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店舗情報
ヨネックス新ストリングス先行レビュー!!
2020/10/29
先日当店に、ヨネックスより新しいポリエステルガットが届きました。
まだ性能や、仕様については書けませんが、ガットを張ってみた感じや、色合いなどについて書いていきたいと思います。
まず色合いですが、明るいオレンジ色をしています。
同系色ではポリツアースピンGがありますが、それよりも明るい印象のガットです。
ガットを触ってみた感じでは、柔らかい印象があり、ポリツアープロよりは少ししっかりしています。
表面もコーティングが感じられ、最近のガットらしくつるつるした印象がありました。
以上新しいヨネックスストリングの感想でした。



今回はあくまで私個人の感想になります。
しっかりとした商品情報は、商品が入荷したタイミングで、お伝えしようと思います。
 
【GEEK通信】「ハイブリッドの昨今の事情を考えてみました」
2020/10/22

----------------------- ■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。 -----------------------
「ハイブリッドの昨今の事情を考えてみました」
少し前の出来事になりますが、夜中の4時過ぎに、トイレに起きました。ふと、当時錦織選手が試合してるかもと思い、スマホでライブ映像をつなぎました。錦織選手のサービスでトスアップした次の瞬間、真っ暗になりました。
スマホの不具合だと思いそのまま眠りにつきました。朝のニュースで、試合会場で停電が起き、10分間プレーが中断したそうです。停電の瞬間を見てしまうとは、ツイているのかツイていないのか。錦織選手の試合は欠かさず観ていますが、以前、ハイブリッドの縦横が逆になっているのを発見したときは、興奮しました。縦4G、横ナチュラルだったのが、縦ナチュラル、横4Gだったのです。その後は、横に4Gソフトを使い、現在では、横にエレメントを使った腕に優しいハイブリッドに落ち着いています。
錦織選手、フェデラー選手を始め、ATP、WTA上位選手の使用者が多いハイブリッドストリングのメリット、デメリットについてみていきましょう。

ハイブリッドが流行り出したのが、アンドレ・アガシが縦にケブラー、横にナチュラルを張り始めた90年代に遡ります。
この当時使用していたラケットのストリングパターンが20×21というとんでもなく密で、更にフェース面積107平方インチですので、縦に1張り、横に1張り使用する贅沢なハイブリッドだったのです。
通常の16×19で有れば、縦横それぞれ6mあれば張れますので、問題はありませんが、18×20のフェース100以上でローテンションの場合、届かない場合もありますので、スタッフにご相談ください。
2000年代になり、ヘンマン(イギリスのサーブ&ボレーで活躍した選手)がVSチーム125とティモバンガー110(現在はティモ110)をハイブリッドしており、自分もヘンマンをリスペクトしていたので、真似をしてしばらくこのパターンで張っていました。
フェデラー選手もヘンマンのアドバイスでハイブリッドに移行するのですが、2002年にプロスタッフ85からプロスタッフ90に移行する際に、ナチュラル単体ではパワーが出すぎてしまい、ショートアングルが入りづらいなどの悩みがあったようです。
そこで横糸に、アルパワー(現在はアルパワーラフ)を使うようになり、縦ナチュラル横ポリエステルをフェデラーハイブリッドとかフェデラー張りと言うようになったのです。
その後、テクニファイバー以外のメーカーからハイブリッド用ストリングが発売され、一般のアマチュアも試せるようになったのです。
テクニファイバーはある理由を元にハイブリッドを提案せずに別の視点から日々ストリング開発に努めています。
その理由とは、「縦糸と横糸の材質が違うとテンション維持に差が出てしまうから」です。

ナチュラルガットはテンション維持がよく、ポリエステルはテンション維持が悪いのは周知の事実です。張りたては気持ちよく打てるのですが、段々とポリエステルが緩んでしまい、ハイブリッドとしての性能が著しく劣化してしまうのです。
さらには、そのまま使い続けるとラケットの変形にもつながってくるのです。
テクニファイバーは、ハイブリッドの効果そのもは認めていますが、一本のストリングの中身をナイロンとポリエステルで作り上げたインナーハイブリッドを発売しています。
2019年のHDMXに続き、トライアックスを発売しました。

ナイロンとポリエステルをマルチフィラメントにして束ねた作りになっています。

トライアックスを張ってみたのですが、言われないとナイロン100%のストリングだと思ってしまいます。
HDMXはポリエステル独特のパリッとした硬さがあったのですが、トライアックスはクネクネしています。
柔らかさはナイロン並で、耐久性はナイロンとポリエステルの中間です。

実際に使用してみると、ポリエステルのようなスナップバックはなく、ナイロンと同様に縦糸が横にずれても戻ることはほとんどありません。ホールド感はかなりある方なので、グリグリのトップスピンよりも、ナチュラルに回転をかけてコントロールするプレースタイルにあっているようです。マルチフィラメントのナイロンが好きだけど、耐久性が低いという方におすすめのストリングです。また、ハイブリッドで縦ナイロン、横ポリエステルをされている方は一度試してもいいかもしれません。耐久性、テンション維持は向上するでしょう。

プロの間で縦横ポリエステルでゲージを変えるハイブリッドが流行っています。
どんなメリットかあるか半信半疑ですが、自分のラケットに張って試してみました。
縦にポリツアファイアー125、横にコンフィデンシャル115を張ってみました。

なるほど、確かに縦横同じものを張るのと違いがあります。
縦と横同じ場合、同調して反発する感じですが、縦と横の反発速度が違うと食いつくような感じがします。
また、横糸が細いので、縦糸がスナップバックするときに、より抵抗が少なくなり、スピン、反発ともによくなります。
ポリポリなので、縦と横のテンション維持の度合いもほぼ同じで、ナチュラルとポリ、ナイロンとポリの場合のような、縦横の緩みの違いによるバランスの狂いや、変形の心配はなくなります。
どんな組み合わせが良いのかはまだわかりませんが、ポリポリハイブリッドの効果はあると思います。

今回は、縦にスライドが良くなるコーティングをしたポリツアーファイアー、横に多角形のコンフィデンシャルを張りましたが、多角形じゃないポリエステルだともっとスナップバックが大きくなるのかを試してみたくなりました。

次は、同じストリングの太さ違いも試してみようと思います。
『ガットマイスター 原田』 ガットを選ぶには…その壱
2020/09/04
みなさん初めまして、ストリングマイスターの原田です。 
町田店に勤務している今年65歳になります。 
ストリンガーをメインとしてます。 
拘りを持ってお客様のラケットにガットを張らせて頂いてます。
いきなりで恐縮ですが、私の持論を。 

ガットを試すときは…壁打ち! 
なぜならば…コートで打つよりも壁の方が同じ条件でテスト出来るためと考えて、壁打ちで様々なガットを試しています 
これから、今までに経験したことや、良くある質問等を交えてブログを始めて参りますので宜しくお願い致します。 

ガットを選ぶには・・・その壱 
Gut(ガット)とは本来動物の消化器官(腸などの内臓)のことを指しますが、テニスなどのラケットスポーツでは牛や羊の腸から繊維状に加工された紐状の物を指します。 
今ではナイロン・ポリエルテルなど様々なものが使用され、これらをストリングと言いますが、日本ではガットと呼ばれることが多いです。


私は、数種類のガットを同じテンション・同じ張り方で用意して、出来る限り使用期間を長く、スイングスピードを変えず、同じ条件になるように壁打ちでやっています。 
実際にコートで試合形式でやった方が良いと思われますが、同じ条件でやるには無理があるから、壁打ちなのです。 
ラケットも打感の違いが解るように、ボックス形状の同じもので3~6本使用して、使用時間・使用後の面圧を記録して性能をチェックしています。 
ガットのインプレッションの殆どは、張り上げてからの良い状態でのものが多いですが、実際は2~3ヶ月は使用しますので、このような方法でテストしています。
ガットの違いについては、素材や構造などでお客様にご案内をしていましたが、本当にその通りなのか疑問に思い、約10年ほど前から本格的にこの方法で試し始めました。 
また自分の意見だけではなく、他のスタッフや友人などに打ってもらい感想を聞き、参考にしています。
少し話がそれますが…

こで、私の試打用ラケットコレクションをご紹介させていただきます。

初代試打用ラケット 
ウイルソン T-2000
20歳~27歳まで最も長く使用していて、打感の違いがわかるだけでなく、10本以
上所有していたので1年半程使っていました。

2代目試打用ラケット
ウイルソン ウルトラ・グラファイトPWS / フォース MID
半年ほど使っていました。


3代目試打用ラケット
ダンロップ エアロジェル4D 500ツアー
リエステル用に今でもたまに使用しています

4代目試打用ラケット
ウイルソン アドバンテージ2 MID
5本あるので、今でもナイロンで使用しています。


5代目試打用ラケット
ウイルソン プロスタッフ RF97 RD/BK
今でもたまに使用しています


6代目試打用ラケット
ウイルソン プロスタッフ 97S RD/BK
4本あるので今でも使用しています。


7代目試打用ラケット
ウイルソン プロスタッフ97L BK/WH & BK/BK
今はこちらをメインで使用しています。

さて、ここで今回のブログのポイントです! 
ガットを選ぶ上で注意しなければならないことは!? 
種類も多く、周りの人に尋ねても様々な意見を言われ分らなくなってしまう・・・このようなことはないでしょうか? 
ナイロンは柔らかく楽にボールを飛ばせて、衝撃も少なく、価格も安価です。 
実はナチュラルガットの方が跳びも良く、衝撃も少ないのですが、湿気に弱く価格も高価なので、初心者の方はナイロンを勧められることが多いです。 
ポリエステルは多くのプロや学生の選手でも使用率が高くなっています。 
レベルが上がってスイングスピードも早くなるとナイロンでは切れるのが早くなってくるのでポリエステルへ。 
しかしナイロンとポリエステルでは打感も跳びも違います。 
 
簡単にそれぞれの特徴をまとめると、


ナイロンの特性は、柔らかく、ホールド感があり、弾力がある、ポリエステルよりテンション維持が良い。

ナチュラルの特性は、凄く柔らかく、非常に食い付きが良い、非常に弾力がある、すべてのストリングの中で最もテンション維持が良い。

ポリエステルの特性は、耐久性があるがテンション維持は良くない。

表面の摩擦が少ないのでスナップバック効果があるのでスピンのかかりが良い、スイングスピードが早ければ反発力が上がる。


このあたりのことを、深堀しながら説明すると長くなってしまいますので、次回からお客様からの相談など実際の例を挙げてご紹介していきます。
【GEEK通信】「いまさら聞けないテニスストリングの常識、非常識」
2020/05/07
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「いまさら聞けないテニスストリングの常識、非常識」
ストリングのテンションが緩い方が飛ぶ、とかテンションが強い方がスピンがかかるとか、ストリングは凸凹している方がスピンがかかるとか言われることがありますが、本当はどうなのでしょうか。 ストリングのテンションが強い、弱い、硬い、柔らかい、55ポンド、35ポンドなど色々表現方法がありますが、ラケットのフェース面積、ストリングパターン、ストリングの種類によっても違いがあります。 例えば、フェース面積115平方インチで16×18のストリングパターンのラケットに55ポンドで張ったときと、フェース面積95平方インチで16×20のストリングパターンのラケットに35ポンドで張ったときの仕上がり具合(面圧)はほぼ同じです。 ガット張りの強さの表現は【張力】と【面圧】があるので、今回の「強い」「弱い」は面圧を、基準に話をしていきます。
ひとつ目の疑問、
「ストリングは硬い、柔らかいで飛びがどう変わるか?」 についてですが、一般的に柔らかい方が飛びが良くなります。
トランポリンで飛び跳ねるのと、地面の上で飛び跳ねるのとでは、当然トランポリンの方が楽に高く跳ねることができます。 ガットも柔らかく張り上げた状態の方が、凹みが大きくなり、ボールがストリングに当たり、くの字型にたわんだ後に元に復元する力が働きボールを飛ばしてくれます。
ストリングを硬くすればするほど、地面のような状態になり、ストリングが凹んで元に戻る一連の動きは無くなってきます。
よって、ストリングは柔らかい方が楽に良く飛ぶが正解です。
ただし、柔らか過ぎると、ストリングが凹み過ぎてしまい、元に復元する力が弱くなってしまうので、30ポンド以下の場合、ラケットやストリングパターンによっては飛ばない感覚が生まれます。
また、硬く張った方が飛びが良いと言う方も結構いらっしゃいます。
硬く張った方が、球離れが良くスピード感が出るのと、ボール自体の反発力が硬く張ってある方が、「潰れて復元する」現象がより顕著になり、良く飛ぶと感じることもあります。
力に自信が無い方はそもそもボールはあまり潰れませんので、ストリングの硬さの強弱の影響が大きいようです。
二つ目の疑問
「ストリングの硬さ、柔らかさでスピンのかかりやすさは変わるのか?」 答えは、プレーヤーによって変わるが正解です。
科学的に実験した結果では、ほとんど変わらないが正解のようですが、スピンのかかり具合とそれをコントロールするのはセットで考えたいので、データだけではなくプレーヤーの感覚も重要になっていきます。
スピンボールを思ったところにコントロールできるかどうかは、ストリングの硬い、柔らかいで差がでてきます。
スイングスピードが速い方は、インパクトの瞬間、ボールがせんべい状になり、ストリングとボールの接触面積が増え、スピンがかかります。
ストリングが硬い方がボールが潰れやすく、プレーヤーの力加減で変化するので、コントロールしやすくなります。スイングスピードが遅い方は、インパクトの瞬間、ボールはほぼ丸いままストリングと接触するので、ストリングのたわみが大きい方が、球離れが遅くなり、スピンがかかりやすくなりますし、球持ちが良いことでコントロールしやすくなります。
言い方を変えてまとめますと、一般的には、
スイングスピードが速い方は、ストリングの面圧が高い方がスピンがかかるように感じ、飛距離のコントロールもしやすくなります。
スイングスピードが遅い方は、ストリングの面圧が低い方が長く捉えることができ、スピンをかける時間を確保できるようになります。 三つ目の疑問
「ストリングは凸凹している方がスピンがかかるのか?」 ナイロンでもポリエステルでも、スピンを謳っているストリングは、ネジってあったり表面が凸凹しています。
これは、何十年も前から凸凹している方が、摩擦係数が上がりスピンがかかると思われていたからです。
15年前くらいに、スピンがかかる原理が解明されて、実際には縦糸が横にスライドし、元に復元するスナップバックの効果が大きい方がスピンがかかることがわかったのです。
それでも凸凹したストリングが無くならないのは、プロの選手が使っていたり、独特のまったりした打球感が好きな方が多いのです。
プロの選手がスピンのかかりが良いから、スピンガットを使うということはまずありません。スピンをかける技術がなければ、プロにはなれませんので。
R・フェデラー選手は横糸にアルパワーラフを使用していますが、ラフ加工しているストリングは大体において打球感が柔らかくなり、食い付きを感じます。 アングルショットがサイドアウトしづらくなると聞いたことがあります。
もし、アマチュアの方で、スピンの回転量を上げたい一心でナイロンの凸凹スピンガットを使っていたら、逆に表面がツルツルしたポリエステルを使ってみてください。
約20%回転量が上がると言われています。
ただし、ナイロン凸凹スピンガットのフィーリングが好きな方は変える必要はありません。 スピンの回転量アップより、ミスをしないことが大事だからです。
どんなにハイテクノロジーのラケットでも、ボールと唯一接触できるのはストリングですので、色々試してベストマッチストリングを探してみてください。
【GEEK通信】「いまさら聞けないテニスラケットの常識、非常識」
2020/05/03
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「いまさら聞けないテニスの常識、非常識」
テニスを始めて数年が経ち、みんな普通に言ってるけど、意味がわからないとか深く理解していないとか間違って覚えていたとか色々あると思うのですが、 いまさら恥ずかしくて聞けないことってありませんか?
今回はそんなお悩みに答えていきたいと思います。
「ボックスフレームとラウンドフレームの違いがわからない」 まずは、ラケットのボックスフレーム、ラウンドフレームについてです。 フレームの断面に対して、ボックスフレームとラウンドフレームと区別しています。 ボックスと言えば、電話ボックスとかティッシュボックスとかの長方形を思い浮かべると思います。
ラケットのボックス形状も角が90度の四角形のことで、1980年代1990年代はほぼボックス形状が中心でした。
以前からラウンド形状はありましたが、ラウンド形状が流行り出したのは、バボラピュアドライブからなので、ここ20年というところです。
ウッドラケットからカーボンラケットに変わっていったのですが、ウッドの流れから「しなり」「食い付き」「ホールド感」というのは重要視されていましたので、柔らかさが出るボックス形状が主流だったのです。
ラウンド形状は、フレームの剛性を硬くでき、空気抵抗を抑えることができたので、パワーを生かしながら、スピンを増やせたので、エッグボールという新しい弾道が生まれ、アウトしそうな軌道から急激に落下しベースラインギリギリで着弾し、大きく跳ね上がりました。
このエッグボールを操ってクレーコートで暴れていたのがスペインのR・ナダル選手です。 ボックス形状とラウンド形状を比較するのにわかりやすいので、スクール消しゴムとスーパーボールを用意してみてください。 親指と人差し指で挟んで力を入れると、消しゴムはグニャッと変形しやすく、スーパーボールは変形しづらいと思います。
ラケットのしなりはカーボンの編み方で硬くも柔らかくもできますが、ラケットのフェース面が内側に引っ張られる変形は素材ではなく、形状で起こります。
ボックス形状は内側に少し小さくなるような変形が起き、ホールド感、手のひら感が起こります。 ラウンド形状はほとんど変形しませんので、パワーロスなく弾き出します。
どちらが良いのではなく、好みの打球感になります。
ボールを乗せて少し運ぶようにコントロールする方はボックスフレーム向きで、ヘッドスピードを上げてスピンで攻めていく方はラウンド向きです。
「ウエイト、バランス、スイングウエイトって何?」 ラケットのウエイトはわかるけど、バランス、スイングウエイトは何?と言う方は結構いらっしゃいます。
ウエイトは単純に全体の重量です。
バランスは、重心の位置のことで、釣り合うところから、グリップエンドまでの距離を測ります。
320mmをイーブンバランスと言って、数字が大きくなるとヘッドが重たいので、トップヘビー、数字が小さいとヘッドが軽いのでトップライトと言います。
ハカリを二つ用意し、ひとつはラケットのトップ部分を乗せ、もう一つのハカリにグリップエンドを乗せるとそれぞれにウエイトが表示されるのですが、トップヘビーのラケットはヘッドを乗せたハカリの数字が大きくなり、トップライトはグリップエンドを乗せたハカリの数字が大きくなります。
当然、二つのハカリの合計はラケットのウエイトと同じになります。
要するにバランスはラケットのどの部分が重たくなっているかです。
スイングウエイトは、動いている状態の動的ウエイトのことです。
もし、ラケットの真ん中辺りを握って振る競技ならスイングウエイトを測る必要はありません。ウエイトとバランスだけで十分です。
ラケットの一番端のグリップを握って動かすと、慣性モーメントが働きますので、スイングウエイトを測ることでプレー時の状態に近い感覚のウエイトがわかってきます。
ウエイトとバランスが同じラケットでも、スイングウエイトが違うことがあります。
ウエイトが300gでバランスが320mmのラケットが2本あります。
わかりやすくするために大袈裟に表現します。
①ラケットトップ部が125gでグリップ部が125gでバランスポイントが320mmのラケット
と、
②バランスポイント320mm付近に250gの重さが集中しているラケット があると仮定します。 ウエイト、バランスはまったく同じですが、スイングウエイトは、①の方が重たくなります。
ラケット内部の素材の密度や、樹脂の量の偏りは外見からはわからないのです。
スイングウエイトが大きい方が威力も大きくなりますが、操作性能は悪くなります。
同じスイングスピードで振ることができるならば、スイングウエイトが大きい方がパワーが上がりますが、もし、スイングスウエイトが小さいことで、スイングスピードが速くなる場合は逆転することもあります。
「ボールの威力=ウエイト×スイングスピード2乗」
ですので、ウエイトよりもスイングスピードの方が2乗で比例するので、ウエイトを軽くしてスイングを速くするのも簡単に威力を上げる方法です。
下記のように、ウインザー店頭ではスイングウエイトを計測する機械がございます。 「パワー=ウエイト×移動距離」の公式がありますので、軽いものより重たいものの方が威力が出るのです。
ラケットA:320g、バランス310mm、スイングウエイト285
ラケットB:280g、バランス330mm、スイングウエイト285 ラケットAとラケットBはスイングウエイトが285と同じですが、同じスイングスピードで振った場合ラケットAの方が威力が大きくなります。
ただしラケットBは40g軽いので、疲労が出る後半にスイングスピードが落ちにくいメリットがあります。
店頭でスイングウエイトを計測する最大のメリットは、同じラケットを2本そろえるときに、振った感覚が近いものを正確に選べることです。 同時に2本購入しなくても、1本目のウエイト、バランス、スイングウエイトがわかっていれば、2本目を購入するときに近いものを選んだり、1本目よりも軽いもの、重いものなど注文をつけることができるのです。
参考になったでしょうか、今回は以上です。
【GEEK通信】【検証:ダイアデム&ポリファイバー】「ストリングのカラーで変わるのか、ポリエステルとポリエチレンの違いは?」
2020/04/17
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【検証:ダイアデム&ポリファイバー】
「ストリングのカラーで変わるのか、ポリエステルとポリエチレンの違いは?」
※緊急事態宣言以前のインプレッションとなります。
次回以降は特別編でお届け致しますのでお楽しみにください!
前回の記事では、ダイアデムのラケットの発祥のことやお客様のインプレッションをお伝えしましたが、ストリングに関してはまだお伝えできず、今週はその続きを書いていきます。 ダイアデムのポリエステル「ソルティスパワー」と「ソルティスブラック」の違いを探るのが今回のテーマですが、もう一つ気になっているストリングがあります。
ポリファイバーの「ファイヤーレイジリブド」です。 ストリングの表面が歯車状になっていて、ソルティスパワーの星形断面形状と似ているのです。
ファイヤーレイジリブドの素材は、ポリエチレンを使用し、ポリエステルに比べ柔らかい打球感になり、テンション維持が向上します。
歯車状にすることで、ボールをしっかりとホールドし、スピンのかかりを向上させます。
ソルティスパワーの星形断面形状もインパクト時に、突起部分が変形し、ボールとの接触面積が増え、スピンが向上するので考え方はかなり近いと思います。
スリクソンレヴォCS10.0を3本用意し、すべて50ポンドで張り上げました。
まずは、「ソルティスパワー」と「ソルティスブラック」の違いについてチェックしていきましょう。 取っ替え引っ替え打ち比べて微かな違いがわかってまいりました。
「ソルティスパワー」の方が「ソルティスブラック」より若干柔らかいということです。
どちらもポリエステルの中では、柔らかい方に入ると思いますが、星形断面形状がインパクトで潰れてホールド感を生み、スピンもよくかかりますが、フォアスライスのリターンが伸びてくれてリターンダッシュにつながりました。
星形が潰れた後に瞬時に、尖った状態に戻りますので、スナップバックのバックが速いのか、ボールの弾き出しもよく、ボレーも切れがありました。
※ちなみに中居個人の好みの硬さは「ソルティスブラック」の方ですべてが丁度よく感じました。
次の比較は「ソルティス(パワー/ブラック)」と「ファイヤーレイジリブド」の違いです。 はっきり言ってまったく異なるストリングでした。
考え方は同じでも、素材が違う、表面構造が違うとくれば結果は違って当たり前です。
「ファイヤーレイジリブド」は、ポリエチレンならではのまったり感があり、「ソルティス」より柔らかく感じます。
また、歯車状の表面がガリッとボールに食いつき、スピンがかかり、ネットを超えてから急激に落ちます。
ただし、スライスとボレーに関しては個人的に物足りない部分もありました。 歯車状の凹凸が縦糸横糸で、絡んでしまってスナップバックが思ったほど起こらないのです。
ストリンググライドを塗布してみたのですが、効果はあまり見られませんでした。恐らく、凹の溝にストリンググライドの液が入ってしまい、凸の表面に液が行き渡らない状態だったのではないでしょうか。
ベースラインプレーヤーでスピンで粘るシコラーにとっては、ネットの高いところを通過したボールが急激に落下し、バックアウトを激減させてくれることが大いに期待できるストリングでしょう。
スナップバックが少なめなので、バウンド後の跳ね上がりが小さく、一球でも多く打ち返す粘り強さが必要になるでしょう。 今回はすべて、1.25mmを張って約4時間均等に使用しました。
翌日、面圧を測定してみるとソルティスパワー、ソルティスブラックは張り上げた時に面圧47だったのがともに面圧45になっていました。 2~3落ちるのは普通のことです。
ファイヤーレイジリブドは張り上げ時に面圧49で、翌日計った時もまったく変わらず49でした。
ナイロンでもポリエステルでも面圧が落ちることが当たり前ですが、ポリエチレンを素材にしたファイヤーレイジリブドのテンション維持の良さには脱帽です。
またカラーによって硬さが変わってしまうのは、良くあることです。
ストリンガーの人はわかっていると思うのですが、ナイロンでナチュラルカラーとブラックがあると、だいたいブラックの方が柔らかく感じると思います。ソルティスは逆に感じたのですが、もし両方試したことがある方がいらっしゃいましたらご意見を伺いたいです。
自分の感覚が間違っていることも良くございますので。ぜひシェアいただけたらと存じます。
どちらにしても、今回取り上げましたストリングは、特徴のある面白いストリングであることには間違ってないでしょう。
【GEEK通信】「ハイブリッドの欠点解消!インナーハイブリッドHDMX誕生」
2019/08/16
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている 中居が担当いたします。
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「ハイブリッドの欠点解消!インナーハイブリッドHDMX誕生」
※2019年8月下旬発売商品
ハイブリッドストリングに注目が集まっています。
R・フェデラー選手、N・ジョコビッチ選手を筆頭にナチュラルとポリエステルを組み合わせたハイブリッドにしている選手が非常に多くなっています。
ウイルソン、ゴーセン、バボラなどのメーカーからハーフガットを組み合わせたハイブリッドストリングが発売されています。 では、ハイブリッドは何がいいのでしょうか。
縦糸と横糸の役割が違うので、それぞれの特徴を生かして、欠点をカバーすることができるのがハイブリッドの良さです。
縦糸の役割は、反発、耐久性、スピン、コントロール、打球感などです。
横糸の役割は、打球感、スピンアシスト、コントロールなどで、70%は縦糸の性能に左右されると言われています。

シンセティックストリングの欠点は、耐久性が無いこととスナップバックがほとんど起こらずスピンとパワーがややマイナスなことです。
長所は打球感が柔らかく、コントロールがしやすく腕への負担が少なくなります。

ポリエステルストリングの欠点は、打球感が硬く、柔らかいタッチが出しづらいことです。また、テンション維持が短いこともマイナスなことです。
長所は、耐久性があり、スナップバックが起こることで、スピンとパワーが得られます。

ナチュラルガットの欠点は、雨に弱いことと、飛びすぎることです。
長所は、打球感が柔らかく、スイートスポットが広いことです。またテンション維持がながいこともナチュラルの特徴です。

ポリエステルとシンセティック、ポリエステルとナチュラルをハイブリッドした場合、スナップバックによるスピンとパワーが得られ、柔らかいタッチもあり、欠点を補うことができます。
ただし、ポリエステルはテンション維持が短く、ナチュラルはながいところに盲点があります。
縦をポリエステルにした場合、ポリエステルの寿命とともに性能は劣化します。
横をポリエステルにした場合もポリエステルが劣化しますが、縦のナチュラルがテンション維持しているので、意外とポリエステルの寿命が気になりません。
それでも段々とフィーリングは変わってきてしまいます。
トッププロは数ゲーム、ランキングの低い選手でも1日しか使用しませんので、縦横のテンションのばらつきはさほど関係無いのです。
しかし、私たちアマチュアは3ヶ月は気持ちよく使いたいところです。
ポリエステルのテンション維持は1ヶ月と言われていますので、ハイブリッドで気持ちよく打てるのは1ヶ月ということになります。
そのような問題を抱えているハイブリッドストリングを発売していないストリングメーカーがあります。
ウレタンを使用したナイロンマルチフィラメントとソフトな打球感のポリエステルが評判のテクニファイバーです。
テクニファイバーは縦糸と横糸の寿命の違いを問題視しており、ハイブリッドストリングを発売していません。
そこで、ストリング単体として内部構造でハイブリッドさせることにしました。(ハイブリッド3D構造) ****************
「HDMX」は8月下旬に発売を予定です。
カラー:イエロー
取扱いゲージ:1.25mm/1.30mm
ウインザー価格:¥2,419(税込)
****************
HDMXというネーミングのポリエステルとシンセティックの複合構造で、
いったいどんなストリングなのか打つまでまったく想像がつきませんでしたが、
本当に、ポリエステルの良さとシンセティックの良さを併せ持ったストリングでした。 10年前にプリンスから発売していたリコイルを思い出しました。
シンセティックでありながら、表面をテフロン加工していて、摩擦がなくスナップバックが凄かったのですが、打球感が硬く単体で張るよりもハイブリッドの片側にする方が多かったストリングです。
ゴアテックスで有名なゴア社が加工していたのですが、シンセティックでは最も高額だったと思います。私も縦ナチュラルに横リコイルで張っていました。
HDMXは、100%ポリエステルに比べるとスナップバックがやや劣りますが、シンセティックよりスナップバックは起こります。打球感はポリエステルより柔らかくなり、手に来る衝撃も少なくなります。 そこで浮かんだのが、HDMXとポリエステルをハイブリッドしたら面白そうでした。
早速、レヴォCS10.0に縦HDMX130、横アイスコード125を張ってみました。 アイスコード単体より、食いつきがよくなり、スライスの打ちやすさと、ボレーのしやすさが増しました。
思った通り、スナップバックもポリエステル単体と変わらなくなり、スピンとパワーもHDMX単体より向上しています。

個人的にかなり気に入りました。
もちろん【HDMX+ポリエステル】でも【ナイロン+ポリエステル】でも同様にテンションロスに違いがおきます。
HDMXにするとハイブリッドの耐久力を持ちつつ、縦横で同じストリングを張れるので、縦横テンションのアンバランスが無くなるということです。
ポリエステルが好きな方で、柔らかいシンセティックとハイブリッドすると、スナップバックが減少したり、シンセティックがすぐ切れてしまったりすることに不満があったと思います。
HDMXとポリエステルのハイブリッドなら、ポリエステルの性能を生かしながら、少しだけ柔らかくなるのでこのような組み合わせもありだと思います。
当然、初めはHDMX単体で張ってみて、こちらのストリングの特徴を知ってから、ハイブリッドにチャレンジしてみてくださいね。
【GEEK通信】「テクニファイバー アイスコードはポリエステル嫌いの人でも納得の一品です」
2019/06/27
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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
中居が担当いたします。
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「テクニファイバー アイスコードはポリエステル嫌いの人でも納得の一品です」
夏にぴったりのストリングが発売しました。
テクニファイバーの「アイスコード」です。 まずカラーが真っ白で新鮮です。
ポリエステルで真っ白ってあまり無いですよね。
ブリヂストンの営業担当がアイスコードの説明をしてくれたのですが、それを偶然聞いていらした中学生のお客様が興味を持って声をかけてくれました。
お客様「それってそんなに良いんですか、ちょっと見ても良いですか。」
と言ってパッケージの裏を見ています。
お客様「HCD PROCESSは分子構造の配列を変化させていると書いてありますね」
私「えっ、わかるのですか」
オーストラリアに住んでいたらしく、英語が堪能だったのです。一通り翻訳してもらいました。 シーンは変わり・・・
いつも激しい戦いになるY田さんとの4時間シングルスです。
早速レヴォCS10.0に縦55/横50で張り上げたアイスコードを手にゲーム開始です。
リターンのボールのスピードがいつも以上に出て、いきなりブレイクスタートです。
食いついてからストリンクが復元する「グッ、ポン」という音を初めて聞きました。
ストロークの威力、安定感が抜群で、6-0、6-0のダブルベーグルを初体験しました。
その後も6-2、6-2、6-1、6-1、6-0と7セットも行いました。
Y田さん「いつもより、ボールのスピードがあり対応できませんでした」
通常パワーがある場合コントロールがしづらくなるのですが、食いついた後に弾くのでミスの少ないテニスができました。
またラケットとの相性も良かったようです。 レヴォCS10.0は非常によく飛ぶラケットですので、ナイロンマルチフィラメントを張っている時はスピンをかけないと大きく飛んでしまいますが、アイスコードは飛距離は抑えられますので、フラット系のボールもアウトしません。
スピンを抑えたボールを打てたことも、相手の時間を奪う効果を得られたのではないでしょうか。
ボレーもしやすく、ローボレー、ハーフボレーもミス無く打て、ポリエステルのマイナスポイントは今のところ見当たりません。
(7セット目あたりで肘が痛くなってきたのは、ストリングによるものなのか、プレーのし過ぎなのか微妙なところです。。。)
一ヶ月後の性能維持がどうなのかはまだわかりませんが、
新製法の「H.C.D PROCESS」採用の意味は、パワー、食いつき、テンション維持ですので期待しています。
今までのポリエステルはカラフルなカラーで主張しているものが多く、個人的にラケットとコーディネイトがしづらいことがありました。
アイスコードの真っ白は、ナイロン系の白より綺麗な純白ですので、どんなラケットにも映えるカラーです。また、ラケットのデザインを損なうこともないでしょう。
今までポリエステルは苦手なストリングと思い込んでいたのですが、今回自身のラケットに張ってみて、ポリエステルの良さを改めて実感することができました。
(食わず嫌いはいけません。私もこれから苦手な、抹茶、ココナッツ、パクチーも食べてみます。)
【GEEK通信】「正体不明なポリエステル『賢いストリング』を試し打ちしてみました」
2019/05/09
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テニスに関する仕事をして、30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っている
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「正体不明なポリエステル『賢いストリング』を試し打ちしてみました」
40年近くテニスをやっていますが、初めての経験です。
長年のライバルであるKさんとのシングルスマッチで起こりました。
サービスゲーム30-30、トスを上げようとした瞬間「バンッ」とかなり大きな音がしました。
ベースライン後方のベンチに立てかけておいた予備のラケットのストリングが切れました。
プレー中に切れることはありますが、置いてあったストリングが切れたのは初めての経験です。
それも、もの凄い音がしました。リターンをする対戦相手にまで聞こえていました。
縦糸にバボラVSタッチ130横糸にブラックヴェノムを57ポンドで張っていて、切れたのは縦糸のトップ部分のところでした。
(ショックでそのサービスゲームを落としてしまいました。)
ここでルキシロンから発売予定の「賢いストリング」を試しました。 初めてポリエステルを打ったのが、20年程前のことでルキシロンのアルパワーでした。
それまではポリエステルを張ったことしかなく、硬いイメージでしたが、実際に打ってみるとボールが当たったところだけ「ボコッ」と凹む感じがして柔らかく包み込むようでした。
ただし強いインパクトがないと凹むことはなく、ボレーのタッチショットやスライスショットなど低速スイングのショットにはノリがなく、難しい一面もありました。
先日行われていたバルセロナオープンで、引退を表明しているフェレール選手とナダル選手の対戦がありました。
思い返してみると、スペイン人選手のクレーコートの戦い方からポリエステルは生まれたような気がします。
ブルゲラ氏(優勝2回)モヤ氏(1回)フェレーロ氏(1回)フェレール選手(準優勝1回)ナダル選手(11回)と続く全仏での活躍は、絶対に諦めない粘りのストローカーの歴史でもあります。
彼らに必要だったのは、スピンがかかって切れないストリングのポリエステルだったのです。
フェレール選手をリスペクトするナダル選手がフェレール選手と同じストリング(ルキシロン オリジナル)を試したことがあり、話題になったことがありました。 バルセロナオープンは、6-3.6-3でナダル選手が勝ち、インタビュアーがコートに入ってきました。勝利者インタビューのはずが、インタビュアーはフェレール選手の元に行ったのです。ナダル選手はフェレール選手をリスペクトしていますので、嫌な顔を一つもせずにずっと拍手を送ってました。
テレビを観戦していた私もグッときてさらにテレビにかじりついていました。
拍手が鳴りやまないスタンドに手を挙げ答えてましたが、スッと赤いバンダナを外すとサービスラインのTのところにそっと置いて、退場していきました。スマートです。
フェレール選手の全盛期はプリンスのO3モデルを使い、バボラのピュアドライブ、ウイルソンのバーン、ウイルソンブレードと移り変わりましたが、ストリングは一貫してルキシロンのオリジナルを使い続けていました。
オリジナルは1.30mmしか規格がなく、完全にストローカー向きのストリングでした。
ナダル選手が使うRPMブラストは規格外の1.40mmと言われていましたが、現在は少し細くしているかもしれません。RPMブラストのように、1.20、1.25、1.30、1.35mmとゲージが選べる場合、細くしていくと反発が増し、本来ならストローク向きのポリエステルですが、ボレーもしやすくなっていきます。 中には1.05mmの超極細ゲージを作っているソリンコのツアーバイトのように、ナイロンストリングでは不可能な細さまで作れるようになっています。
そんな進化を続けるポリエステルですが、ルキシロン から発売予定の「賢いストリング」(仮)を張ってみました。
何も情報が無い中でストリングを張っていてわかったことは、1.25mmくらいであること。
2色づかいになっており、違う素材をミックスしている可能性があること。
張り上がった後にストリングを凝視すると、ピントが合わないこと。(違う素材のためか?)
打ってみますと、ボレーのフィーリングの良さに驚きました。
私のボレーの打ち方は、かなりカットするためストリングにボールが乗ってくれないとコントロールができません。
なので今までポリエステルを縦に張ったことは一度もありません。
ポリエステルの欠点だった低速スイングの食いつきの悪さは感じられません。
ゲームに使ってみたのですが、リターンがアングルに決まってエースになりました。
スピンがかかるのは当然として、スピードが落ちないのが不思議でした。
スピンがかかるとスピードが落ち、スピードが出るとスピンがかかりづらいというのが当たり前ですが、「賢いストリング」はグググとストリングに食い込みその後タイムラグがあるかのように飛び出す感覚です。

スイングが終わった後にボールが飛んでいくイメージです。
まだまだ正体不明なストリングですが、セカンドサービスの威力もいつもより増していました。
また詳しいことがわかりましたら報告します。
【GEEK通信】「ハイブリッドストリングの選び方」
2019/02/05
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「ハイブリッドストリングの選び方」
寒くなると体の動きが鈍くなります。
寒くなるとストリングが硬く感じます。
寒くなるとボールの弾みも悪くなります。
ボールがネットを超えなくなったり、浅くなったりしていつものようなプレーができなくなる時です。
そこで、以前にもご紹介したようにウレタンの柔らかいマルチフィラメントのストリングがオススメなのですが、普段ポリエステルを張っている方にはフィーリングの違いを感じやすく、耐久性の問題も絡んできます。
そこで今回は、ポリエステルのストリングについて考えてみようと思います。
初めてポリエステルに出会ったのが、1991年にUSオープンにストリンガーとして参加した時に、無名のヨーロッパの選手が張りに持ってきた茶色のビニールのようなストリングだったのですが、数年後にそれがポリエステルだということを知りました。
当然初めて張るので、硬くそして曲がりにくいストリングだなと思いました。
ポリエステルが注目を集め出したのが、1997年に全仏オープンでクエルテン氏がルキシロンのアルパワーを使用して優勝したときではないでしょうか。
1993年、1994年と全仏オープンを連覇したスペインのブルゲラ氏以降、グリグリにスピンをかけるスペイン風ストローカーがプロにもアマチュアにも増加し、クエルテン氏の人気で拍車がかかり、トップスピンでハードヒットするプレーヤーが多くなりました。
当然、シンセティックナイロンでは切れてしまい耐久性に優れるポリエステルが注目集めるようになったのです。
当時はルキシロンのアルパワー、バボラのポリビート、キルシュバウムのスーパースマッシュ程しかなく、現在のように多様に選べるような状況ではありませんでした。
また、ストリンガーや選手にも悩む問題がありました。
ポリエステルを発売するメーカーは10%程度テンションを下げましょう。と謳っているのですが、ショップでは10%強く張らないとシンセティックナイロンと同じ面圧が出ないのです。
メーカーは飛びを基準にしており、ショップは張り上がりの強さを基準にしているから矛盾が生じてしまったのです。
結果から申し上げると、シンセティックナイロンと同じように張れば、10%面圧が下がり飛びが近くなるのとポリエステルの硬さを緩和することができると思います。
そのためポリエステルは面圧指定ではなく、張力指定で張ることをオススメします。
私自身もシンセティックナイロンかナチュラルしか使ったことがなかったので、初めてアルパワーを打ったときは不思議な感じがしました。
張る作業をしている印象から「打感は硬いかな」と思っていたのですが、柔らかく感じたのです。
これはどのポリエステルにも共通しているのですが、インパクトしたボールの部分だけストリングがずれてホールドした感触になるのです。
シンセティックナイロンが面全体でたわむのに対して、ポリエステルはボールの当たった箇所だけたわむので、たわみ戻しが早くボールを押し出す効果が得られます。
また、縦糸のずれ戻り(スナップバック)でスピンのかかりも良くなります。
ポリエステルの良いところは、耐久性があってスピンがかかるところです。
欠点は、強い力でヒットしないとストリングが動かないこととフィーリングの維持が短いことです。
ボレーやスライスなど柔らかいタッチが必要なショットは、面全体がたわむシンセティックナイロンは打ちやすく感じますが、ポリエステルは少しの力では凹まないので難しいショットになってしまいます。
張りたて時のポリエステルはスナップバック効果があり、スピンもパワーもシンセティックナイロンには無い次元で効果を発揮しますが、その持続が数週間から1ヶ月と言われています。
切れない・見た目が綺麗といって半年や一年間張り続けている方もいますが満足いくプレーが難しくなる傾向にあったり、肘や手首にも負担があり怪我をする可能性もあります。
有名なストリンガーが「味のなくなったガムを噛んでいるのと同じ」と表現していました。
いつ取り替えていいのか判断が難しいのです。
ガットが切れない・ハードヒッターではない方はシンセティックナイロンを張るのがオススメです。
それでもポリエステルの魅力にはまってしまった方は、【ハイブリッド】を試してみてはいかがでしょうか。

ハイブリッドを広めた選手としては、アンドレ・アガシ氏と思います。当時、縦にケブラー横にナチュラルを張っていました。
その後、「ポリエステル」と「ナチュラル」をハイブリッドする選手が増加し、現在ではトップ10の半分の選手はこの組み合わせをしています。
メリットとしては、テンション維持が良くなり、ボレーやスライスなどの柔らかいタッチも打ちやすくなり、腕にくる負担も少なくなります。
ただし、ナチュラルガットは高級品で価格が高めで、雨に弱い性質ですのでそこを理解してチャレンジしてみてください。
また、ナチュラルガットの代わりにマルチフィラメントを代用したアイテムはさまざまなメーカーから発売されています。
試したこともある方もいらっしゃると思います。
ナチュラルガットの柔らかい部分が再現されており、コントロールを重視するプレーヤーにはオススメの商品です。 ただしナチュラルガットはパワーもあるのですが、マルチフィラメントではナチュラルガットのパワーまでは再現できません。
そこで、パワーを重視したハイブリッドが発売されましたのでご紹介します。
ゴーセンの【GXX3(ジーダブュリュエックススリー)】と【GXX1(ジーダブュリュエックスワン)】です。 【GXX3】はポリエステル「Gツアー3」とシンセティックナイロン「AKプロCX17」の組み合わせです。 【GXX1】はポリエステル「Gツアー1」とシンセティックナイロン「AKプロCX17」の組み合わせです。 AKプロCXは分類するとモノフィラメントに入りますが、厳密には海島型というどちらにも属さない構造で作られています。 AKプロは元々テックガット7000EXというネーミングで最もナチュラルガットに近いシンセティックナイロンとして評判でした。 トーナメントプロ選手がほとんどナチュラルガットを使っていた90年代に、アンナクルニコワ氏(ヒンギス氏のダブルスパートナー)が契約なしにこのテックガット7000EXを使用していました。 人気のある選手でしたので、その後ゴーセンと契約を結び頭文字をとってAKプロと名称変更をしたのです。 AKプロCXは、AKプロに耐熱400度(通常耐熱200度)の耐熱糸CXを側糸に使用した商品です。 熱に弱いポリエステルと熱に強いCXを組みわせることで耐久性、テンション維持性を向上させました。 また、パワーを重視した柔らか過ぎないガッチリとした打球感なのでポリエステル好きの方も十分納得できるフィーリングになっています。 【GXX3】は、やや柔らかいGツアー3を使用していますのでストロークからボレーまでオールラウンドなプレーを目指す方にオススメです。 【GXX1】は、やや硬めのGツアー1を使用していますのでストローク中心にハードに攻めるプレーを目指す方にオススメです。 縦糸横糸のセッティングについては、現在ポリエステルを使用している方は縦Gツアー横AKプロCXを。 現在シンセティックナイロンを使用している方は縦AKプロCX横Gツアーがオススメです。 ぜひ試してみてください。

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