないためと反発力があるためにそう感じたのかもしれません。
ストロークを打っている時に感じたのは、
スイートスポットが広く、芯を外してもミスが出ない使いやすいラケットという印象です。
ねじれが少ないことで本来ならミスをしたり、本来なら飛ばないボールがしっかりと深いボールで返るのです。

サービスを打つとまた、イメージが変わりました。
 凄く柔らかく感じるのです。 スピン・スライスはいつもよりキレが増しセカンドサービスでもコースを狙って打っていけます。
ただセンターを狙ったフラットサービスだけ、個人的にスピードが出し辛く感じました。恐らくサービスはストロークに比べ芯で捉える確率は上がるのとフラットですと90度に近い角度で当たるためだと思います。
冒頭に書いた1000分の4秒でボールは飛んでいくことを思い出してください。
「しなりが大きい程、しなりの頂点でボールが飛び出してしまうので威力が出ない。」
これが起こっているのでしょう。 (ただし、私はストロークで芯を外してしまうことが比較的あり、本来なら飛ばないはずのボールがねじれが起きないために十分に威力のあるボールが打てるのです。)
クラッシュ100ツアーはウエイト310gでバランス306mm、クラッシュ100はウエイト295gでバランス310mmです。 通常の設計より15mm程トップライトになっています。これはシャフトから手元にかけてねじれないようにカーボン量を凝縮しているからと思われます。
よって10gくらい軽いラケットのように操作できますので、迷ったらこの点について参考にしてみてください。
いくつものパテントを取っている革命的なラケットを32,000円(税抜き)で発売するウイルソンに脱帽です。
【GEEK通信】「ウイルソン ウルトラツアー3機種の試打速報」
2018/11/22
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
------------------------------- 「ウイルソン ウルトラツアー3機種の試打速報」※発売は2018年12月、一部モデルは2019年1月に発売予定
ジョコビッチ選手100、ナダル選手100、フェデラー選手97、錦織圭選手95
この数字は使っているラケットのフェース面積です。
錦織圭選手は95です。
以前から思っていたのですが、自身よりランキングが上の選手でさらに体格の良い選手が大きいフェース面積を使っているということは、ラケットのパワー、人力のパワーが明らかに上の選手と戦っているということになります。
これだけでもハンデになっています。
対 ジョコビッチ選手 2勝15敗
対 ナダル選手 2勝10敗
対 フェデラー選手 3勝6敗(11月20日現在)
錦織圭選手も100くらいの大きさにすると、パワーも上がり、ディフェンス能力も更にUPしそうと感じましたが、今回の新しいラケットで錦織圭選手も動き出したのです。
それは、新しいラケットのテストをしている時に、フェース面積の大きいラケットを打った時に、パワーがあって良いなと素朴に感じたそうです。
錦織圭選手はウイルソンに対して、「バウンド後の威力を上げてさらに柔らかい打球感にして欲しい」という難題を投げかけました。
ウイルソンの答えは、ウルトラシリーズに採用している「クラッシュゾーン」を現行のバーンに取り付けることでした。 クラッシュゾーンとは、スロートのグロメット(ストリング6本)に採用したダンパーで、2.7%スイートエリアを広げることができます。
また同時に衝撃吸収にも効果があります。
よって95平方インチは98平方インチに相当するスイートエリアになり、柔らかい打球感も実現したのです。 ウルトラシリーズに採用されている機能を搭載したので、錦織圭選手モデルもウルトラのネーミングを付けないと統一感がありませんので、今回発売されるモデルはウルトラツアー95CVに決定しました。
※伊藤竜馬選手モデルもウルトラツアー100CVになり、289gの軽量モデルもウルトラツアー95JP CVとなったのです。
上記の3本を試打したのですが、まずデザインに注目です。 今まで錦織圭選手が使用しているラケットは艶ありで、販売しているラケットは艶無しでした。
映像的に艶ありの方が綺麗に見えるとか、選手の手触りの好み等といった様々なコメントがありますが、今回のウルトラは販売用と選手用はまったく同じ艶ありです。
ウルトラツアー95CVには、NXT16を48ポンドで張ったものと、錦織圭選手と同じストリング同じテンション(ナチュラル×エレメントに38×36ポンド)で張ったものと、比較のためバーン95CVの3機種を用意しました。
ウルトラとバーンで比較しながら打ちましたが、ウルトラの打球感の柔らかさを非常に感じました。
驚きましたのが、錦織圭選手仕様のセッティングが「ゆるい」とは感じなく、気持ちよく打てたことです。
普通38ポンドは「ゆるゆる」というイメージが先行しますが、95平方インチで16×20という細かいストリングパターンはそれをほとんど感じませんでした。
(ただウルトラツアー95 CVは、309g、325mm、0.25インチロング、スイングウェイト300越えのセッティングで、私中居の年齢・コンディションでは振り切れませんでした。)
ウルトラツアー95JP CVは、289gですので気持ちよく振り切ることができ、伸びのあるストロークが打てますが、ボレーにはちょっとしたコツが必要でした。
バランスポイントが340mmで、かなりトップヘビーなので、普段のようにボレーをするとヘッドが下がったり、ヘッドがかぶったりし、ネットミスが増えてしまいます。そこで、インパクトでグリップを下方向に下げるようにしてみました。
すると、ヘッドが下がらずスライス回転のかかった更に良いボレーになりました。
個人的に最も魅力的だったのが、ウルトラツアー100CVでした。
バーン100ツアーCVの独特の柔らかい打球感はそのままに、さらに食いつきを良くし、これでもかというぐらいにボールを押せます。
ストロークの安定感は抜群で、ミスをする気配がありません。
日本限定発売ですが、個人的に世界中の人にオススメしたいラケットです。 ウルトラツアー3機種はどれも仕上がっています。
自分の体力、プレースタイルと相談の上ベストを選んでみてください。
体力に自信があるストローカーは、ウルトラツアー95CVがいいでしょう。
前作より4,000円も値下げしているので、是非ストリングはケイズチョイスプレミアⅳを張っていただき楽しんでいただきたいなと感じました。
ストローカーだけど、重たいのはちょっと、、、という方は、ウルトラツアー95JP CVがオススメと感じました。
シングルスもダブルスも両方こなすオールラウンダーは、ウルトラツアー100CVがオススメと感じました。
ストロークの安定感は、もちろんのこと、ボレーも食いつきがよくて、ローボレーのコントロールが優れています。
2019年の錦織圭選手の活躍が今から楽しみです。                               *12月発売予定                               *2019年1月発売予定                               *12月発売予定
【GEEK通信】「DUOシリーズ3モデルのハイブリットを検証した結果は?」
2018/07/27
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
-------------------------------
「DUOシリーズ3モデルのハイブリットを検証した結果は?」
先日テニスをしていると、ご一緒した方から
「このガットはなんですか」
と聞かれ
「ナチュラルとポリのハイブリットです」
と答えると
「これがナチュラルですか、初めて見ました。お高いんでしょ」
まだまだナチュラルは高級品のイメージが強く、さらに湿気を気にするデリケートなガットというレッテルが貼られているようです。
そこで、アメアスポーツから発売された、ウイルソン ナイロンマルチフィラメントとルキシロンポリエステルのハイブリットの3タイプをチェックしたいと思います。 ①DUOコントロール:NXTコントロール×4Gラフ
②DUOパワー:NXTパワー×アルパワー
③DUOフィール:NXT16×エレメント125

ウイルソンNXTシリーズは、ナイロンマルチフィラメントですが、ポリウレタン樹脂に浸すことでナチュラルガットに近い柔らかい打球感を実現したストリングです。
ルキシロンのポリエステルはトップ選手の半数以上が使用する高性能ストリングです。
今回のガット比較は、【ウイルソン ウルトラ100cv】を3本用意し、縦ナイロン横ポリで48ポンドで張り上げました。
DUOコントロールを張っている時に、4Gラフが張りやすいことに気がつきました。
4Gラフは凹凸加工が施されており、横糸に使用すると、張っている最中に縦糸を傷付けてしまうことがあるのですが、このDUOコントロールの4Gラフは凹凸が少なくしてあり、縦糸のNXTコントロールを傷付けない特別仕様になっていました。
ラケットの試打は、飛びや打球感の違いが1本1本明確にわかりますが、ストリングの試打はその判別が大変難しくなります。
その原因は、ラケットの性能がストリングの性能を隠してしまうからです。
いつも使っている自分のラケットに試打したいストリングを張れば、ラケットの性能を気にすることなくストリングだけに集中できますが、同時に複数のストリングの試打ができません。
そこでストリングの試打で大事なのが、打球感を素直に感じる事が出来るラケットを揃えることです。 今回は【ウイルソン ウルトラ100cv】を3本を用意しました。
ハイブリットの張り方も縦にポリエステルにする方法もありますが、いつも縦ナチュラル横ポリで使用しているので、比較しやすい縦ナイロン横ポリにし、試打する場所も外的要因に左右されないインドアにしました。
自分一人だと不安なので、30年来親交のあるテニスライズ代表の河合氏に協力をお願いしました。
河合氏はブログ読者2万人以上のテニスサイトを運営するカリスマコーチです。                        *テニスライズ代表の河合氏
試打の後、感想を聞きました。
私「デュオシリーズのストリングどうでした」
河合氏「ストリングの試打は難しいね、まったく商品のこと知らないからね」
私「では、一番良かったのはどれでした」
河合氏「デュオコントロールが好きですね。ボールの食いつきがよくて、名前の通りコントロールがしやすかったですね」 DUO CONTROL: 4G ROUGHとNXT CONTROLのハイブリッド。コントロール性能を最大限に引き出し快適な
打球感を実現したモデル。
私「デュオパワーとデュオフィールはいかがでしたか」
河合氏「やっぱり縦ナイロンだと柔らかいですね。 どちらもいい感じでしたが、デュオパワーは少し飛びが良くストロークより、ボレーが良かった印象です。デュオフィールは食いつきが良くて、ポリが張ってある感じはしませんでした。」 DUO POWER: ALU POWERとNXT POWERのハイブリッド。パワーを最大限に引き出し快適な打球感を
実現したモデル。 DUO FEEL:ELEMENTとNXT のハイブリッド。極上なソフトフィーリングを最大限に引き出しタッチショットで
優位性発揮するモデル。
私「そういえば、今日ダブルスの試合もしましたが、一度も自分のラケット使っていなかったですね。」
河合氏「そうなんですよ、これ気に入っちゃって最後まで使っていました。」
(河合氏はデュオコントロールを手離しませんでした。)
私の感想は、3種類のハイブリットはどれも打ちやすく、普段縦ナチュラル横ポリを使っているのとかなり近いフィーリングだったことに驚きました。
3種類の違いは微妙にあることはあるのですが、ほぼ同じに感じました。
せっかく、同じラケットを揃え、インドアでやる徹底ぶりでしたが、完璧なインプレッションはできませんでした。 ただし、デュオシリーズのハイブリットがいいのはよくわかりました。
ボールがインパクトした瞬間の凹っとした感覚、 そのあとのスピンがカリカリっとかかるフィーリングは3種類とも共通でした。
バックバンドスライスの食い付きの長さと、ボレーの切れ味は特徴のひとつでしょう。
本来自分はポリエステル単体のフィーリングはプレースタイルからあまり合っていないのか、好きではありません。
ただ、横にポリエステルを使用した時は、ポリエステルのマイナス要因は無くなり、逆に単体のナチュラル、単体のナイロンより性能が向上するのです。
例えば、NXTだけを張った場合、ポリウレタンを浸透させた柔らかいナイロン素材同士が摩擦で削れ、ノッチングができ、縦糸の凹と横糸の凹が絡み合いスナップバックが起きなくなってしまいます。
横糸にポリエステルを張った場合、ツルツルした硬い素材の上で縦糸のナイロンがスルスルと滑り、スナップバックを大きく速くしてくれます。
わかりやすいように例え話しをすると、ちょっと長めの滑り台があったとします。
あなたはポリウレタンが浸透した柔らかいナイロンのパンツを履いています。
滑り台の素材も同じ柔らかいナイロンです。
始めのうちは、滑るのですが、摩擦熱で表面がザラザラしてくると途中で止まってしまいました。
次にポリエステルでできた滑り台を滑ります。
硬くてツルツルしているので、最後までスピードが落ちずに滑り切りました。
ハイブリットにおける横糸ポリエステルは、滑り台の役割で、縦糸を自由に動かす手助けをしてくれるのです。 DUOシリーズのハイブリットは、ナチュラルガットを使わずに、それに近いパフォーマンスを引き出してくれる優れものでした。
それぞれの違いに関しては、今回の試打では検証できませんでしたが、縦ナイロン横ポリは一度試してみる価値は充分あると思います。
【GEEK通信】「プロスタッフRF97を使わない理由を探しましたが…見当たらない!」
2018/07/19
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
-------------------------------
「プロスタッフRF97を使わない理由を探しましたが…見当たらない!」
プロスタッフと言えば、RF!ロジャーフェデラー選手ですが、私が20代の頃は、SE!ステファンエドバーグ氏でした。
プロスタッフミッド85から放たれるスピンサーブからの華麗なボレーに、シングルバックハンドのダウンザラインの糸を引くようなパッシングに憧れて、当時60,000円のプロスタッフミッドを2本購入したことを思い出します。
プロスタッフミッドは85平方インチですが、ラージ(110平方インチ)もあり、なんとスーパーラージ(125平方インチ)まであったのは意外と知られていません。
プロスタッフの名称はウッドの頃からあり、ジョンマッケンロー氏が使用していました。                  *よしもとクリエイティブエージェンシー所属の バモス!わたなべ さん
すみません写真を間違えました。
これはバモス!わたなべさんの新ネタ、ジョンマッケンブーでした。
本当のマッケンロー氏の写真を探したのですがありませんでした。
最新のプロスタッフRF97をじっくりと打ってみました。
実打後の率直な感想は「さすがフェデラー選手、完璧なラケットです。」です。 話が変わりますが、ラーメンを食べる前にコショウをかけたり、パスタを食べる前にタバスコや粉チーズをかけたりする方がいますが、これは料理人に対して大変失礼なことと聞きます。
料理人は完璧な状態で提供しているはずですので、一口食べてからなら、調味料を足しても良いと思うのですが、一口も食べずにコショウやタバスコをかけるのはいかがなものかということです。
なぜこのような話をしたかと言いますと、プロスタッフRF97を打った時に、いつもなら振動止めを付けて試打をするのですが、この時はフェデラー選手に敬意を評して振動止めを付けずに試打をしたのです。
言うならばフェデラー選手が料理人で、プロスタッフRF97が自慢の料理です。 フェデラー様お見それしました、振動止めの必要がありませんでした。
完成された打球感で不快な振動は一切ありません。
気持ち良い余韻だけが、グリップに伝わってきます。
打球音も清々しく、見た目もカッコいい、肌さわりはしっとりとして五感に訴えてくるのはまさにこのことです。
前作を打った時以上の驚きと感動を味わいました。
340gでもバランス305mmならまったく重たく感じません。
ダブルスのゲームで使ってみましたが、サービスもスマッシュも気持ちよく振れました。
340gあることで、リターンで打ち負けることがなくグリップを握るだけで十分威力のあるボールが打てます。 そして実はボレーが一番良かったです。
ラケットを顔の前にセットして斜め45度に構えるだけで振る必要はありません。
不思議ですが、力の入りづらいバックボレーが決まるのです。
カーボンの層が厚いのでしょうか。 価格は決して高くはありません。
今回ストリングは、ウイルソンのナイロンモノフィラメント「シンセティックガットパワー16」を48ポンドで張り上げました。
オールラウンドのストリングですので、いつも張っている縦ナチュラルに横ポリエステルに張り替えたら、どうなってしまうのでしょうか。
今回参加したダブルスのテニスオフに、20代の若者がいて、前作のプロスタッフRF97を使用していました。
若者「それって新しいプロスタッフですよね。」
私「そうそう、白が入ったニューモデルです。これ、試打ラケットだから使っても良いですよ。」
若者「本当ですか、借りていいですか。」
ということで、打ってもらいました。
若者「粘りがあってスピンがすごいですね。」
私「0.3ポイントだけ柔らかくなっているのわかりましたか?」
若者「0.3どころじゃないですよ、半端ないっす。」
きっとストリングの違いも影響していたと思います。
若者はプロスタッフにポリエステルを張っていたので、ナイロンストリングの柔らかさも同時に感じたのでしょう。 軽量ラケットには無い中身の詰まった打球感を感じたい方。
100平方インチ以上のラケットにはない、芯を捉えた満足感を味わいたい方。
26mm以上のフレーム厚のラケットにはない、自分のスイングでコントロールする距離感を求めたい方。
もう一度基本に立ち返りたいと思っている方。
歴代のプロスタッフを使ったことがある方。
現在も使っている方。
こちらのラケットを是非使ってみてください。
もうプロスタッフRF97を使わない理由が見当たらない!
【GEEK通信】「NEWプロスタッフ97CV と NEWプロスタッフ97Lはフェデラー選手監修の仕上がりです」
2018/07/13
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
-------------------------------
「NEWプロスタッフ97CV と NEWプロスタッフ97L はフェデラー選手監修の仕上がりです」
私が45歳の時、ベテランJOPに挑戦し、何度もAさんに当たりことごとく跳ね返され、JOP挑戦はまだ早いとあきらめた苦い思い出があります。
そのAさんと前回負けているBさんとの3人総当たりガチンコシングルスにNEWプロスタッフを持参しました。
プロスタッフ97CVとプロスタッフ97Lは昨年の2017年秋に発売されたばかりの新しいモデルですが、早くもモデルチェンジです。
その訳はフェデラー選手が使うプロスタッフRF97がモデルチェンジ(こちらは2年経過のため)のため、同じシリーズのラケットのため異例の早期仕様変更になったのです。
完成されたモデルだと思っていたのですが、まだ改良の余地があったようです。
たったの0.3ポイントだけ、フェースに柔らかさを持たせた改良と、オールブラックだったデザインをブラック&ホワイトにし、シャフト内側にフェデラー選手の似顔絵があったところに大きめにフェデラー選手のサインが入っています。
フェデラー選手曰く
「Make it Minimal, but make it Significant (それはとても小さいことだ。しかし、それがとても大切なことなんだ)」 たった0.3ポイント、1000分の3のこだわりが勝敗を分けるのでしょう。
素材は一切変えていませんので、シートの重ね方や角度で変えているのでしょう。
ちなみに、今回もCV(カウンターヴェール)は採用されていません。
さらに、CVが使われていたプロスタッフ97Lにも、「女性やジュニアには高反発で歯切れのいい打球感がいいよ」と言うフェデラー選手の進言から、CVを取り去り、ハイパフォーマンスカーボンファイバーを使う改良を加えました。
振動止めも付けないくらいですから、芯を捉えたフィーリングと芯を外したフィーリングを全てありのままで感じたいのではないでしょうか。
シングルス4時間の試合ですので、340gのRFは今回は持っていきませんでした。
今回取り上げるのは、NEWプロスタッフ97CV と NEWプロスタッフ97Lです。                           *NEWプロスタッフシリーズ 33度の炎天下の中、AさんBさんそれぞれ2セットずつ行う予定でスタート。
1セット目をプロスタッフ97CVで行い、2セット目をプロスタッフ97Lで行いました。
Aさんとは、4-6、6-3
Bさんとは、6-5、6-1
まずまずの結果だったと思います。
プロスタッフ97CVでは、4-6、6-5
プロスタッフ97Lでは、6-3、6-1
ラケット目線にはなりますが、プロスタッフ97Lの方が結果が良く、自分に合っているようでした。
33度の炎天下ですので、なるべくロングラリーを避け、早めにネットに出ました。
サービス、ボレー、スマッシュは、プロスタッフ97Lが良く、290gでフレーム厚23mmがドンピシャでした。
前作の97L CVに比べて、攻撃性が上がっています。
ジュニアや女性だけじゃなく一般男性にも丁度良いセッティングです。
個人的に打球感は前作のCV入りの方が余韻が少なく好きなのですが、ボールの威力はNEWタイプの方があります。
プロスタッフ97CVは、0.3ポイント柔らかくなり、パワーというよりかは、コントロール性能が上がり、ラケットにパワーは求めず、プレースメントで勝負する方にはオススメです。
今回持参しなかったプロスタッフ97RFですが、
よしもとクリエイティブエージェンシー所属のボルグものまね芸人の バモス!わたなべ さんに試打していただいたので、感想を聞いてみましょう。             <右>よしもとクリエイティブエージェンシー所属のボルグものまね芸人
---------------------
中居「新しいフェデラーモデルはいかがでしたか?」
バモスさん「いやーよかったですね」
中居「いつもはウッドを使っているんですか」
バモスさん「ドネーはネタで使っています。普段はブレード98の18×20です。」
中居「重たくなかったですか」
バモスさん「全然大丈夫です。このくらいの重さが丁度良いです」
中居「前作と比べて何か違ってましたか」
バモスさん「微妙な違いはわかりませんが、ボールの食いつきが良くて、スピンがよくかかりました。次はこのラケットにすると思います。」
中居「それじゃあ、ロジャーフェデブーですね」
バモスさん「それ、いいですね」                           *ウインザー池袋店にご来店下さいました♪
---------------------
今回のNEWプロスタッフはわかる人にはわかる改良ですが、まったくわからなくても大丈夫です。
元々完成されたラケットですから、デザインチェンジだけでもとても価値があります。
個人的な予想ですが、フェデラー選手が40歳になるころには、もう少しフェースが大きくて、もう少し軽量なラケットに変えて行くのではないでしょうか。
46歳まで現役で頑張っていただきたいと思います。
【GEEK通信】KEI'S チョイスプレミアⅢとREVO CS10.0はベストマッチでした。
2018/02/18
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
------------------------
KEI'SチョイスプレミアⅢとレヴォCS10.0はベストマッチでした。
雪、雪、雪。都心は雪に弱いですね。
雪に慣れてないのが原因のひとつだと思います。
1/22の大雪では、20cm以上積もったところもあり、整備も大変だったと思います。
22日の雪は午前中から降り始め、夜中の12時頃に止みました。
完全防寒装備で雪が止むのを待っていた私は、雪かきグッズを手に道路の雪かきを行いました。
私の家は袋小路の突き当たりにあり、数年前の大雪の時は数日間、車を出せなかった経験があり、今回は、その教訓を得て行動に移したのです。
次の日、両隣の住人から大変感謝されました。
テニスコートもまた、雪に弱いですね。
一週間たってやっとコート整備が終わったと思ったら、また雪で使えなくなってしまったところも多いようです。
雪が積もったすぐ後は、ふわふわしており、簡単に雪かきできるのですが、時間がたつとカチカチの氷になってしまい簡単には雪かきできなくなってしまいます。
いかに早く雪かきするかで、テニスコートを使えるか、使えないかが決まります。
ある会社の工場にテニスコートがあり、大雪の後もすぐにプレーしていました。
関係者に聞いてみたところ、敷地内に消火栓があり、大量の水で溶かしたそうです。
雪は解ければ水になるので、芝も傷めない、砂もなくならないので大変いい対処方法です。
大量の水を確保できるところは、いいとは思いますが、中途半端にやると逆にカチカチに凍ることもありますので、ご注意ください。
************************
先日雪の中でプレーしたせいなのか、ストリングが緩くなってしまい、張り替えることにしました。
面圧を計ってみると、「39」になっており、前回張り上げた直後は「51」でしたので、12も落ちたことになります。
どおりでコントロール不能なはずです。
今回は少し強くして面圧「55」にしようと思います。
ストリングは前回「ブラスト+VS」を縦ナチュラルで張ったのですが、長さがギリギリでした。
テンションによっては張れないので、今回はどうしようか悩みました。
ストリングは12mの長さなので、ハイブリッドで張る時は半分にカットします。
普通のラケットは6mあれば、縦糸でも横糸でも張れるのですが、REVO CS10.0のような特殊なラケットは縦6.5m横5.5m必要になり(横糸が18本なので5.5mで届きます)、ハイブリッドせずにナチュラルを縦横に張るなら問題なく張れるのですが、ハイブリッドするために、6.5mでカットしてしまうと、残りの5.5mは次回縦糸に使えないのです。
そこで色々なストリングを研究していると、ウイルソンのKEI'SチョイスプレミアⅢが、縦横ともに6.5mであることがわかりました。 6.5mあれば余裕で張ることができます。
このストリングはウイルソンナチュラル16と4Gソフト125を組み合わせた錦織選手使用モデルです。
今回はこのストリングを縦55ポンド横50ポンドで張ってみました。面圧は狙い通り55ぴったりでした。
いざ、実践で使ってみると、なんとなんとミス、ミス、ミスのオンパレードです。
テンションが硬すぎました。
このラケットの最大の特徴だったどこに当たっても返ってしまうスイートエリアの広さが、かなり狭くなってしまいました。
魔法が解けてしまったようです。
元々255gのラケットですから、欠点があるとすれば、打ち負けることです。
それをフェース面積の大きさと縦ストリングの長さでカバーして、面ぶれを防いでいたのが、硬く張り上げたことで、芯を外した時に、面の傾きが起こってしまい、下に行ったり上に飛び出したりしてしまったのです。
レヴォCS10.0の適正テンションが40~55ポンドになっているのは、本当に適正でした。
ラケットによっては、フェース100で50~60ポンドが適正テンションになっていますが、真ん中の55ポンドで張ると硬すぎることが多いです。
この表記は適正というより、それ以上で張ると壊れますよと注意するテンションです。
かたや、REVO CS10.0は最適テンションが表示されています。
45~50ポンドで張ることをオススメします。
シングルス4時間、ダブルス4時間使用した後に、面圧を計測してみると、「50」になっていました。
面圧「5」下がったことで、暴れまくっていたラケットがやっと落ち着いてきました。
フェース面積が大きい程、ストリングが粗い程、ストリングの緩みは早くなり、今回はそれが幸いでした。
するとストリングの特徴がよくわかってきました。
ナチュラルガットの食いつきの良さと、スピン、スライスのかかり具合が思った以上でした。
ウイルソンのナチュラルは、牛を育てる餌からこだわっているだけあって、打球感に違いを感じます。
また、ストリングを折り曲げても解れが出ず、元に戻るくらい耐久性にも優れており、高価格ですがコストパフォーマンスは悪くないと思います。 横糸の4Gソフトですが、私が求める横糸のポリエステルの役割は、縦糸のナチュラルのフィーリングを生かし、ポリエステル自体はあまり主張しないことです。
ナチュラルを縦横に張ると、食いつきが良すぎて、ストリング同士が絡みつく感じになってしまいます。
縦糸が大きく横にずれて、素早く戻ってほしいので、横糸にはツルツルしているポリエステルがいいのです。 縦糸のスナップバックを助長し、ストロークの飛びすぎを抑えてくれる役割としてポリエステルを使っているので、ポリエステル自体の特性よりも、縦糸の邪魔をしないポリエステルを求めています。
色々使ってみましたが、RPMブラスト125、ティモ110、エレメント125はいい感じでした。
ブラストは表面のコーティングが滑りやすくなっていて、スナップバックを助けてくれます。
ティモ110は、1.10mmという細さから縦糸との摩擦抵抗が少なくなり、やはりスナップバックを助けてくれます。
エレメントは、打球感が柔らかく、ポリエステル独特の硬さがなく、腕に優しい感じで好きです。
KEI'SチョイスプレミアⅢは、打球感、スピン、ボレーのしやすさに優れた逸品でした。
【GEEK通信】「ダブルスが楽しくなる ウイルソンの "ウルトラ105S CV" と "ウルトラ110" 」
2018/01/18
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
------------------------
「ダブルスが楽しくなる ウイルソンの "ウルトラ105S CV" と "ウルトラ110" 」
============
テニスオフに参加した時に、ベテランの男性Aさんから声をかけていただきました。
Aさん「中居さんですよね。娘がジュニアの時にお世話になりました。」
Aさんとはどこかでお会いしたなと思っていたのですが、、、、
私「娘さんは、最近の成績はどうですか。」
Aさん「いやいや、もう子供が二人いてテニスどころじゃないですよ。」
…………なんと20年前の話でした。
当時のことも大切にするAさんはラケットも長く大切にされ、少し昔のモデルのラケットをお持ちでした。
「昔のモデルからなかなか替えられないんだよね。」という声もお聞きし、Aさんが手にしているラケットは"ウイルソンのスティーム105S"。
このラケットは「Sラケ」の最初のモデルで、ストリングパターンが16×15とかなり粗いパターンでした。
「Sラケ」は、横糸を少なくすることで、縦糸の動きを良くし、「スナップバック」というスピンがかかるストリングの動きを活性化させた画期的なラケットなのです。
そのスナップバックの効果が高く、ストリングの切断耐久性が落ちてしまうものも中にはあり、比較的ポリエステルを張るのがオススメのラケットでした。
その後、ウイルソンのラインナップの中で、プロスタッフ、バーン、ブレードには「Sタイプ」という、縦2本、横1本増やしたストリングパターン「18×16」が登場し、ストリングの耐久性も向上させたものに変化していったのです。
ただ困ったことに、「16×15」に慣れてしまったため、次のラケットに移行できないでいる方も多いのです。
Aさんもそのひとりです。
この日、私はウイルソンの試打ラケットを2本用意していました。
ウルトラ105S CV と ウルトラ110で、ウルトラ105S CVは「16×15」の幻のパターンが復活しているのです。
早速Aさんに打ってもらいました。
もうスティーム105Sに匹敵するラケットは発売されないと諦めていたAさんは気に入って下さり、質問を多く投げかけていただきました。
Aさん「このラケットの面積はいくつですか?」
私「スティームと同じ105です。」
Aさん「重さは何グラムですか?」
私「285gなのでスティームより4g軽くなります。」
Aさん「長さとフレーム厚は?」
私「27.25インチでスティームは27.5インチです。厚さは27mmでスティームより1mm厚くなります。」
Aさん「今のラケットよりもう少しヘッドが重たいといいのですが…」
私「バランス330mmなので、5mm程トップヘビーになります。」
Aさん「それで、16×15なら買うしかないですね。」
購入前提で検討するとのことでした。
============
ウルトラ105S CVは、「16×15」のストリングパターンであること以上に、打球感のこだわりを感じました。
軽量、厚ラケ、オーバーサイズ(デカラケ)だともの足りないと感じる方も中にはいらっしゃいますが、このウルトラ105S CVは打ち応えのある打感で、カウンターヴェイルのおかげで余韻の変な振動がなく安心してハードヒットできました。                          *カウンターヴェイル
スピンは面白いようにかかり、アウトかなと思ったボールがベールライン際でストンと落ちる感じがします。
ただ飛び出し角度が上に出るので、相手の前衛にポーチされることがあり、慣れが必要です。
逆にスライスの伸びが良く、「ネットしたな。」と思ったボールが相手コートに入るので相手もびっくりしていました。
「ウルトラ105S CV」は、ボレーのしやすさが最大のメリットだと思います。
一瞬ストリングに喰いつき少しおいてから弾き出すので、コントロール、威力共に申し分なく、ミドルボレー、ローボレーが易しくできました。
パワーとスピンをアシストしてくれるラケットなので、少し力が無くても、「もう少しスピンをかけたい」と思っている方にドンピシャだと思います。
そして、スティーム105Sを使っている方はウルトラ105S Cvが非常にオススメです。 ウルトラ110は、270gで110平方インチのオーバーサイズ、カウンターヴェイルは入っていないスペックですが、打球感が柔らかかったです。
恐らく、スロートに採用されている「クラッシュゾーン」のおかげだと思います。
ゴムやシリコンで振動を止める機能は各メーカーで使用されていますが、縦ストリングの伸縮をさせるものはあまり無く、効果を感じやすい機能です。                       *クラッシュゾーングロメット
「ウルトラ110」の一番良いところは、ボレーの安定感+ボレーの切れ味です。
実際のゲームでも使用してみましたが、力が入りにくいバックハンドの高いボールを叩きつけたら、相手の頭上を越えていきました。(※それも、逆クロスにです。)
皆さんびっくりしていましたが、一番びっくりしたのは私でした。
270g、バランス335mm、スイングウエイト270前後のスペックで操作性能抜群です。ボレー、スマッシュなどのノーバウンドのプレーはとにかく使いやすいラケットです。
ストロークでのスピンのかかりもかなり良く、オーバーサイズ(デカラケ)、厚ラケとは思えない程安定感があります。
恐らく、ストリングパターンが16×18と粗めなこと、シャフト内側の骨のように隆起したパワーリブの効果があるのでしょう。                              *パワーリブ 軽量、厚ラケ、オーバーサイズ(デカラケ)は、34,000円から40,000円ほどの価格帯ですが、こちらのラケットは約30,000円ほどで、ユーザーにとって手に取りやすい要素の一つでもあります。
今回取り上げたラケット、気になった方はぜひ打ち比べてみてください。
【GEEK通信】「バーン100ツアーCVは突然変異ながら、進化を感じました」
2017/12/02
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
-----------------------
ベテランJOPランキングは、35歳から5歳刻みで85歳まであります。
大会は、AからFまでのランクがあり、
(A)全日本ベテランテニス選手権大会 
(B)関東オープンテニス選手権大会
(C)毎日テニス選手権
(D)東京オープンテニス選手権大会
(E)千葉県テニス選手権大会 
(F)川崎市民テニス選手権大会
などのグレードで1年間の獲得ポイント数の上位50人が全日本の大会に出場できます。
上位26名は本戦ストレートインでき、24名による予選で2勝した6名が本戦に上がれます。
日本各地で毎週の様に、試合が開催されており、強豪選手があまり出場しない地方大会を回って少しでもポイント獲得を狙うツワモノもいっぱいいます。
35歳から55歳までは、雨天順延になると棄権する方が多く、みなさん仕事をやりくりしながら、休みを取っているので、日程が変わると大変です。
60歳以上は仕事がひと段落して自由な時間を取れる方が増えるのか、ドロー数も多くなります。
ベテランJOPランキングの詳細はこちらをご覧ください 
日本テニス協会硬式サイト【ベテランJOPランキングページ】
「ベテランJOPポイント」とは、選手登録者に対して付与されるポイント(下記4種類)のトータルポイントで順位が決定し、(公財)日本テニス協会より公表されたランキングのことです。
ベテランA~Dグレード対象大会のポイント上位3大会
ベテランE1~E2グレード対象大会のポイント上位1大会
ベテランF1~F2グレード対象大会のポイント上位1大会
スポーツマスターズのポイント
(最大6大会の合計、公表は不定期です。)
全日本の常連の方でも、ポイント加算の為に、EランクやFランクの小さな大会に出てきますので、ランキング下位の人も大変です。
また、仮にFランクで優勝し続けたとしても、加算できる大会が1大会だけなので、ポイントを積み上げる為には、グレードを上げた大会に出場しなくてはならず、ランキングを上げるのは中々大変なのです。
今から10年前、意気揚々と45歳のベテランJOPに参戦したときのことです。
小金井公園で行われるFグレードの大会にエントリーしました。
その時に1回戦で当たったK原さんに5-8で負けたのですが、以前にも埼玉で対戦したことのある方でした。
その後、千葉トーナメントでも1回戦で当たり、同じ相手に3連敗してしまったのです。
勝ち上がって当たるのなら、まれにあると思いますが、1回戦から3度当たるというのは非常に稀なことです。
その後K原さんとは仲良くなり、テニス談義をするようになりました。 先日、10年ぶりに練習試合をやろうということになり、北区のコートに行ってきました。
なんとなんと、ファーストセットを6-2で取ってしまいました。
セカンドセットは4-6で取られ、サードセットに入ると雨が降ってきました。
2-2のところでサスペンデッドになり、今回は引き分けに終わりました。
一度も勝ったことがなかった相手にセットを取れたことは、純粋に嬉しいことでした。
10年間の間に少し成長できたのかもしれません。
***********
ウイルソンから新しく発売されたバーン100ツアーCVを試打してみました。
このモデルは伊藤竜馬選手モデルで、フェイス面積100平方インチ、ウエイト293g、バランス330mm、長さが27.25インチ、フレーム厚が22mmというかなりこだわりがありそうなスペックです。
第1球を打った瞬間「えっ」となりました。
かつて、ウイルソンのラケットでこんな打球感のモデルはなかったと思います。
ガットのど真ん中に穴が空いているかのような、吸い付くようなフィーリングで、非常に柔らかさを感じました。
プロモデル特有の「ガツン」とくる感触をイメージしていたので、いい意味で裏切られました。
カウンターベイルの衝撃吸収と、フレームのしなりがまったりした打球感を作っているのでしょうか。
自ずと、当たりが長くなり、手のひらで押す手応えがあり、イメージした弾道通り糸を引くように飛んで行きます。
スピン、スライスも予想した通りのかかり具合で、変にかかり過ぎることもなく、かと言ってかけ損なうこともなくいい感じです。
ボレーはエースを取るというよりも、きっちり深く滑るボールを打つといった感じで、スライス回転を多めにしてコントロールする打ち方に合っていると思います。
抜群にスピードの出るラケットではありませんが、余計なアウト、余計なネットはせず、気がつくと相手が先にミスをしてくれるようなラケットです。
名前、デザインはバーングループの一本ですが、バーン100ツアーCVは一匹オオカミ的な、他のラケットには似ていない存在感のあるラケットでした。
【GEEK通信】「プロスタッフ97CVとプロスタッフ97LCVはラケットの王道。」
2017/11/10
-----------------------
■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、
そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
-----------------------

テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
****************
以前JOPの大会に出場していたIさんとのシングルスマッチを先日行ってきました。
前回の対戦は0-6という結果でした。
Iさん「試合が近いので、セミアドで、セットオールの時は10ポイントタイブレークでやりたいのですが。」
私「試合の予定はないので、そのルールで大丈夫です。」
今回の対戦にあたり、秘密兵器を仕込みました。
ウイルソン 『プロスタッフ 97 CV』と『プロスタッフ 97 L CV』の2機種です。
プロスタッフはコナーズの頃から使っており、大好きなラケットなのです。
コナーズ?と言う方の疑問にお答えします。
初代プロスタッフミッド85は、ジミー・コナーズがスチールラケットのT-2000からカーボンラケットへの移行を考え、ウイルソンとともに開発したラケットで、実際コナーズも黒塗りのプロスタッフミッド85を試合で使用していましたが、実際には使うことはありませんでした。
その後ウイルソンからエスチューサに契約変更があり、なんとカーボンそれも中厚のラケットを使いびっくりさせられました。
プロスタッフミッド85は、完成されたラケットとの評価が高く、当時コナーズと付き合っていたクリスエバートやエドバーグが使い、サンプラス、クーリエといった世界ランキング1位になった選手から愛されていました。
カウンターヴェイルを採用する前のプロスタッフ97は、私もマイラケットとして使用していました。 打球感が気持ちいいのと、パンチの効いたボレーが打てるので気に入っていましたが、肘を痛めてしまい使用を止めていました。
カウンターヴェイルが入った新作を試打してみると、気持ちいい打球感はそのままに、嫌な振動だけを取り除いている感じでした。
これならば、肘の負担を気にせず使えます。
ボールのノリ感が増しており、フラット系のストロークに伸びを感じ、デルポトロ選手のイメージで打てました。 カウンターヴェイルが入ることで完成形になった気がします。
先日、あるお客様からお電話をいただきました。 「プロスタッフ 97 CVを買ったんだけど」から始まり、「凄くいいね」とお褒めのお電話をいただきました。
その後の内容を要約すると、
・プロスタッフシリーズは全部使ったけども97CVが一番いい
・振動がないだけではなく打球感がいい
・スピンスライスのコントロールがしやすい
・ボレーのタッチがよくキレもある
・サービスの威力かあり、キープ率が上がった

「2本目買うときはまたお願いします」と電話は終わり、このラケットの良さを伝えるため、わざわざご連絡をいただいた嬉しいお電話でした。 テニスラケットに相当なこだわりを持つK兄弟の弟さんは、大のフェデラーファンでプロスタッフ好きなのですが、340gは重たすぎて使えないとのこと。
そこで、同じ真っ黒デザインのプロスタッフ97LSをまずは購入しました。
しかし、スピンエフェクト(18×16のストリングパターン)がどうしてもプレースタイルに合わず諦めることになりました。
しかし!この秋に、290gでカラーがブラックのプロスタッフ 97 L CVが発売されました。
K君は、相当真っ黒のプロスタッフにこだわっていましたので、このラケットの発売が気にならない訳がないですね!
プロスタッフ 97 L CVが登場したことで、選択肢がより広がったと思います。
プロスタッフ 97 L CVを打った感触は、プロスタッフ 97 CVに比べ少し硬く感じました。
ただカウンターヴェイルを使用しているので、振動の余韻は少なく、歯切れの良さが増した感じです。
本来、ウエイトを軽くすると打ち負け感が出てきますが、フレーム厚を23mm(プロスタッフ97CVは21.5mm)にしてあるので、打ち負ける感じは受けませんでした。
290gというウエイトの操作性の良さで、サイドに振られてもしっかり振り抜けて、ストレートにもクロスにも逆襲できます。
315gは重たいなと思っていた方は、プロスタッフ 97 L CVをお勧めします。
熱烈ファンの方もそうでない方も、素晴らしいラケットに仕上がっていますので、ぜひ検討してみてください。
特別にスピンがかかることもなく、特別にパワーがあるわけでもなく、自分の打った分だけ飛ぶという感じです。
それって意外といいことではないでしょうか。 そうそう、Iさんとの試合の結果は…
第1セットは、プロスタッフ97CVで6-3、
第2セットは、プロスタッフ97LCVで6-2と
快勝しました。
やっぱりプロスタッフはいいラケットです。
基本に立ち返って、テニスの王道をいっている感じがします。