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GEEK通信「温故知新、振動止めの歴史を振り返る」
2023/01/07

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■テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは
テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。
ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 
テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
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「温故知新、振動止めの歴史を振り返る」

振動止めの歴史を振り返りながら、今後の発展を見て行きましょう。
ウッドラケットの頃は、衝撃や振動に関してあまり気にすることはありませんでした。
理由としては、天然素材のウッドはしなりがあり、腕にくる衝撃は少なく、肘や手首を痛めることもあまりありませんでした。
素材がカーボンになり、衝撃が大きくなり、打ち方もよりスピンをかけるようになり、手首、肘への負担が大きくなり、怪我も増えていきました。
その予防や衝撃の緩和、振動の減衰を目的として振動止めが生まれたのです。
1986年にハナマンドリコワがスポンジタイプのものを使い始めたのが一番初めではないでしょうか。
円柱形のものをセンター2本のストリングに指で縮めて挟むとまん丸に変形し、取れなくなります。
その後ゴムやシリコンなど色々な形が出ましたが、基本はセンターの2本のストリングを止めるタイプでした。
徐々に6本止めのブロックタイプ、10本止めのワームタイプなど種類も増えていきました。

約20前に発売したキモニーのクエークバスターが大ヒットし、今現在でも一番売れる振動止めであるのは間違いないところです。

開発者に話しを聞いたことがあるのですが、日々振動止めのことを考えていたある日、ふと水溜りを眺めていると、ポツン、ポツンと雨が降ってきました。
水溜りに落ちた雨粒が水の波紋を作り、その波紋は広がっていきます。また別の波紋ができ広がっていきます。ぼーと見ていると、広がっていた波紋が急に無くなることがありました。

よく見ると、広がっていた波紋に別の波紋がぶつかるとお互いの波紋が小さくなることに気がついたのです。
波紋同士が打ち消し合っているようでした。
はっと閃いた開発者は、急いで家に帰り、子供の消しゴムをカッターで削って、クエークバスターの原型となる形を作ったそうです。
振動を減衰するには振動をぶつけるのが効果的なのですね。
不快な振動が減衰する早さと、適度に残る打球感の気持ち良さで、日本のトップ選手が使用するなど大ヒットとなりました。
2022年トアルソンから発売されたイオミックショックレスは、クエークバスターに形状は似ていますが、決して真似して作られたものではありません。

クエークバスターが完成形なため、いいものを開発すると似てきてしまうのです。
縦糸の2本のストリングに装着し、外れにくくすると、丸でも三角でもなく四角が一番で、最後の横糸にしっかりとはまる溝を作るとどうしてもこの形が最良なのです。
縦の突起は振動を減衰するもので、横の突起はぶれを防ぎ弾道を、安定させる効果を期待するものです。
振動止めを付けると、ボールが飛ばなくなるというのは、聞いたことがありますが、弾道が安定するというのは初耳です。
実際に、トラックマンで実験してみたのが、振動止めを付けないもの、ワーム型の振動止めを付けたもの、イオミックショックレスを付けたものを20球づつ打ち、スピード、スピン、打ち出し角度、飛距離、20球のばらつきを調べました。
結果から言うと、大きな差はありませんでした。
スピードは、振動止めなしとイオミックショックレスはほぼ同じで、ワーム型は約3km遅くなり、スピンも振動止めなしとイオミックショックレスはほぼ同じで、ワーム型は若干落ちました。
イオミックショックレスの弾道が安定するというのは、この実験からは実証されませんでした。
ただ自分がワーム型からイオミックショックレスに変えて使っているのですが、明らかにボールの威力、コントロールはよくなっています。
振動止めをつけないでプレーしている方に、つけた方がいいとは言いませんが、
振動止めは必ず付けると言う方は、一度イオミックショックレスを試してみるといいかと思います。