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【GEEK通信】「温故知新、ゴーセンのガットの進化を見ると、ストリングの歴史、ストリングの未来が見えて来ます」
2022/06/30

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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「温故知新、ゴーセンのガットの進化を見ると、ストリングの歴史、ストリングの未来が見えて来ます」

ストリングの歴史を振り返ってみると、1970年頃にゴーセンがシンセティック(ナイロン)ストリングを開発するまでは、シープガット(羊の膓)が全てのラケットに張られていました。
シープガットは高額の上に湿気に弱く、小雨や霧で中止になるくらいでした。
ゴーセンが開発したシンセティックストリングは大変評判が良く、シープを超えた性能という意味で、ハイシープとネーミングされました。
また、ガットとは腸という意味ですが、シープガットを超えたと自負があるので、今でもテックガットとか名前にガットを残していたり、電話の応答で「ガットのゴーセンです」と名乗っていらしたりすることもありました。


70年代、80年代はハイシープ1強時代でした。
ハイシープは1.42mmでしたので、現在のラケットの穴に通らないくらい太いストリングでした。
1980年代初頭からデカラケブームが起こり、レギュラーサイズ(70平方インチ)から急に110平方インチになったのですが、スイートスポットが広い、パワーがアップするなど良いことが多かったのですが、フェース面積が大きくなったことで、振りづらくなってしまったのです。
そこで、1.30mmの「OGシープミクロスーパー16」をデカラケに適合するストリングとして発売したのが1985年でした。
1.30mmは現在ではノーマルの太さですが、この当時はミクロだったのです。
そして現在でもゴーセンの売上上位を続けている凄いストリングなのです。


ストリングの歴史を語る上で避けて通れないのが、ポリエステルの出現です。
クエルテンが彗星の如く現れ全仏オープンを優勝したのが1997年で、『あの銀色のガットは何だ?』と話題になりました。
ルキシロンのアルパワーで、その後ポリエステルを開発する新興メーカーが次々と現れ、老舗のストリングメーカーもポリエステルを発売し、現在市場ではシンセティック(ナイロン)とポリエステルは半々くらいになっています。

ポリエステルの特徴は、耐久性が高く、スピン性能に優れてる点です。
ラケットの進化は、素材が高反発になり、軽量化されたことで、誰でも簡単にスピードアップすることが可能になりました。
当然決められたコート内に収めないといけない競技ですので、以前よりスピンをかけないと入らなくなり、ストリングに求める性能はスピンが重要になり、スピンをかけて打っていると切れるのが早くなり、耐久性のあるポリエステルが重宝されるようになったのです。

ポリエステル発売当初は、硬くて、丈夫で、飛ばないくらいにしか性能は理解されていませんでしたが、2005年にスピンがかかる現象を研究した論文が発表され、スナップバックによってかかっていることが初めてわかったのです。

スナップバックとは、インパクトで縦糸が横にずれて元に戻ることで、ズレ戻りの大きさでスピンのかかりに影響を与えていたのです。

その後、ITF(国際テニス連盟)の正式文書で、ポリエステルはシンセティックより20%スピンの回転数が向上すると発表されました。
それなのに、いまだに1985年発売のミクロスーパーが「迷った時はミクロスーパー」のキャッチコピーで売れ続けているのには、理由があります。


まず、ポリエステルは強く打たないとスナップバックの効果が感じられないのと、テンション維持が悪く、切れないのに早めに張り替えをしないといけないのです。

要するに、初級から中級の一般プレーヤーにはあまり向かないのです。
次にミクロスーパーのそもそもの性能の高さも40年近く経っても売れ続ける理由です。爽快な打球感と反発力の良さが、気持ち良いのです。

スピンのかかりよりも、飛びを重視したり、ボレーの切れ味を望む方にはミクロスーパーが合っているのです。

ポリエステルの良いところを活かしながら欠点を補うのがハイブリッドで、打球感の柔らかいシンセティックを横に使ったり、縦に使ったりすることで、パーソナルなストリングにしていきます。
ただし、ハイブリッド用に半分の長さにして縦横をパッケージしたモデルは数える程で、自分の好きなものをチョイスすると、半分余ってしまうのです。

そこで発売したのが、G-XX1とG-XX3です。
特にG-XX3は、ポリエステルの中では柔らかい打球感で扱いやすいGツアー3とゴーセンの売上ナンバー1のAKプロに耐摩耗性を向上させたAKプロCXを使っている優れものです。


今後のストリングの発展した姿として、「シンセティックなのにポリエステル並みにスナップバックする。」
「ポリエステルなのに、シンセティック並みに柔らかい打球感である。」

が未来のストリングと考えました。
今年発売されたラクシアバイト、ラクシアアシストはシンセティックでありながら、表面コーティングをツルツルにしてスナップバックするようにしており、ポリエステルのスピン性能に近づけようとする工夫が見られます。


また、エッグパワーの柔らかさはポリエステル中では群を抜いており、硬さが原因で躊躇していたジュニアたちはファーストポリエステルとしておすすめできます。

これからもゴーセンガットの発展はストリング全体の発展につながりますので、目が離せません。